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退職合意書とは?目的や必要な理由、書き方を紹介

退職勧奨に合意して会社を辞める場合などは、退職合意書を作成する必要があります。
退職時に提出するものというと退職届が一般的ですが、退職合意書にはどのような役割があるのかご存じでしょうか。
円満退職をめざすうえで大切な書類になるため、あらかじめ目的を理解しておくことが大切です。

本記事では、退職合意書の目的と作成の理由を詳しく解説します。
明記しておくべき項目も紹介しているため、退職合意書の書き方に迷っている方は参考にしてみてください。

退職合意書とは?

退職合意書とは?

退職合意書は、従業員と会社間で退職の合意を行った際に取り交わした内容を記す書面のことです。
社員側から「会社を辞めたい」と意思表示をする退職届とは異なり、退職合意書は社員と会社、双方の合意のもとで作成されます。

また、退職届は受理・承諾・雇用契約終了という段階を踏むのに対し、退職合意書は合意した時点で退職が成立するのが特徴です。
原則として、合意退職が双方で承諾されたあとの撤回はできません。

口頭で退職を約束することもできますが、言った・言わないのトラブルにつながる可能性があります。
お互い納得のうえで退職準備を進めるためにも、退職合意書が必要といえるでしょう。

退職合意書を作成する目的

退職合意書を作成する目的には、以下の2つが挙げられます。

  • 退職日・退職理由を明らかにすること
  • トラブルを防止すること

それぞれ詳しく見てみましょう。

退職日・退職理由を明らかにすること

退職合意書の目的は、退職日・退職理由を明らかにすることです。
退職合意書には、退職する日付や、退職理由は会社都合か自己都合なのかといった内容を明記します。

退職理由は雇用保険の受給時期にも影響を与えるため、正確に記載しなければなりません。

トラブルを防止すること

退職合意書には、トラブルを防止する目的もあります。
合意退職後、従業員側から「自分自身に退職の意思はなかった」「未払いの残業代を請求したい」といった理由で訴訟に発展するケースもあるのです。

こうしたトラブルを防ぐためにも、退職合意書という形で合意内容を残しておく必要があります。

退職合意書が必要な理由

退職合意書が必要な理由

退職合意書が必要な理由は、以下3つです。

  • 退職条件を明確にするため
  • 債権・債務を清算するため
  • 企業の秘密を守るため

それぞれの理由について解説します。

退職条件を明確にするため

退職合意書は、退職条件を明確にするために必要です。
退職合意書では、上記で触れた退職日や退職理由のほか、解決金や特別退職金、有給消化についてなど、さまざまな退職条件を明らかにします。

退職届はこうした双方合意の条件が明記されないことも多く、退職後にトラブルへ発展する恐れがあるでしょう。
口約束だけではいざというときに退職条件の証明ができないため、退職合意書として文面に残すことが重要です。

債権・債務を清算するため

退職合意書は、債権・債務を清算するためにも必要です。
退職合意書では、従業員と会社間にあったすべての債権・債務を清算して、退職後に金銭的な請求はしないという清算条項を記載します。

未払いの賃金や残業代の請求、パワハラなどによる損害賠償の請求などの金額と支払い方法とともに、振込手数料の負担者も明記するのが一般的です。

企業の秘密を守るため

退職合意書は、企業の秘密を守るためにも必要です。
従業員が退職したあとは就業規則などで規制できなくなるため、会社のノウハウが流出したり、誹謗中傷が広まったりするケースも想定されます。
あるいは退職にともなう解決金についての情報が他の従業員に伝わった結果、社内であらぬ噂が立つかもしれません。

こうしたリスクに備えるためにも、退職合意書で守秘義務条項や口外禁止条項などを設けます。

退職合意書の書き方

退職合意書の書き方

退職合意書は、双方が合意した内容がきちんとわかるように条項を盛り込まなければなりません。
ここでは、退職合意書の書き方を例文とともに紹介します。

離職理由を書く

離職理由は、自己都合か会社都合のどちらなのかを明記します。
例文は以下のとおりです。

第◯条 前条の雇用契約の終了については、双方合意の自己都合退職として扱う。

会社都合とすることで転職活動に影響が出ないか不安な方もいれば、自己都合退職だと雇用保険の給付期間が短くなって困るという方もいるでしょう。
この場合、退職合意書の作成前に話し合いで理由を決めることもあります。

退職合意書の雛型をインターネットでダウンロードして使うときは、自己都合か会社都合どちらの表記になっているか確認しておきましょう。

退職時の支払いに関する内容を書く

合意退職では、トラブルを防ぐため会社側が解決金を支払うケースも多くあります。
退職時の支払いに関する条項の例は、以下のとおりです。

第◯条 甲は乙に対して、◯年◯月◯日までに、甲が支払うべき最終給与として、◯年◯月◯日から◯年◯月◯日までの給与である合計金◯円を、乙の指定した銀行口座へ振込みにより支払う。

また、甲は乙に対して、◯年◯月◯日までに、解決金として◯万円を乙が指定する銀行口座に振込みにより支払う。なお、これらの振込手数料は甲負担とする。

未払いの賃金などに加えて解決金を受け取れる場合は、その旨も詳細に記載しておきましょう。

 

守秘義務に関する内容を書く

退職後、会社の情報を漏らさないことを約束するため、守秘義務に関する条項も設けます。
守秘義務に関する内容の例は、以下のとおりです。

第◯条 甲および乙は、本件退職に関して、正当な理由がある場合を除いて第三者に口外しないものとする。

その会社のノウハウや顧客情報の口外を禁じるのはもちろんのこと、誹謗中傷の禁止を条項として定めることもあります。

競業行為に関する内容を書く

競合である企業へ転職したり、競業の事業を始めたりといった競業行為を禁止する内容を盛り込むこともあります。
競業行為に関する条項の例は、以下のとおりです。

第◯条 甲は乙の許可なしに競業する企業への転職や競業する事業を行うことはできないものとする。

ただし、職業選択の自由の観点から、競業避止義務が認められる範囲は限定的になることを覚えておきましょう。

退職合意書について知って退職時の対応に活かそう

退職合意書とは、退職にあたって会社と従業員のあいだで合意した内容を明らかにするための書面です。
守秘義務や債務の清算など会社を守る役割もありますが、それと同時に従業員である自分を守るための書類でもあります。

もし会社側に提案された退職条件に不満や疑問点があるのであれば、退職合意書を作成する前に話し合いが必要になるでしょう。
お互いわだかまりを残さないためにも、退職合意書の作成は慎重に進めることをおすすめします。

執筆者について

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