正社員として働いていた職場を退職して再就職しない場合は、国民年金への切り替えが必要です。
配偶者などの扶養に入るかどうかで手続き内容は変わるため、必要要件や提出書類を確認しておきましょう。
この記事では、厚生年金保険から国民年金に切り替える方法を詳しく解説しています。
退職後の切り替え期限と、切り替えなかった場合に起こりうる事態も紹介しているので参考にしてみてください。
目次
退職後の国民年金切り替え手続きの方法
退職後の国民年金への切り替え方法は、配偶者などの扶養に入る場合と入らない場合で対応が異なります。
- 扶養に入らない場合:第1号被保険者の加入手続きが必要
- 扶養に入る場合:第3号被保険者の加入手続きが必要
それぞれの手続きについて詳しく見てみましょう。
第1号被保険者の加入手続きの場合
第1号被保険者に該当する場合は、住所地の市区役所や町村役場などに書類を提出して手続きを進めます。
第1号被保険者とは自営業や農業、漁業、学生など国民年金を直接納めている人のことです。
具体的な手続き窓口や必要な持ちものについては、以下のようになっています。
手続き窓口 | 住所地の市区役所または町村役場 |
手続きに必要な持ちもの | 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類 |
提出期限 | 退職日の翌日から14日以内 |
提出者 | ご本人または世帯主 |
加入にあたっては、退職日の翌日から14日以内という期限があるため注意しましょう。
また、退職直後に手続きを行う場合、厚生年金保険などの資格喪失日を証明できる離職票の提示を求められるケースもあります。
辞めてすぐに手続きをする際には、念のため持参したほうが無難です。
第3号被保険者の加入手続きの場合
第3号被保険者として配偶者の扶養に入ろうとする場合は、配偶者の勤務先が手続きすることになっています。
「被扶養者(異動)届」を作成したのち、勤務先を通じて日本年金機構への手続きを行ってもらいましょう。
第3号被保険者になるための要件は以下のとおりです。
- 日本国内に住んでいること
- 20歳以上60歳未満であること
- 原則として年収が130万円未満であること
また、上記の要件を満たしていなくても、日本国内に生活の基礎がある場合は特例が認められるケースもあります。
逆に年収が130万円未満であろうと、週の所定時間が20時間以上など厚生年金保険の加入要件に当てはまる場合は、扶養に入れないこともあるので注意が必要です。
退職後の国民年金切り替えはいつ行う?
退職後の国民年金の手続きは、退職日の翌日から14日以内に行わなければなりません。
ここからは退職日の例を挙げながら、切り替え手続きの期間や国民年金の保険料支払いが開始されるタイミングを解説します。
月末に退職した場合
会社を月末に退職した場合、厚生年金保険から国民年金へ切り替わるのは翌月の1日です。
例えば会社を5月31日で退職した方なら、以下のようになります。
厚生年金保険に加入 | 国民年金に加入(厚生年金保険の資格喪失) |
~5月31日 | 6月1日~ |
国民年金の資格を取得できるのは6月1日からです。
つまり、切り替え手続きは6月1日~6月14日の間に行うことになります。
5月までは会社を通じて厚生年金保険料が天引きされていましたが、6月分からは自分で国民年金保険料を支払うという流れです。
月の途中に退職した場合
5月15日など月の途中で退職した場合は、翌日から国民年金に切り替わります。
厚生年金保険に加入 | 国民年金に加入(厚生年金保険の資格喪失) |
~5月15日 | 5月16日~ |
国民年金への加入手続きは、5月16日~5月29日の間に行いましょう。
また、それ以降も国民年金に加入し続ける場合は、たとえ月の半ばに切り替えたとしても5月分から請求されます。
厚生年金保険については、月の途中で資格を喪失しますので5月分の厚生年金保険料の請求はありません。
月末に退職して翌月の途中に再就職した場合
月末に退職して翌月の途中で再就職した場合でも、国民年金への加入手続きは必要です。
厚生年金保険に加入 | 国民年金に加入 | 厚生年金保険に加入 |
~5月31日 | 6月1日~6月15日 | 6月16日~ |
国民年金への加入手続きは6月1日に行うことになります。
ただし6月分に関して国民年金の保険料納付は発生しません。
その代わりに、6月からの新しい職場を通して厚生年金保険の保険料が天引きされます。
月末に退職して翌月の途中に再就職したがすぐ退職した場合
月末に退職して翌月の途中で再就職、その後すぐに退職した場合は、それぞれのタイミングで国民年金加入の手続きが必要です。
厚生年金保険に加入 | 国民年金に加入 | 厚生年金保険に加入 | 国民年金に加入 |
~5月31日 | 6月1日~6月15日 | 6月16日~6月20日 | 6月21日~ |
6月1日と6月21日に国民年金への加入手続きを行うことになります。
さらにこのケースでは、6月分の国民年金と厚生年金保険の両方の納付義務が発生する点に注意しましょう。
なお退職した翌日から新たな職場で働き始める場合、国民年金への切り替えは必要ありません。
退職後に厚生年金から国民年金に切り替えないとどうなる?
退職後に厚生年金保険から国民年金に切り替えないと、国民年金が未納となり、未納分にあたる分の年金が将来受けられない可能性があります。
1日でも離職する期間がある場合には、忘れずに国民年金へ切り替えを行いましょう。
申請期限は14日間と上述しましたが、この期限を過ぎていたとしても手続き自体は可能です。
例えば退職後、国民年金へ切り替えないまま数ヵ月以上放置してしまうと、いざ手続きをした際に請求される未払い額も大きくなります。
できる限り早く居住地の市区役所や町村役場へ出向き、切り替えたい旨を伝えてください。
仕事を辞めたことで国民年金の支払いが困難な場合には、納付の免除や猶予制度なども利用できます。
不安がある方は国民年金担当窓口に相談してみましょう。
退職したら忘れずに国民年金に切り替えよう
退職後の国民年金への切り替えは、将来受け取れる年金額にも関係する大切なことです。
扶養に入る場合には、切り替えにあたって本人が直接手続きをするわけではありません。
配偶者から会社に手続きをお願いしてもらい、第3号被保険者として申請をしましょう。
再就職する方も、離職期間が1日でもあるなら国民年金への切り替えが必要です。
退職したらまず、健康保険の切り替えなどと一緒に済ませてしまうことをおすすめします。