
就職・転職活動に向けて、自己分析を始めようと考えている人もいるのではないでしょうか。
自己分析は、自分の強みや価値観を明確にし、キャリアの方向性を定める重要なステップです。
しかし、「どうやって始めれば良いのかわからない」「何から取り組めば良いのか迷う」という声をよく耳にします。
そこで今回は、自己分析の具体的な方法やコツを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
自分に合った方法を見つけて、効率的に自己分析を進めていきましょう。
目次
自己分析のやり方
自己分析のやり方を、大きく以下の3つの段階に分けて紹介します。
- 振り返り
- 情報の可視化
- 他者からの評価
まずは「振り返り」で、過去の経験から自分の特徴を見つめ直しましょう。
学生時代の出来事や、過去の仕事での成功と失敗を振り返り、自分がどのような状況で力を発揮したのか、またはどのような時に困難を感じたのかを整理してみてください。
この段階では、具体的なエピソードを思い出すことが大切です。
そのなかで自分の強みや価値観、苦手な部分を明確にすることができます。
次に「情報の可視化」により、自分の考えや目標を図や表にまとめることで、より明確な自己理解を促進しましょう。
例えば、自分の強み・弱みを一覧で整理したり、今後のキャリアパスをタイムライン形式で描いたりすることで、抽象的な思考を具体的に可視化できます。
これにより、頭の中で漠然と感じていたことが整理され、自己分析が一層深まるのです。
さらに、目標を明確にするために、自分の価値観や大切にしたいことを図に落とし込むと、将来に向けての方向性が明確になります。
さらに「他者からの評価」を通じて、自分では気付かない特徴や長所を発見することもできるでしょう。
家族や友人、同僚、上司など、異なる立場からのフィードバックを受けることで、自分の強みや改善点を客観的に見つけることができます。
自分の行動や思考のパターンについて他者の視点を取り入れることで、より深い自己理解が得られ、周囲とのコミュニケーションの改善にもつながります。
先に挙げた振り返りや、情報の可視化を行ったあとに、内容についてどう思うか?を家族や友人、同僚、上司など普段の自分をよく見ている人に聞いてみると良いでしょう。
これらの3つの段階を通じて、自己分析を進めることで、自己理解が深まり、自己成長やキャリア形成においてより効果的な判断ができるようになります。
自己分析はいつから始める?
自己分析は、就職・転職活動を本格化する3~6ヵ月前から始めることをおすすめします。
この時期に自己分析を始めることで、十分な時間をかけて自分を見つめ直し、適切な目標設定やキャリアプランを立てられるためです。
また、自己分析を早期に始めることで、より多くの他者からフィードバックを受ける機会を作ることもできます。
余裕を持って準備を進め、面接やエントリーシート作成時に自信を持って臨むことができるでしょう。
準備するものは、ノートやパソコンなど記録が取れるものがあれば十分です。
自分の思いや気付きは、その場でメモを取っておくことが重要です。
デジタルツールやアプリを活用することで、情報の整理や可視化がスムーズに進む場合もありますが、アナログな方法でも十分効果が得られます。
大切なのは、記録をしっかりと残し、あとで振り返りやすくすることです。
まずは自分が取り組みやすいと感じる方法から始めましょう。
例えば、日々の小さな気付きや感情を記録することから始めても良いですし、過去の経験や実績を振り返ることに注力するのも一つの方法です。
最初は無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。
自己分析の過程で、やり方を少しずつ調整しながら進めていくことが、継続的な自己理解の向上につながります。
自己分析の方法9選
自己分析は、経験に基づく方法、心理に基づく方法、情報を可視化する方法という3つの大きなアプローチがあります。
また、他者からの分析を取り入れるのも一つの手段です。
それぞれのアプローチには異なる強みがあり、状況に応じて使い分けることで、自己分析の精度を高めることが可能です。
これらの方法には特に決まった順番はなく、自分に合ったものから始めれば良いでしょう。
すべての方法を試す必要はありませんが、複数の方法を組み合わせることで、より正確な自己理解が可能になります。
これらのアプローチは、自分の強みや行動理念の再認識に役立つだけでなく、就職・転職活動における選考対策とキャリア選択という2つの重要な事柄に対して効果的といえます。
経験に基づく分析方法
過去の経験を振り返ることで、自分の価値観や行動パターンを理解することができます。
「自分史」と「成功と失敗の振り返り」という2つの方法を通じて、自分の過去の経験と向き合い、より深く自己を理解することをめざしましょう。
自分史
自分史は、幼少期から現在までの人生を、年表形式でまとめる自己分析方法です。
具体的には、小学校、中学校、高校、大学・専門学校などの各段階で印象的なエピソードをいくつか選び出します。
それぞれのエピソードについて、「何があったのか(内容)」「なぜそれを選んだのか(理由)」「その時どう感じたのか(感情)」という3つの観点から深く掘り下げていきます。
このプロセスを通じて、自分の行動理念や大切にしている価値観を客観的に見つめ直すことが可能です。
成功と失敗の振り返り
これまでの人生で経験した成功体験と失敗体験を分析することで、自分の強みと弱みを具体的に把握することができます。
年代で区切る必要はなく、印象に残っている成功と失敗を自由に書き出してみましょう。
それぞれの経験について、「どういう経緯で起こったのか」「成功・失敗の要因は何か」「その時自分はどう行動し、どう感じたのか」という点を整理します。
この分析により、自己PRの具体的な根拠となるエピソードを見つけることができるでしょう。
心理に基づく分析方法
心理学的なアプローチを用いることで、自分の性格や個性をより深く理解することができます。
「ジョハリの窓」と「MBTI診断」という2つの手法を活用して、自分の心理的特性を多角的に分析していきましょう。
ジョハリの窓
ジョハリの窓は、自己分析と他己分析によって、自分と他者の認識のズレを発見する心理学モデルです。
認識のズレを分析することで、自分自身をより深く理解する、効果的な方法です。
自分の特性を、自己と他者の認識に合わせて、以下の4領域に分類します。
- 開放の窓:自分も他者も知っている特性
- 秘密の窓:自分は知っているが他者は気付いていない特性
- 盲点の窓:自分は気付いていないが、他者は知っている特性
- 未知の窓:自分にも他者にも気付かれてない特性
それぞれの窓に、自分と他者から見える自己の特性を書き込んでいくことで、自分自身への認知を深めることができます。
後述する他者からの分析とは異なり、より包括的な性格や人間像の把握に焦点を当てる方法です。
MBTI診断
MBTI診断は、質問に答えることで個人の性格を16タイプに分類する自己報告型の性格診断テストです。
この診断では、エネルギーの方向性、ものの見方、意思決定の傾向、外部環境との関わり方という4つの軸から個人の特性を分析します。
結果を他の自己分析からわかったことと組み合わせることで、自分の強みや弱みをより明確に把握することも可能です。
また、志望企業での自分の活躍イメージを具体化するのにも役立ちます。
情報を可視化する方法
図や絵を活用して自分の考えや特徴を視覚的に表現することで、新たな気付きが得られます。
「モチベーショングラフ」「マインドマップ」「ビジョンボード」という3つの手法を用いて、自分が持つ特性を一目でわかりやすく整理していきましょう。
モチベーショングラフ
モチベーショングラフは、過去の出来事を時系列に沿って振り返り、その時のやる気の変化をグラフで表現する方法です。
自分が置かれた状況ごとに、感情やモチベーションがどう変動したのかを視覚的に確認できます。
ここでは、過去の経験全体ではなく、特にやる気の変化に注目して分析します。
このグラフは、自己PRの際に具体的な根拠として使えるため、就職活動の面接対策にも役立つでしょう。
マインドマップ
マインドマップは、頭の中にあるアイデアや情報を視覚的に表現する方法です。
「自分」を中心に置き、その周りに「強み」「夢」「苦手なこと」など、関連するキーワードを枝のように広げて記入していきます。
紙とペンを使って手軽に始められますし、最近では専用のアプリも利用できます。
この方法を使うことで、自分の思考や強みを効果的に整理でき、全体像がつかみやすくなるでしょう。
ビジョンボード
ビジョンボードは、自分の未来の理想像を視覚的に表現する方法です。
まず、ボードに自分の目標ややりたいことを設定し、それを象徴する画像や言葉を集めて配置します。
完成したボードを目に見える場所に置いて、目標達成をめざします。
最近では、デジタルツールを使って作成する人も増えており、いつでも自分の理想を確認できるのが大きなメリットです。
また、目標に向けて具体的な行動を考えるきっかけにもなり、モチベーションを保つためにも効果的です。
他者からの分析
周囲からの客観的な評価を取り入れることで、自己分析をより深めることができます。
友人、知人や家族といった身近な人に加え、キャリアアドバイザーなどのプロによる分析も活用し、第三者の視点から新たな気付きを得ましょう。
友人や家族、知人による他己分析
身近な人との対話を通じて、他者から見た自分の姿を認識することができます。
具体的な質問項目を用意し、詳細な情報を引き出すことが重要です。
複数人に質問を投げかけてみることで、より客観的な評価を得ることができます。
なお、ジョハリの窓との違いは、第三者の視点を通して、より具体的なエピソードや評価を収集する点にあります。
就活アドバイザー等のプロによる分析
プロのアドバイザーからの質問に答えることで、自分の特徴を専門的な視点から理解することが可能です。
また、プロの経験から自身と似た特性を持つ人のキャリア事例を知ることもでき、自分の強みや進路の方向性を見直すヒントを得られることもあるでしょう。
自己分析のコツ
自己分析は時間のかかる作業ですが、効率的に進めるためのコツがあります。
ここでは、分析を円滑に進め、得られた情報を効果的に活用するためのポイントを紹介します。
これらのコツを実践することで、効率的に進められるだけでなく、より充実した自己分析を行うことができるようになるでしょう。
フォーマットを活用する
既存のフォーマットを活用することで、効率的に自己分析を進めることができます。
インターネット上には無料でダウンロードできるフォーマットが多数用意されているため、気軽に活用してみましょう。
自己分析ツール
スマートフォンやパソコンで利用できる自己分析アプリやWebサイトが豊富にあります。
これらは、先に紹介した分析方法のフォーマットがあらかじめ用意されているツールです。
デジタルツールの利点は、記録したデータを簡単に保存・振り返りできる点です。
これにより、手軽に進捗を確認したり、必要なときに過去の情報をすぐに見返したりすることができます。
自己分析シート
自己分析シートを使えば、得られた情報を体系的にまとめることができます。
項目があらかじめ用意されているため、何を書けば良いのか迷うことなく情報を整理できるでしょう。
出典:自己分析ワークシート活用
自己分析で知った情報を整理する
得られた情報を他の情報と比較しながら整理することで、より深い自己理解につながります。
情報の整理がしやすくなり、あとで見返しやすくなる、自己分析ノートの作成がおすすめです。
整理した情報を見直すことで、さらに掘り下げが必要な点を見つけ、分析の精度を高めることができます。
書き方については以下の記事でも詳しく解説しています。

テーマに対して「なぜ?」を深堀する
自己分析の際には、得られた情報に対して、「なぜそうなったのか」という理由や原因を探ることが重要です。
「何のために行動したのか」「どのような背景があったのか」を明確にすることで、より深い自己理解につながります。
この過程で、自分の認識の誤りに気付いたり、新たな発見が得られたりすることもあるでしょう。
Will・Can・Mustの法則を使って考える
自己分析においては、常に「Will(今後やりたいこと)」、「Can(自分ができること)」、「Must(今の自分に求められること)」という3つの視点で考えることが重要です。
これらの視点をもとに自分を振り返ることで、自身の理想の働き方や適職が見えてきます。
また、この3つの要素を整理することで、より具体的で現実的なキャリアプランを立てることができるようになります。
自分に合った自己分析のやり方を見つけよう
自己分析にはさまざまな方法がありますが、すべての方法に対して網羅的に取り組む必要はありません。
自分に合った方法を選び、必要に応じて複数の手法を組み合わせることで、効果的な自己理解が可能になります。
特に就職活動では、自分の強みや価値観を明確に説明することが求められます。
そのためには、自分自身をよく知り、理解しておくことが不可欠です。
本記事で紹介した方法を参考に、計画的に自己分析を進めていくことで、自信を持って就活に臨むことができるでしょう。
適切なツールやフォーマットを活用し、周囲からのフィードバックも取り入れながら、より深い自己理解をめざしていきましょう。