
試用期間が延長されると、不安になってしまうものです。
「このまま辞めたほうが良いのかな」と悩んでしまう方も多いでしょう。
しかし、試用期間の延長には法的な根拠があり、必ずしも辞めるべきとは限りません。
延長の理由によっては、むしろチャンスととらえることもできるのです。
本記事では、試用期間延長の法律的な背景や、よくある延長理由を解説します。
さらに、不当な延長への対処法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
試用期間が延長されたら辞めるべき?
試用期間が延長されたからといって、それだけで辞める判断をするべきではありません。
延長には以下のようなさまざまな理由が考えられ、理由次第で判断するべきです。
以下に、試用期間延長の法律的な根拠と、延長される理由をまとめました。
試用期間延長への対応を検討する際に、参考にしてみてください。
試用期間の延長は違法ではないが条件が必要
試用期間の延長自体は、違法ではありません。
ただし、以下のような条件を満たしていることが必要です。
- 雇用契約や就業規則に試用期間の延長について明記している
- 採用時に試用期間を延長する可能性があることで合意している
- 試用期間を延長することについて合理的な理由がある
上記条件を満たしていれば、試用期間の延長自体は合法です。
ただし、不当に長く延長する場合や延長を繰り返す場合は、違法の可能性が高まります。
試用期間が延長される理由
試用期間が延長される理由はさまざまです。
代表的な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 慎重に仕事ぶりを見たい
- 病気やケガで休みが多かった
- 他部署での適正も判断したい
- 従業員自体に問題がある
上記の理由は、いずれも試用期間延長について一定の合理性があると判断されやすいものです。
また、労働者にとって、試用期間延長をチャンスととらえることができるケースもあります。
以下で、具体的な事例を見ていきましょう。
慎重に仕事ぶりを見たい
人によっては、職場になじむことに時間がかかるケースもあります。
短い試用期間内では力を発揮できないこともあるでしょう。
本来の適正を見極めるために、もう少し時間が欲しいと考えられる場合は、試用期間の延長が可能です。
病気やケガで休みが多かった
病気やケガなどで休みが多かった場合は、試用期間内に仕事ぶりを正しく評価できません。
会社側としては、通常どおりの勤務が可能になったタイミングでの業務遂行能力を確認したいと考えるでしょう。
このような場合、試用期間の延長は許容されます。
病気で試用期間の1ヵ月を入院していたといったケースでは、その期間を延長するなどの判断が下されることは十分にあり得ます。
他部署での適正も判断したい
当初配属した部署では能力を発揮できなかったため、別のポジションや部署での適正を確認したいと判断されることもあるでしょう。
この場合、試用期間の延長が認められます。
これは、解雇を猶予して別の場所での適性を再判定するために行われる延長として、許容されることのあるケースです。
なお、当初の部署で仕事内容が変更になった際にも、変更後の仕事への適正を測るために試用期間が延長されることがあります。
従業員自体に問題がある
遅刻や無断欠勤など従業員に問題がある場合は、試用期間を延長できます。
遅刻や欠勤などは業務の遂行に大きな影響があるため、無視できない問題です。
試用期間中にこれらが頻出している場合、本採用を躊躇されるケースもあり得ます。
労働者側に改善の機会を提供するために、試用期間が延長される場合があるのです。
試用期間が延長されてから辞めるとどうなる?
試用期間の延長が決まっても、将来必ずしも解雇になるわけではありません。
したがって、延長が決定したからといって短絡的に退職を決めることは、避けたほうが良いでしょう。
延長の理由が不当でない限り、すぐに辞める必要はないのです。
延長理由が勤務態度などであれば、それを改善することで本採用を得られる可能性は高いです。
それでも辞めたい場合は、通常の労働契約における退職と同様に、予定日の2週間前までに退職届の提出が必要となります。
また、経歴にも短期離職したことが残るので注意が必要です。
不当な試用期間延長は外部への相談も検討しよう
試用期間の延長が不当に長い場合や、延長を繰り返されている場合は、違法となる可能性が高まります。
そのような場合は、以下のような場所に相談することをおすすめします。
場所 | 説明 |
労働基準監督署 | 事業所が労働基準法などを順守しているかを調査し監督する機関。 相談することで、聞き取り調査や立入調査をしてもらえる。 違法性があれば、指導や是正勧告を出してもらえる。 |
労働局 | 各都道府県に設置された、労働基準監督署の上部組織。 総合労働相談コーナーで、労働局長の助言や指導、労基署への取次ぎを行ってくれる。 |
弁護士 | 個人と企業の間に入り、法務的な面で会社と交渉や調停を行ってくれる。 法務だけでなく精神的な面でも味方になってくれる。 |
試用期間の延長は理由を確認して対応しよう
試用期間の延長にはさまざまな理由がありますが、いずれにせよ延長理由をしっかりと確認することが大切です。
延長が不当でない限り、すぐに辞める必要はありません。
勤務態度など自分に原因がある場合は、それを改善することで本採用へとつなげることができるでしょう。
一方で、延長が不当に長い場合や繰り返される場合は、違法の可能性があります。
そのような場合は、労働基準監督署や弁護士など外部機関に相談することも検討してください。
試用期間の延長が、労使双方にとって適切に行われ、有効であることが、何より重要なのです。