退職後、失業保険(基本手当)を受給しながらアルバイトをする人も多いでしょう。
待期期間の7日間は労働できませんが、待期期間のあとは週20時間未満であればアルバイトができます。
このとき、1日に4時間以上働くと支給が後ろ倒しになってしまう点や、4時間未満でも賃金によっては減額される点に注意が必要です。
あわせて、1週間の労働時間が20時間以内となるよう調整することも大切になります。
しかし、失業保険の受給中、気付かないうちに労働時間が20時間を超えてしまったというケースもあるかもしれません。
本記事では、失業保険をもらいながら20時間を超えて労働してしまった場合に起こりうることを解説します。
勤務時間を偽ったり、事実を隠した申告をしてしまった場合のリスクもチェックしておきましょう。
目次
失業保険の受給中に労働時間が20時間を超えてしまった場合
失業保険(基本手当)の受給中に労働時間が20時間を超えてしまった場合、以下の3点を理解しておきましょう。
- 就職とみなされて基本手当の受給がストップする
- 就職促進給付は受け取れる可能性がある
- 一時的な超過の場合は例外になる可能性もある
就職とみなされて基本手当の受給がストップする
週20時間を超えてアルバイトをすると、就職したとみなされてしまいます。
なぜなら、雇用保険の加入条件は下記のように定められており、アルバイト先の被保険者の対象となるためです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
失業保険は求職者の生活の安定を図ることが目的のため、就職すると支給されません。
よって、失業保険(基本手当)を受給しているときは、週の労働時間を20時間未満に調整する必要があります。
就職促進給付は受け取れる可能性がある
就職促進給付とは、失業者に早期再就職を図るための制度です。
失業保険(基本手当)を受給していた方が就職した場合、一定の要件を満たすことで支給されます。
- 再就職手当
- 就業手当
それぞれの制度の内容や受給要件を詳しく解説します。
再就職手当
再就職手当とは、安定した就業先が見つかり、その入社日前日までに基本手当の支給残日数が3分の1以上残っているときに支給される手当です。
再就職が早いほど多くの金額が支給されるのが特徴で、基本手当の支給残日数によって給付率が異なります。
- 3分の2以上:基本手当の支給残日数×70%
- 3分の1以上:基本手当の支給残日数×60%
ただし、3年以内に再就職手当を受け取ったことのある人や、就職先で1年を超えての勤務が確実でない人は受給できません。
ほかにも支給要件が定められているため、ハローワークの窓口で尋ねてみましょう。
また、再就職先で6ヵ月以上働いてみて、賃金が以前の職場より低い場合には「就業促進定着手当」を受け取れる可能性があります。
就業手当
就業手当とは、基本手当の支給残日数が3分の1以上かつ45日以上残っている状態で、パート・アルバイト、派遣社員などの非正規雇用として就業した場合に支給される制度です。
支給額の計算方法は、下記のとおりです。
- 基本手当日額×30%×就業日=支給額
再就職手当は1年を超えて雇用されるときに受け取れる手当であるのに対し、就業手当は雇用期間が1年未満の職に就いた場合に支給されます。
短期での就業であっても利用できるメリットがありますが、1日あたりの上限額は1,887円(60歳未満)と支給額は少なめです。
一時的な超過の場合は例外になる可能性もある
週20時間以上の継続的な労働は就職とみなされ失業保険(基本手当)は受け取れなくなりますが、一時的なケースであれば、要件に該当しないと判断される可能性があります。
もし人員不足や繁忙期などが原因で一時的に20時間を超えてしまっても、その週だけ例外として対応してもらえるかもしれません。
判断に迷ったら、まずはハローワークに相談しましょう。
失業保険受給中のアルバイトが20時間を超えてしまっても隠せる?
週の労働時間が20時間を超えてしまっても、隠していれば失業保険(基本手当)を受け取り続けられると考える方もいるかもしれません。
しかし、虚偽の申告は認められず、不正受給にはペナルティも設けられています。
ここからは、労働時間を正直に申告しなかった場合のリスクを確認しておきましょう。
基本的にバレる
虚偽の申告は、基本的にバレる可能性が高いといえます。
偽った場合は不正受給とみなされるため、20時間を超えて労働してしまったときには正直にハローワークへ申告してください。
ハローワークは独自の調査で厳しくチェックしているほか、第三者からの通報やマイナンバーがきっかけで知られるケースもあります。
勤務先に迷惑がかかる可能性もあるため、正しく申告しましょう。
3倍返しのリスクがある
労働時間を偽ったり収入を申告をしなかったりした場合、ペナルティが設けられているため注意が必要です。
まず、不正行為が行われた以降は基本手当の支給が停止となり、受給資格を失います。
また、不正受給で得た失業保険は、全額返還しなければなりません。
悪質な場合、返納分とは別でさらに2倍以下の金額の納付が必要です。
例えば50万円分を不正受給した場合、50万円の返還かつ2倍の100万円を命じられます。
このように3倍返しを求められるだけでなく、延滞金もかかるため、実際はそれ以上の金額を納付しなければいけません。
失業保険の受給中に労働時間が20時間を超えてしまったら正直に申告しよう
失業保険(基本手当)の受給中に週の労働時間が20時間を超えてしまったら、ハローワークにその旨を相談してみてください。
その時点で就職したと判断されるのが一般的ですが、一時的なケースであれば特別に対応してもらえるかもしれません。
虚偽の申告をしても基本的にはバレるため、正しく申告することが大切です。
不正受給となると支給がストップされ、悪質な場合は3倍程度の金額を返納する必要があります。
失業保険は求職者の生活の安定を保障するための制度であるため、ルールを守って正直に申告しましょう。