雇用保険の基本手当(失業保険)は、一定の条件を満たすことで所定給付日数の延長が可能です。
この記事では、給付を延長する方法や、対象者について解説します。
また、延長申請が難しい場合の方法として、扶養に入るという手段もあります。
失業保険が終わったあと、どうすれば良いのか不安な方は、本記事を参考にして自分に合った対策をしましょう。
目次
失業保険の90日が終わったあとの流れ
失業保険の所定給付日数は、退職理由と被保険者であった期間、年齢によって決まります。
例えば、自己都合による退職で、雇用保険の被保険者期間が10年未満の場合、失業保険の給付日数は90日です。
所定給付日数を終えたあともまだ無職であった場合、以下の選択肢を取ることができます。
- 状況に合わせた所定給付日数の延長申請をする
- 扶養に入る
所定給付日数を延長申請できるケースはいくつかあるため、自分に当てはまるものがあるかを確認しましょう。
また、延長しない場合は、扶養に入るのも得策です。
それぞれの流れに関して、以降の見出しで詳しく解説します。
失業保険の90日が終わっても延長できる制度は?
失業保険の給付日数を延長できる制度として、以下のようなものがあります。
- 訓練延長給付
- 個別延長給付
- 広域延長給付・全国延長給付
いずれの制度も、利用するためには一定の条件を満たす必要があります。
一つずつ見ていきましょう。
訓練延長給付
訓練延長給付とは、ハローワークから受講指示があった公共職業訓練を受ける場合、訓練を受けている期間であれば、失業保険を給付日数を超えて受給できる制度です。
また、受講のために待機する期間がある場合には、待機手当として、同じく給付日数を超えた受講が可能になります。
個別延長給付
個別延長給付は、会社都合での退職や契約の更新がされずに退職した場合が対象となります。
さらに、以下の要件のいずれかへの該当が必要です。
- 心身の状況が難治性疾患や発達障害などの方
- 災害により退職を余儀なくされた方
上記の条件に当てはまるかどうか判断しにくい場合は、ハローワークに相談しましょう。
また、個別延長給付を受ける場合は、求職活動を積極的に行なっていることが条件になるので注意しましょう。
所定日数が90日の場合は、求人への応募回数が3回必要です。
失業保険が90日の場合、難病などにより退職した方の給付延長は60日分です。
災害により退職を余儀なくされた方は、120日分延長できます。
広域延長給付・全国延長給付
広域延長給付とは、失業者が多数発生した地域で、広い範囲で職業の紹介を受ける必要があると認められた方が受けられる制度です。
90日分を限度に失業保険の給付が延長されます。
過去には東日本大震災のときに岩手県や宮城県、福島県の市町村で実施されました。
全国延長給付とは、全国的に失業者が増えて、求職の状況が悪化した場合に、失業保険を受けるすべての方が受けられる制度です。
広域延長給付と同様、90日分支給が延長されます。
失業保険受給が終わったら扶養に入るのも得策
失業保険の給付が終わったら、翌日から扶養に入ることも可能です。
扶養に入ることで、国民年金や国民健康保険の保険料の個人負担がなくなるメリットがあります。
退職してすぐ扶養に入ることもできますが、その場合、失業保険は受給できません。
保険料の自己負担よりも、失業保険の受給のほうが多い場合は、損をするので注意しましょう。
このような場合は、失業保険の受給が終わったあとで扶養に入るのが得策です。
失業保険の受給が終わったあとで扶養に入る場合、自分で手続きする必要はありません。
扶養者の会社で、扶養の申請を行なってもらいます。
なお、申請には雇用保険受給資格者証のコピーが必要です。
失業保険の90日が終わったら状況に応じて速やかに手続きをしよう
失業保険の受給日数は、状況に応じて延長できる場合があります。
事前に制度の理解を深め、速やかに手続きができるようにしましょう。
また、扶養に入ることを検討する場合も、失業保険を受給したあとの手続きがおすすめです。
制度の手続きなどが不安な方は、できるだけ早めにハローワークに相談しましょう。