失業保険(基本手当)の受給をしていても、再就職や扶養に入る、求職活動をしていないなど、受給要件を満たさない場合は途中でやめることになります。
本記事では、失業保険(基本手当)を途中でやめる方法や必要な手続き、不正受給に関する注意点を紹介します。
また、失業保険(基本手当)の再開や再就職手当の受給についてなど、失業保険を途中でやめる際のよくある疑問も解説しているので、失業保険の受給に関して気になる方は、参考にしてください。
目次
失業保険の受け取りを途中でやめるシーン
失業保険の受け取りを途中でやめるシーンは以下の3つです。
- 再就職が決まった場合
- 家族の扶養に入りたい場合
- 年金を受け取りたい場合
それぞれの場合を具体的に解説します。
再就職が決まった場合
失業保険(基本手当)はすぐに就職をする意思があり、求職活動を行っている状況で、就職ができない場合に受け取れる手当です。
再就職が決まると求職活動も終了するため、失業保険の受け取りはできなくなります。
失業保険受給中に再就職が決まった場合は、所定の要件を満たせば再就職手当を受給できます。
家族の扶養に入りたい場合
家族の扶養に入ると、就職して給与を受け取る意思がないとみなされ、失業保険を受け取れなくなります。
ただし、要件を満たす場合は、扶養に入っても失業保険を受け取れる場合があります。
例えば、全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する健康保険の場合、失業給付の日額が3,611円以下ならば、失業給付の受給中でも扶養に入ることが可能です。
年金を受け取りたい場合
年金と失業保険を同時に受け取ることはできません。
再就職をやめて年金を受け取りたい場合、失業保険の受け取りもやめなければなりません。
逆に年金を受けていてハローワークで求職の申し込みをした結果、失業保険の給付が始まった場合には、年金の支給が停止されます。
失業保険の受け取りを途中でやめる方法
失業保険の受け取りを途中でやめるためには、ハローワークに再就職などを報告します。
また、単に求職活動を証明する失業認定手続きを行わないという方法もあります。
それぞれの方法について、具体的に見ていきましょう。
再就職が決まったらハローワークに申し出る
再就職が決まった場合は、ハローワークに報告して失業保険の受け取りを中止します。
再就職手当の受給要件を満たす場合は、必要な手続きをすれば、失業保険の給付を止めて再就職手当の給付を受けることが可能です。
再就職手当の要件を満たさない場合でも、就職した時点で失業保険の受給要件から外れます。
後述する不正受給にならないためにも、再就職が決まったら忘れずに申し出るようにしましょう。
失業認定手続きを行わなければ終了となる
家族の扶養に入る、求職活動をやめて年金で生活するなどで再就職の意思がない場合は、失業保険の受給要件を満たせなくなり、受け取りは終了となります。
失業保険を受け取るためには、就職しようとする積極的な意思をもち、実際に求職活動をしている必要があります。
そのため定年後ゆっくり休養したり、家事に専念したりする場合は、失業保険の受給はできないのです。
ほかに妊娠や出産、病気や怪我などで就職が困難な場合も、失業保険の受給要件から外れます。
基本手当を受給するためには、4週間に一度、失業認定申告書をハローワークに提出し求職活動の状況を報告しなければなりません。
この失業認定の手続きをしなければ失業保険は支給されず、申告書の提出期間が過ぎれば自動的に支給終了となります。
失業保険の受け取りを途中でやめる場合は不正受給に注意
失業保険の受け取りを途中でやめる場合は、不正受給をしないように注意が必要です。
不正受給とみなされる行為の例や、不正受給をした場合のペナルティについて紹介します。
不正受給とみなされる行為
不正受給とみなされる行為は、次のようなケースがあります。
- 実際には行っていない求職活動を申告する
- 就業や事業、内職をしているにも関わらず申告しない
- 会社役員に就任しているのに申告しない
- 求職活動や就業などについて偽りの申告をする
求職活動の状況や就業の有無などは、ハローワークに提出する「失業認定申告書」に記載します。
失業認定申告書に必要な内容を記入しなかったり、虚偽の内容を記入したりして失業保険を継続して受け取った場合、不正受給とみなされる可能性があります。
求職活動の状況や就業の有無は、ありのままに申告しなければいけません。
不正受給とならないためにも、再就職が決まったり、扶養に入ることになったりしたら、ハローワークに速やかに報告しましょう。
不正受給した場合のペナルティ
不正受給をした場合は、発覚以降の失業保険は受給されず、不正受給した相当額の金額を返還しなければなりません。
またペナルティとして、不正に受給した金額の2倍に相当する額以下の納付が求められます。
不正受給を行うと、失業保険を継続して受けられないばかりか、ペナルティによって生活がより困難になる恐れがあります。
ハローワークには、迅速にありのままを報告するよう心がけましょう。
失業保険を途中でやめる際によくある疑問
失業保険を途中でやめる場合、次のような疑問がよく見られます。
- 再就職手当の受給は可能か
- 失業保険の再開は可能か
それぞれの疑問について回答します。
失業保険(基本手当)を途中でやめても再就職手当の受給は可能?
再就職をして失業保険(基本手当)の受給を途中でやめた場合でも、再就職手当の受給は可能です。
再就職手当は、正式には「就職促進給付」のなかの「就業促進手当」に含まれます。
再就職手当は求職者に1日でも早い就職を促すための手当で、失業保険(基本手当)の給付日数が一定以上残っていることが受給要件です。
詳しい要件は以下のとおりです。
再就職手当を受け取る要件 |
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● 失業保険の日数が1/3以上残っている ● 7日間の待期期間のあとに就職した ● 1年以上勤務することが確実である ● 過去3年以内の就職で再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けたとこがない ● 雇用保険の被保険者である ● 離職した事業主と関わりがない事業主に就職した |
退職後なるべく早く再就職先を見つけることで、再就職手当の額が大きくなります。
失業保険を途中でやめても再開できる?
失業保険の途中で再就職してもすぐに離職した場合、再就職前に受給していた失業保険の受給期間満了前であれば、残り日数分の手当を受け取れます。
失業保険を受給できる期間は、離職日の翌日から原則1年間です。
そのため、離職して1年以内に再就職と再離職をした場合は、最初の離職から1年が経過するまでの失業保険が受け取れます。
例えば1月1日に離職した場合は、失業保険の受給期間は同年の12月31日までです。
もし4月に再就職して5月に離職したら、12月31日まで受け取れる予定だった失業保険の受給が再開されます。
上記のような要件に当てはまる場合はハローワークで確認して、失業保険の再開をしてもらいましょう。
失業保険を途中でやめたい場合は早めにハローワークへ相談しよう
積極的に求職する意思がなく求職活動をしなければ、受給要件を満たさず失業保険を途中でやめることになります。
ただし、失業保険をやめる必要があるかどうかや不正受給にならないかどうかは、ハローワークで判断を受けることがおすすめです。
また失業保険を途中でやめても、再就職手当を受け取れる場合があります。
もし失業保険を途中でやめる場合には、自分だけで判断せず早めにハローワークに相談しましょう。