失業保険を不正受給すると、状況に応じた厳しいペナルティを受けなければなりません。
悪意を持っていた場合はもちろんのこと、不正受給だと気付かずに受け取ってしまったケースも同様です。
本記事では、失業保険の不正受給がバレる理由と、バレた場合の罰則を詳しく解説します。
「不正受給はバレるもの」だと認識し、正しい形で失業保険を受け取りましょう。
目次
失業保険の不正受給がバレる理由やタイミングは?
失業保険の受給中・申請中にお金を稼ぐ行為は、不正受給とみなされます。
「黙っていればバレないのでは」と考えるかもしれませんが、失業保険の不正受給は次のようなケースから発覚します。
- 不正受給だと通報された
- 本人から申し出があった
- 事業所調査からバレた
- 失業認定で虚偽申告してバレた
ここでは、失業保険の不正受給がバレる理由を詳しく解説します。
なお上記はあくまで一部の例で、ほかの経緯から不正受給が発覚する可能性もあると覚えておきましょう。
通報による失業保険不正受給の発覚
失業保険を受け取りながらパート・アルバイトで働いていることを見聞きした人が、ハローワークに通報してバレるケースです。
パート・アルバイト仲間や友人との会話中にうっかり話した内容が広がり、正義感や妬みを持った人から通報される可能性があります。
周囲に話さなければ気付かれることはなくとも、罪悪感やお酒の勢いで口を滑らせてしまわないとも限りません。
また、第三者からの通報でバレた場合、自分自身も誰が通報者なのか疑心暗鬼になります。
信頼していた友人を疑ってしまい、周囲の人間関係が悪化する恐れもあるでしょう。
密告されないよう気をつける以前に、不正受給に該当する働き方はしないのがベストです。
本人の申し出による失業保険不正受給の発覚
ハローワークに出向いて担当職員と話しているとき、自分から不正受給を申し出るケースもあります。
受給中のパート・アルバイトは、待機期間中を除けば可能です。
ただし、支給不可や減額になるのを避けるため、わざと申告しなければ処分の対象となります。
自分で不正受給を理解していて後ろ暗い気持ちでいるときに、親身になってくれる担当職員から質問されると、つい事実を話してしまう人は珍しくありません。
受給期間中であっても1日4時間未満でしたら、パート・アルバイトをしても失業保険を受け取れます。
この場合も、必ず申告を忘れてはいけません。
正しく申告すれば減額(働いた日数と得た収入の額に応じて減額される金額は異なります)されますが、故意に申告をしないと、「給付を受けた金額の3倍相当額」という大きな金額の返還命令が出てしまう恐れがあります。
事業所調査による失業保険不正受給の発覚
ハローワークの事業所調査でも、失業保険の不正受給はバレます。
事業所(会社や店舗など)は、雇用形態・金額を問わず、各地方自治体に給与支払報告書を提出しなければなりません。
マイナンバー制度導入以降、行政機関は税金の管理を目的としてマイナンバーに紐づけられた情報の使用が可能となっています。
給与支払報告書の内容と対象者の税金の流れに違和感があれば、不正受給を疑って行政機関がすぐに行動へ移すでしょう。
事業所調査が入って本人確認されたとき、不正受給はすでにバレていると考えられます。
同時にパート・アルバイト先へも迷惑がかかるため、申告は正しく行うことが大切です。
失業認定の際に不正受給が発覚
失業認定で虚偽申告がバレて、不正受給が発覚するケースもあります。
失業認定は、雇用形態を問わず就労状態にないことを確認するために行われるものです。
4週間ごとの失業認定日に、失業認定申告書へ状況を記載し提出しなければなりません。
その際、本当は就労しているにも関わらず虚偽申告をすると、不正受給と判断され受給資格を失います。
このルールを守らず虚偽申告をするのは避けましょう。
失業保険の不正受給がバレた人はどうなる?
ここまで失業保険の不正受給がバレる理由を紹介してきましたが、バレたあとは状況に応じた処分命令を受けます。
具体的な処分内容は、以下のとおりです。
- 失業保険の支給停止
- 不正受給分の金額を返納
- 受給額の3倍額 を返納
- 財産の差し押さえ
不正受給は、故意でなかったとしても処分対象です。
処分命令を受けた場合、生活が困窮するリスクや刑事告訴の可能性もあります。
処分命令の内容を理解したうえで、あらためて不正受給をしないよう心に留めておきましょう。
不正発覚後は失業保険がもらえない
不正受給が発覚したら、失業保険を受け取れなくなります。
待機期間中に発覚した場合は、一銭も受け取れません。
失業保険受給中の人は、不正の発覚日以降から受給資格を失います。
受給期間中は、申告すればパート・アルバイトとして働くことも可能です。
不正を隠して受給期間が短くなるリスクを背負うより、申告して規定金額を受け取れるようにしましょう
不正受給した失業保険全額を返納しなければならない
不正受給した失業保険は、全額返納を求められます。
返還命令と呼ばれる処分です。
注意勧告ではなく命令なので、即時返納しなければなりません。
この返還命令では、不正受給した金額の返納に加え、残りの受給期間の資格も失います。
つまり失業保険を一切受け取れない状態と同じといえるでしょう。
不正受給を行うことは、リスクはあってもメリットのないものだとわかります。
場合によっては受給額の2倍+延滞金の返納が求められる
悪意を持って不正受給していた人には、返納とは別に不正受給金額の2倍額の追納が求められます。
納付命令と呼ばれる処分です。
返納金と合わせると3倍の金額になるため「3倍返し」と呼ばれ、不正受給した金額以上を返納しなければなりません。
また、返納額に対して延滞金(起算日は不正受給を開始した日で、発覚した日ではありません)が科されるため、実質的には3倍額よりも少し多い金額を返納することになります。
さらに受給資格が取り消されるため、受給期間が残っていても失業保険を受け取れなくなります。
悪質な不正受給には、厳しい処分が待っています。
最悪財産の差し押さえも
返納命令や納付命令、延滞金の支払いを無視した場合、財産を差し押さえられる可能性があります。
所有している不動産・車やバイク・貴金属類などが差し押さえの対象となるため注意しましょう。
また、返納の意志がなく悪質だと判断された場合、詐欺罪で刑事告訴されるリスクもあります。
不正受給が発覚して処分命令を出されたら、速やかに対応するのが賢明です。
失業保険の不正受給は必ずバレるので正直に申告を
失業保険の不正受給がバレる理由には、他者からの通報や事業所調査、本人が申し出る場合などさまざまなケースがあり、高い確率でバレるといえます。
身の回りに「不正受給がバレなかった」という人がいても、あてにしないようにしましょう。
バレた場合、失業保険の給付金を受けられなくなったり、受け取った以上の金額を返納請求されたりといった罰則が待ち受けています。
たとえ悪意がなかったとしても、失業保険の申請中や受給期間中にハローワークへ申告せず働くのは厳禁です。
雇用形態を問わず短期・少額でも賃金を受け取る可能性があるときは、ハローワークに正しく申告しましょう。