医療・介護業界で働いたことがある人に仕事のホンネを伺うインタビュー企画。第6回目の今回は、医療従事者として勤務しながら多方面で活躍する4名の方にご協力いただきました。前編では両立することの大変さと両立のコツを伺います。
東京都在住。看護師6年目。現在は内視鏡室で勤務しながら、コンセプトカフェのキャストやアイドル活動に注力中。自身の活動と看護師の両立を行うため、ICU、ER、外来、保育園、デイサービス、保健所など、さまざまな働き方に挑戦した経験を持つ。
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医療機器販売代理店の企業看護師として勤務しながら広報活動を兼任している。
現在、広告モデルや美術作品モデルとして活動中。
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7児の母。第1子出産後、正看護師免許を取得。
現在はホスピスにて月10回夜勤専従で勤務している。
ピアノ・リサイタルをはじめ、病院や施設での慰問演奏や
保育園での「弾き聴かせ会」などの演奏活動を行う。
自身のYouTubeチャンネル「ピアノを弾く看護師さん」を運営。
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医療の道に進んだ理由
みなさんのご職業や医療の道に進んだ理由をカンタンにまとめました。
お名前 |
ご職業 |
理由 |
櫻木さん |
看護師 |
音楽との両立 |
藤咲さん |
薬剤師 |
ご家族の影響 |
水波さん |
看護師 |
医療従事者への憧れ |
横山さん |
看護師 |
補助金制度 |
――まずは、みなさんがどのようなキッカケで医療の道に進んだかお聞かせください。
私は、大好きな音楽を精一杯やるため、安定した看護師をめざすようになりました。音楽は給与面の安定が難しい仕事なので、需要があり安定した収入を得ながら音楽をやりたいと思って医療の道に進みました。
私の祖母と両親が薬剤師で、実家は調剤薬局を営んでいました。幼い頃から家族の仕事ぶりを見ていたので薬剤師に憧れていました。また、アイドルをはじめとした芸能活動も夢で悩んでいたのですが、親に薬剤師の資格を取ってからでも芸能活動はできるから、まずは薬学部に進むのが良いのではないかとアドバイスされたことがキッカケです。
私は障碍を抱える家族がいたため、訪問看護に来る看護師や医師を身近に感じていたことがキッカケです。また、岩手に住んでいたときに東日本大震災があり、医療従事者が活躍している姿を生で見た経験から、看護学校への入学を本格的に決めました。
私が看護師になった理由は補助金制度が大きかったです。音大を卒業後、出産や離婚が重なりピアノが弾けなくなりました。ピアニスト以外の道を探していたとき、市役所のホームページから、資格取得をめざすシングルマザーを対象にした補助金があることを知ります。月額10万円台前半の補助金がいただけたので、子育てと両立しながら安心して資格の勉強ができました。
両立するうえで大変に感じるところ
次に、医療のお仕事と芸能活動の両立において大変だと感じた点を伺いました。
お名前 |
ご職業 |
大変だと思うこと |
櫻木さん |
看護師 |
転職と新曲発表のタイミングが重なる |
藤咲さん |
薬剤師 |
出勤日数による職場への慣れ、直前のスケジュール変更 |
水波さん |
看護師 |
体力的な負担、スケジュール |
横山さん |
看護師 |
特になし |
――医療のお仕事と芸能活動の両立において大変だと感じたことを教えてください。些細なことでも大歓迎です!
職場への慣れ
皆さんも経験があるかなと思うんですけど、新しい業務を覚えるときや新しい職場に転職してからの働き出すタイミングは大変だと感じていました。特に、物品の置き場を覚えることが大変です。
アイドル活動で新曲を出すときに転職が重なってしまったりすると、覚えなければいけない歌や踊り、覚えなければいけない人の名前、物品の置き場が山積みになり大変です(笑)はじめは戸惑ったことがあり、時間や労力がかかってしまいますね。
――看護師さんや薬剤師さんは、職場にある物品や器具の数が多いですもんね。
櫻木さんも仰っていたように、薬剤師は「薬の配置」を覚えることが大切だと考えています。でも、活動両立の関係でシフト勤務が週1〜2回になると、薬の置き場所を忘れてしまったり、そもそも置き場所自体が変更されていたり(笑)週の勤務日数が少ないので、そういった部分で職場に馴染むのが大変だなと思うことがありました。
スケジュールや体力的な負担
――水波さんは活動を両立するうえで大変だと感じたことはありますか?
基本的に看護師のような現場仕事ってやっぱり体力をすごく使うんです。それで、土日や休日にモデルの仕事を入れると、きついなと思うことがあります。常勤で働いて、休日や仕事の合間にモデルの仕事も入れる形で活動しているのですが、最初は仕事を詰め込みすぎてしまって、体調を崩して迷惑をかけてしまうことがありました。
――芸能活動との両立はスケジュールが大変そうですね。
アイドル活動で、平日に急にレッスンが入ったり撮影が入ったりすることが多く、前もってシフトを出しても「すみません。遠方で撮影が入ってしまいどうしてもお休みをいただきたいです」と伝える場面があり、かなり迷惑かけてしまったなということが大変でした。
――横山さんはいかがですか?
看護学校に通っていた頃は両立が大変だと思うことはありましたが、看護師として働く現在は負担が少ないと感じます。月に10回ほどの「夜勤専従」という働き方なので、昼間は家にいられて、ピアノの練習もでき、ピアニストとしての活動もしっかりできているかなと。
仕事を両立するポイント
皆さんが仕事と芸能活動を両立するためのポイントを伺いました。
お名前 |
ご職業 |
両立のポイント |
櫻木さん |
看護師 |
自分のキャパシティを知ること |
藤咲さん |
薬剤師 |
面接時点で職場に伝えて理解を得ること |
水波さん |
看護師 |
体力や健康面とのバランスを保つこと |
横山さん |
看護師 |
自分らしくいられること |
――医療の仕事と芸能活動の両立について、普段の生活で意識している点はありますか?
やっぱり自分のキャパシティを知ることから始めるべきだと思います。自分がどれくらいまでなら、元気に活動することができるかを知ることをおすすめします。「もう限界だ」「これ以上、タスクを詰めたらパンクする」のような状態になる前に休むことが大事です。限界を見誤るのは危険ですね……。私の場合は睡眠時間をベースに考えていて、5時間を下回らないように心がけています。
両立するために体力面の負担を考え、日勤として働ける仕事が良いと思います。活動が重なって忙しくなったり、夜勤があるとすぐに体調崩すタイプだからです。生活リズムが崩れると肌荒れを起こしやすく、撮影のときにニキビができてしまって失敗したことがあるので、生活リズムは何よりも第一に整えなければいけないということを自覚しました。
――撮影のお仕事は健康状態が大きな影響を与えますよね。
私は、働き先から早い段階で理解を得ることを大切にしていました。「アイドルとしての活動を頑張りたい気持ちもあって、薬剤師と両立していきたいと考えている」と、早い段階で伝えることが大事です。両立することで、どうしても迷惑をかけてしまう部分もやっぱりあると思うので。
――具体的には、どのようなことを心がけましたか?
私は面接のときにシフトが不定期になりやすいことはお伝えしていました。内定後に伝えると採用してくれたのにギャップを与えてしまうので、働き始めてからの仕事を円滑にするためにも早い段階で伝えていました。
――たしかに、事前に伝えておいたほうが職場の協力も得られやすそうです。
私は、自分のキャパシティや職場の理解に加えて、自分らしくいられることを大切にしてますね。私の場合、看護師といってもオペ室でメスを渡すよう、「手に汗握る業務」は合わないと感じます。今は、人にゆっくりと寄り添う仕事を心から楽しんでできているので、自分らしくいられているなと思います。
――自分自身が楽しむことで精神的な充足感につながり、それぞれの活動にもハリが出そうです。
そうですね。人生の「1/3は仕事」とも言われていますもんね!
前編のまとめ
前編では、皆さんから2つの仕事を両立する大変さと、どのように仕事を両立しているかを伺いました。皆さんのお話をまとめると、以下の3点が両立のポイントとして見えてきました。
- 体力や健康面に気を遣うこと
- 働き始める前に職場の理解を得ること
- 自分らしくいられる職場を選ぶこと
仕事の両立に対する悩みや解決策について、皆さんおおむね共通しているようです。後編では、実際にどのような点を意識して求人を探していたのか、仕事の探し方を深掘りします。
執筆者について
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