第二新卒からの転職をめざす際の面接では、必ずといって良いほど転職理由を質問されます。
第二新卒には、社会人歴数年で転職を考えているという背景があります。
面接官は第二新卒の候補者に対し、「些細な理由で辞めてしまう人ではないか?」「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか?」と疑念を抱きがちです。
そのため、転職理由についての質問には、面接官の疑念を取り払えるような、前向きな回答を準備しておく必要があります。
本記事では、第二新卒が転職理由を聞かれた際の答え方のポイントを解説します。
例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
第二新卒はなぜ転職理由・退職理由を面接で聞かれる?
第二新卒とは、大学卒業後に新卒で入社し、3年以内に転職を考えている人を指すことが多いです。
第二新卒が面接で聞かれることが多い質問に、転職理由・退職理由を問うものがあります。
なぜこのような質問をされるのか、面接官の質問の意図や背景を理解して、答えにくい質問を攻略しましょう。
仕事に対する優先度や姿勢を見たい
第二新卒は、新卒で入社してから数年以内に退職を決めているため、面接官としては何か譲れない条件があって退職したのではないかと想像するでしょう。
退職理由を聞くことで、応募者の仕事に関する優先度を知ることができます。
同時に、「応募者が今回の仕事に対してどのくらい意欲があるか?」「前職を退職する理由となった条件を今回の仕事が満たしているのか?」なども重要なポイントです。
よって、応募者にとって退職理由を述べることは、今回の仕事に対する意欲や、仕事で大事にしていることをアピールする機会になります。
長期的に働けるか?すぐ辞めてしまわないかを見定めたい
前職を数年で退職しているため、面接官は「今回も短期間で辞めてしまうのではないか」と懸念を持っています。前職の退職理由を聞いて、その懸念を払拭できるか判断したいのです。
退職理由を聞かれた際には、将来のビジョンがあり、先を見通せていることをアピールすると、長く働いてキャリアを形成する心づもりがあると印象付けられるでしょう。
第二新卒が転職理由を答える際のポイント
第二新卒が面接官に転職理由を答える際、気を付ける点をまとめます。
面接官の意図を汲み、転職理由を自己アピールにつなげて効果的に答えましょう。
ネガティブをポジティブに変換する
転職理由は不満やストレス要素など、ネガティブな要素が多くなりがちです。
しかし、ネガティブな内容はポジティブな表現に言い換えることで、面接官に与える印象が良くなります。
例えば、前職の業務内容が自分に合わなかったのであれば「新しい分野にチャレンジしたい」、人間関係がうまくいかなかったのであれば「チームワークを活かせる職場で働きたい」などの言い換えが可能でしょう。
辞めた理由を志望理由につなげる
辞めた理由が前職の問題点だとすると、それを改善したり、不満を解消したりする手段として転職を選択したことになります。
転職先では問題点が解決されるという考えが、志望動機につながるのです。
この思考過程が論理的につながっていることが重要です。
ただ嫌で辞めたのではなく、ビジョンを持っていることで面接官は将来性を感じることができます。
不平不満ではなく冷静な分析を述べる
転職理由を話し出すと不満やストレスが思い起こされ、感情が入ってしまう場合もあると思いますが、感情的になるのは良くありません。
面接の目的は、退職理由が妥当かどうかを面接官に判断してもらうことではなく、次の職場で何ができるか、どのようなキャリアを描いて応募したかを説明することです。
退職理由から、働くうえでの自分の希望をあらためて分析しましょう。
その結果を応募企業が求める人材像と照らし合わせながら、自分がどのように貢献できるのかをまとめます。
退職理由に関する自己分析がきちんとできることや、同じことを繰り返さないことを印象付けましょう。
【NG例】第二新卒の転職理由として印象の悪い答え方
ここでは、転職理由を聞かれた際に、避けるべき答え方を紹介します。
理由に嘘・言い訳がある
転職理由を述べる際、嘘をついたり、言い訳をしたりはしないようにしましょう。
嘘をつくと、どこかでつじつまが合わなくなってしまった場合に信頼を損ねます。
話しにくい内容だったとしても、嘘をつかない範囲で、ポジティブな面を話していく工夫が必要です。
また、言い訳が多いと、無責任な印象や不信感を与えてしまいます。
内部事情を漏らす
同業他社に転職を希望する場合には特に、内部情報の漏洩に注意を払う必要があります。
加えて、内部事情を必要以上に批判したり明らかにすることも避けましょう。
信頼を失い、採用が遠のく可能性があります。
他責思考
転職理由を他責思考で答えると、すぐ人のせいにして、自分の分析や反省ができていない印象を与えます。
何か問題が起こった際に環境のせいにばかりしていては、前進がありません。
自分の反省点や改善点を検討し、行動するプロセスが重要です。
他責思考を持つ人は、どのような環境にいてもその傾向が強いと考えられるため、「またすぐに辞めそう」と判断されてしまうでしょう。
キャリアプランがあいまい
「成長したい」「力を発揮したい」「キャリアアップしたい」などは、意欲をアピールするときによく使われる言葉ですが、それだけでは漠然とした印象を与えてしまいます。
「接客で培った対人スキルを活かして営業として活躍したい」など、具体的にキャリアプランを述べ、説得力を高めましょう。
第二新卒の転職理由のまとめ方
ここでは、第二新卒が転職理由をまとめる際のポイントを解説します。
自己分析を徹底する
徹底した自己分析を行い、その結果を簡潔に論理的に述べることが重要です。
前職を選んだ理由、辞めたい理由、今回の転職で実現したいことを並べて分析すると、自分の希望を明確に形にしやすくなります。
面接の際にも、上記の順番で述べると論理的に伝えやすいでしょう。
筋が通った主張を展開できる点も、面接でのアピールポイントになります。
問題解決の努力をしたことを述べる
退職理由となった問題が出現してから、自分で問題を解決しようと分析して努力をしたエピソードを述べると、問題解決能力のアピールにつながります。
例えば「上司に相談して問題となるシステムを改善する努力をした」「自力で資格の勉強をした」などが挙げられるでしょう。
努力の内容を具体的に示し、それでもおよばず転職を決意した、という流れが最も伝わりやすく、論理的な構成です。
面接官の知りたい内容を押さえる
面接官が退職理由を質問する理由に立ち返って、知りたい内容をしっかり答えることが重要です。
目的は、辞めた理由が妥当かどうかの判断ではありません。
仕事で重要視していることや、仕事に対する姿勢、辞めずに続けられることを伝えましょう。
【例文&解説】第二新卒の転職理由
続いて、転職理由の例文を紹介します。
今回は、よくある転職理由として、以下の6例をピックアップしました。
- 人間関係
- 給料や労働条件・勤務地などの不満
- キャリアアップ・スキルアップ
- 仕事内容への不満によるキャリアチェンジ希望
- 上司からのハラスメント
- 病気
順番に見ていきましょう。
人間関係【例文】
私は、個人プレーでする仕事よりも、チームでプロジェクトを達成することに大きなやりがいを感じます。
チームをマネジメントする経験をさらに積み、管理職としてチームを構築していきたいと考えています。
しかし、前職ではチームより個人で仕事を進めることが慣例になっていて、相談や議論をする機会があまりありませんでした。
自分から部署の仕事に貢献できることを探して補うよう努力してきましたが、チームワークを発揮するという目標の達成が難しく、チームを重要視する雰囲気のある職場への転職を決めました。
御社のプロジェクトを拝見して、チームの機動性を重視している点に魅力を感じて志望いたしました。
給料や労働条件・勤務地などの不満【例文】
転職理由は、適正に成果を評価し、労働条件に反映させてほしいという希望があったためです。
前職では、年功序列の給与体系があり、社内の昇給の制度が不明確なうえに、僻地の勤務地への移動が突然決まることがありました。
評価基準が明確でないことや労働環境についての相談先がないことが問題と考え、社内制度を問い合わせたり、上司に相談したりしましたが、改善はかないませんでした。
このような経緯から、自分の実力を試し、力を発揮できる場を求め、転職を志すことにしました。
キャリアアップ・スキルアップ【例文】
転職理由は、営業でのスキルアップです。
前職では営業を担当し、主に定期発注の担当とフォローアップを受け持っておりました。
お客様と接するなかで、提案力を身につけスキルを高めたいと考えるようになりました。
上司に相談したり、提案書を作成したりしましたが、仕事内容は変わらず、フィードバックも得られませんでした。
御社で営業のスキルを磨き、提案から発注、フォローまで実力を伸ばし、貢献したいと考え応募しました。
仕事内容への不満によるキャリアチェンジ希望【例文】
営業職に挑戦するため、転職を志しました。
前職では営業職として応募したものの、経理を担当しておりました。
ビジネスマナーを身につけることができ、社内調整やコミュニケーション力の向上などやりがいを感じながら仕事をしてまいりましたが、部署移動が難しいことがわかりました。
培ったコミュニケーション力をお客様に対して発揮し、ニーズを汲み取って貢献する営業職に再挑戦したく、応募しました。
上司からのハラスメント【例文】
パワハラにあって転職を考える方もいますが、パワハラという言葉はできるだけ避け、内容を客観的に伝えるのみにとどめたほうが得策です。
前職では、個人の作業が中心となっており、業務も多岐にわたっていました。
新しい業務にも取り組んできましたが、成果に対しては評価が厳しく、新入社員が叱責されることも多かったです。
他部署の上司に相談したり、進捗状況を詳細に報告したり、途中経過でも不明事項を周囲に相談したりしましたが、あまりフィードバックを受けられずフォローの少ない状況が続き、部署内のシステムも変わりませんでした。
教育体制や相談体制の整った環境でスキルアップするため、転職をめざすことにしました。
病気【例文】
病気や体調不良の場合、正直に伝えたほうが良いです。
離職期間や休養を経て現在回復しているのであれば、それも述べましょう。
前職では長時間労働や休日出勤が多く、体調不良になってしまったため、退職し治療に専念しました。
休養と治療を経て、現在は回復しております。
御社では職務環境が整っていると聞き、仕事復帰して成長したいと思い、応募いたしました。
第二新卒への掘り下げた質問にも備える
第二新卒の方には、「すぐに辞めてしまうのではないか」といった懸念があるために特有の質問をされることがあります。
以下のような少し答えにくい質問に対しても、スムーズに答えられるよう準備しておきましょう。
「前職は最初から辞めるつもりだったのですか?」
「新卒の際に希望の企業ではなかったため、最初から転職するつもりで入社したのではないか?」といった旨の質問です。
希望の就職先ではなかったことや、就職後にギャップを感じたことは率直に認めて良いことです。
しかし、短期間で転職することを当然とした態度は印象が良くない可能性があります。
控えたほうが良いでしょう。
「やりがいを感じられなくなったらどうしますか?」
退職理由を「仕事の内容に不満を感じる」「スキルアップをめざしたい」とする人は多いです。
しかし、やりがいを感じられる仕事はごくわずかで、とらえ方でやりがいは大きく変わります。
業務のすべてにやりがいを感じられるとは限りません。
「仕事内容に不満があったので転職する」と考えた人が、「何でもやります」と答えてもつじつまが合わず、説得力がありません。
「どのような業務も将来役に立つ可能性があるので、ポジティブにとらえて業務に取り組みます」のような答え方が理想です。
「〇〇にもチャレンジしてもらうことになると思うが大丈夫か?」
誰にでも得意不得意があり、未経験分野や希望する仕事の範囲がありますが、面接では基本的にポジティブな回答をするのが鉄則です。
入職する前から仕事を選んで後ろ向きな回答をすると、印象が悪い可能性があります。
未経験であれば、事前に準備する内容を確認するなどして前向きな姿勢をアピールすると良いでしょう。
第二新卒者は転職理由をよく準備してアピールに活かそう
第二新卒者の転職理由をまとめる方法、印象の良い答え方、例文を解説しました。
面接前に自己分析するなど入念に準備をして、自己アピールにつながるような答えをまとめておきましょう。