収入が103万円を超えると配偶者の扶養から外れて損をしてしまう、と耳にしたことがある人もいるかもしれません。
しかし、ケースによっては、配偶者の扶養に入らずに働き、多くの収入を得たほうが良いこともあります。
配偶者の扶養に入ることにはメリット・デメリットがあるため、扶養に入るか否かで悩んでしまうこともあるでしょう。
この記事では、扶養に入るメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
これから仕事を探す人や、働き方を模索している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
扶養に入るメリット
配偶者の扶養に入ると、税制上と社会保険上の2つの側面から、メリットがあります。
ここでは、配偶者の税負担、医療費、国民年金、被扶養者の所得税の4つに分けて、扶養に入るメリットを詳しく見ていきましょう。
納税する配偶者の税負担が減る
納税する配偶者の税負担が減るのも、扶養に入るメリットの1つです。
例えば、妻(被扶養者)の合計所得金額が48万円以下で、夫(扶養者)の合計所得金額が1,000万円以下であれば配偶者控除が受けられ、所得税や住民税の税額を抑えることが可能です。
また、被扶養者の合計所得金額が48万円以上でも、133万円以下であれば配偶者特別控除の対象となります。
控除額は、被扶養者と扶養者それぞれの合計所得金額に応じて、1万円〜38万円の間で段階的に定められています。
医療費が3割負担となる
扶養に入ると、被扶養者は健康保険料を支払わなくても3割負担で医療を受けられるのもメリットの一つです。
自身の給与収入が130万円未満であるなどの要件を満たせば、配偶者や親族が勤め先を通じて加入している健康保険の被扶養者となるためです。
被扶養者は扶養者と同様に医療機関を受診したときは一部負担となり、出産したときには出産一時金を受け取ることもできます。
国民年金を払わずに受給できる
扶養に入ると、国民年金保険料の支払いを免除されたうえで、納付期間としてカウントされるのもメリットです。
65歳から支給される老齢年金を受け取るためには、最低でも10年間年金保険料を納付する必要があります。
しかし、厚生年金保険や共済組合に加入している配偶者の扶養に入ると、第3号被保険者となり、年金保険料の納付は免除されます。
一方で、給与収入が130万円以上の場合は、自身で国民年金の保険料を納めなければなりません。
令和4年の国民年金の保険料は1ヵ月あたり16,590円であることを考えると、扶養に入るメリットは大きいといえます。
被扶養者が所得税を負担する必要がない
扶養に入るために103万円に抑えることで、所得税を納める必要がなくなる点もメリットの一つです。
所得税は、1年間の給与収入から基礎控除(48万円)と給与所得控除(最低55万円)などの所得控除を差し引いた残額に、定められた税率をかけて算出します。
年間の給与収入が103万円以下で他に所得がなかった場合、給与所得控除と基礎控除を引いた金額は0に満たないため、所得税もかからない仕組みです。
扶養に入るデメリット
扶養に入るか決めるときには、デメリットについても理解しておきたいものです。
扶養に入ると、年金の受給額が少なくなる、働き方が制限されるなどのデメリットもあります。
ここでは、扶養に入るデメリットを詳しく見ていきましょう。
年金の受給額が少なくなる
扶養に入ると、年金の受給額が少なくなる恐れがあります。
前述したとおり、会社員や公務員である配偶者の扶養に入っていると、第3号被保険者として国民年金に加入するため年金保険料の納付義務は生じません。
しかし、日本の年金制度は国民年金と厚生年金の二階建て構造となっているため、厚生年金に加入していた場合と比べると、将来的な年金の受給額は低くなってしまいます。
年収が130万円を超えて扶養から外れた場合、社会保険料は発生しますが、65歳以降にずっと受け取れる年金額は増えることになります。
老後の資金を鑑みると、配偶者の扶養から外れて、しっかり働くのも方法の一つです。
働き方が制限される
扶養内で働くとなると、働き方が制限されるのもデメリットです。
扶養に入り続けるためには、103万円、130万円など給与収入の上限を超えないよう調整しなければなりません。
必然的に勤務時間や仕事内容が限られてしまうため、希望の働き方ができなかったり将来のキャリアが描けなかったりすることもあるでしょう。
妻が扶養に入るメリット・デメリットを押さえて働き方を考えよう
配偶者の扶養に入ると、税負担の軽減や健康保険料・国民年金保険料の支払い免除など、さまざまなメリットがあります。
一方で、扶養内と扶養外では将来的な年金の受給額にも差が生まれるため注意が必要です。
扶養に入り続けるには、給与収入の調整をするために勤務先や勤務時間などが限られることも念頭に置いておきましょう。
本記事で紹介した、扶養に入るメリット・デメリットを押さえて、働き方を決める際に役立ててください。