転職活動の際、退職から再就職までに、1ヵ月ほどの短い空白期間ができる人も多いでしょう。
空白期間ができる場合、健康保険や年金、税金などについて、空白期間がない場合とは異なる手続きが必要になることがあります。
なかには期限が設けられているものもあるため、漏れがないよう手続きを行いましょう。
本記事では、空白期間がある場合の健康保険、年金、税金について、必要な手続きを解説していきます。
目次
転職の空白期間が1ヵ月ある場合の「健康保険」の手続き
転職に際して、前職の退社から転職先への入社まで空白期間が1日でもある場合は、何らかの健康保険に加入しなければなりません。
選択肢としては以下の3つがあります。
- 任意継続保険制度を利用する
- 家族の扶養に入る
- 国民健康保険に加入する
手続きにはそれぞれ期限があります。
手続きをしないと、医療費が全額負担になることもあるので、忘れないようにしましょう。
任意継続保険制度を利用する
任意継続保険制度とは、転職前の会社の保険制度を継続できる制度です。
メリットとして、保険証を継続利用でき、社会保険に加入するより保険料が安くなることがあります。
ただし最大で2年間しか利用できない点がデメリットです。
また、切り替え手続きは退職日から20日以内に行わなければなりません。
手続きに必要な書類は、下記のとおりです。
- 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
- 本人確認書類
健康保険任意継続被保険者資格取得申出書は、協会けんぽや健康保険組合のホームページからダウンロードできます。
上記必要書類を記入し、協会けんぽや健康保険組合に送付して、切り替え手続きをします。
納付書が送付されるので、期限までに保険料を納付しましょう。
家族の扶養に入る
会社の社会保険に加入している家族がいる場合、条件を満たせば扶養に入ることができます。
家族の扶養に入れば、保険料を納付する必要がありません。
家族の扶養に入るための条件は、下記のとおりです。
- 日本に居住している(日本国籍を有している)
- 扶養者と同居している3親等内の親族であること(配偶者、子・孫、兄弟姉妹、父母、祖父母などは同居の必要なし)
- 扶養に入った日の年間見込み額が130万円未満(60歳以上または障がい者の場合は180万円未満)
- 同居の場合は収入が扶養者の収入の半分以下
- 別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満
- 雇用保険の基本手当(失業保険)を、日額あたり3,612円以上受給していない
失業保険を受給していても日額3,612円未満であれば要件を満たすので、条件付きで家族の扶養に入ることができます。
国民健康保険に加入する
国民健康保険の加入は退職の翌日に自動的に行われますが、加入手続きが必要です。
加入手続きは、退職の翌日から14日以内にする必要があります。
手続きはお住まいの市区町村の担当窓口で行います。
その際の持ち物は下記のとおりです。
- 健康保険資格喪失証明書
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、マイナンバー入りの住民票など)
- 通帳
- 印鑑
14日を過ぎてしまうと罰則の可能性があり、切り替え手続きをしていない状態で病院にかかってしまった場合は、全額自己負担になってしまいます。
転職の空白期間が1ヵ月ある場合の「年金」の手続き
転職の際、退職から再就職までのあいだに空白期間がある場合の年金の手続きについて紹介します。
次の会社に就職するまで、1日でも空白期間がある場合は手続きが必要です。
14日以内に国民年金に切り替える
転職の際に空白期間がある場合は、退職の翌日から14日以内に市役所で厚生年金から国民年金に切り替える必要があります。
切り替えの際の必要書類は下記のとおりです。
- 退職日がわかる書類(退職証明書、離職票など)
- 基礎年金番号もしくはマイナンバーがわかるもの(年金手帳、マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
また、扶養されている配偶者がいる場合は、第1号被保険者への切り替え手続きも必要です。
空白期間が1日でもあれば手続きが必要
1日でも空白期間がある場合は国民年金へ加入手続きをする必要がありますが、年金の支払先は、月末時点でどこの会社に所属しているかによって決まります。
例えば4月30日に退職した場合、4月分の年金は退職した会社で支払います。
このケースでは、5月31日までに再就職すれば、5月分の年金は再就職先の会社で支払うため、国民年金への支払いは必要ありません。
また、退職日が月末以外であっても、同じ月のうちに再就職した場合、その月の年金は再就職先で支払うため、国民年金への支払いは不要です。
税金の手続きが必要な場合も
転職して空白期間が1ヵ月の場合でも、条件によっては税金に関する手続きが必要な場合があります。
ここでは、住民税と所得税について、手続きが必要なケースをそれぞれ解説します。
住民税
退職から再就職までのあいだに空白期間がある場合、住民税の支払い方法を変更しなければなりません。
変更後の支払い方法は、退職する時期によって異なります。
住民税は、毎年6月からその年の支払が始まり、翌年5月に払い終える仕組みです。
1月から5月までのあいだに退職した場合は、退職した月から5月までの住民税が、最後の給与から一括で天引きされます。
5月までの住民税の総額が最後の給与よりも多い場合は、市区町村から納付書が郵送されてくるため、自分で納付しましょう。
6月から12月までのあいだに退職した場合は普通徴収となり、市町村から郵送される納付書に従って自分で納付します。
所得税
退職し、年内に再就職した場合、退職した会社から受け取った源泉徴収票を再就職先の会社に提出することで、再就職先の会社に年末調整をしてもらうことが可能です。
年末調整をしてもらえば、手間のかかる確定申告を避けることができます。
空白期間中にパート・アルバイトなどで収入があった場合はその分の源泉徴収票も、退職した会社の源泉徴収票と同様、再就職先の会社に提出しましょう。
また、空白期間に支払った国民健康保険や国民年金などの金額は、保険料控除申告書に記載し、こちらも再就職先の会社に提出します。
12月時点で会社に所属していない場合は、年末調整ができないため、自分で確定申告をしなければなりません。
転職までに1ヵ月でも無職期間があれば手続きが必要
この記事では、退職から再就職までに空白期間がある場合の、健康保険や年金、税金の手続きについて解説しました。
健康保険については、下記の3つのうちいずれかを選択する必要があります。
- 任意継続保険制度を利用する
- 家族の扶養に入る
- 国民健康保険に加入する
年金や住民税、所得税についても、退職や再就職のタイミングによって、必要な手続きの内容や支払いのタイミングに違いがあります。
転職で空白期間がある場合に、不利にならないか、転職を成功させるためにはどうしたら良いのかについては、以下の記事で詳しく解説しているのでご参照ください。