倒産やリストラなど、会社都合の理由で退職した場合にも、失業保険を受け取ることが可能です。
会社都合での退職では、失業保険の金額や受給期間、受給開始のタイミングが、自己都合で退職した場合とは異なることをご存知でしょうか?
あらかじめ自分が失業手当をいくら受け取ることができるのか、いつからどのくらいの期間もらえるのかを知ることで、失業期間の収入の見通しが立ち、安心にもつながります。
ここでは、会社都合で退職した場合の失業保険の金額や、受給期間などについて解説していきます。
目次
会社都合で退職した場合の失業保険の受給条件
会社都合で退職した際に、失業保険を受給するための条件は、下記3つです。
- 失業状態である
- ハローワークに求職の申し込みをしている
- 退職日以前の1年間の間に、雇用保険加入期間が通算で6ヵ月以上ある
失業状態にあり、求職中であることは、自己都合退職の場合の条件と変わりません。
しかし、自己都合退職では離職日以前2年間に雇用保険加入期間が通算12ヵ月以上あることが受給の条件となるのに対し、会社都合退職では離職日以前1年間に加入期間が6ヵ月以上となり、やや条件が緩やかです。
とはいえ、通算6ヵ月以上の加入が求められるので、雇用保険加入後6ヵ月以内に離職する場合には、いずれにしても受給の対象外になります。
会社都合退職での失業保険の給付開始日
会社都合で退職した場合、ハローワークで失業手当の申請手続きをしたあと、7日間の待機期間を終えた翌日が手当の給付開始日です。
そのあとは、4週間に一度ハローワークで失業の認定を受けることで、一定期間失業保険を受け取ることができます。
給付金が実際に銀行に振り込まれるのは、申請手続きが終わってから約1ヵ月後です。
自己都合退職の場合、7日間の待機期間後にさらに2ヵ月(過去5年間で2回以上の離職をしている場合は3ヵ月)の給付制限期間が設けられているのに対し、会社都合退職であれば少し早くから手当を受け取れます。
会社都合退職での失業保険の給付日数
失業保険の給付日数は、退職時の年齢と雇用保険の被保険者であった期間によって異なり、会社都合の場合は90日〜330日の給付となります。
一方で、自己都合退職の給付日数は90日~150日間です。
雇用保険の加入期間が長くなるほど、給付日数が長くなりますが、年齢別に見ると、全体的に45歳〜59歳に最も長い給付日数が設けられています。
雇用保険の加入期間が1年未満の場合の給付日数は、年齢に関係なく一律90日です。
給付金額の計算方法
実際に受け取ることができる給付金額は、以下の計算式で算出できます。
給付率(50%〜80%)は、年齢や賃金日額によって異なります。
60歳未満の人は50%〜80%、60歳〜64歳は45%〜80%です。
賃金日額が高い人は50%、賃金日額が低い人は80%の給付率が適用されます。
基本手当日額と賃金日額は、離職時の年齢に応じて、上限および下限額(※1)が決められています。
※1 厚生労働省雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和4 年8月 1 日から~
【失業保険で受給できる金額の算出方法】
基本手当日額×所定給付日数(※1)(90日〜330日)
【基本手当日額の算出方法】
賃金日額×給付率(50〜80%)
【賃金日額の算出方法】
退職前6ヵ月の賃金合計(賞与などは除く)÷180
会社都合での失業は、ハローワークで認定を受けるべき
会社都合で失業保険を受給するためには、退職理由が「会社都合」であることを、ハローワークに認定してもらわなければなりません。
倒産や解雇など会社の都合によって、次の就職先がないまま離職を余儀なくされた人を「特定受給資格者」といいます。
特定受給資格者には、失業保険の受給資格の緩和や、所定給付日数の優遇、給付制限の撤廃が設けられています。
会社都合は失業保険が手厚く保証される
会社都合退職をした場合の、失業保険の受給について解説しました。
会社都合退職は、自己都合退職した場合よりも失業保険の受給時期が早く、受給期間も長く設けられています。
退職理由は、事実確認を行ったうえで、ハローワークが最終的に判断します。
退職理由について認識の相違がある場合は、会社側と交渉するか、ハローワークに相談しましょう。
失業保険の受給や申請にあたって、不明な点がある場合にも、現住所のある地域を管轄するハローワークに確認しましょう。