短時間正社員制度は、多様化する働き方のニーズに応えるためにできた制度です。
「企業」「労働者」「社会」にとって、さまざまなメリットがあるとされています。
本記事は、自分にあった働き方を探している人へ、短時間正社員制度のメリットやデメリットを解説します。
この記事を読めば「短時間正社員制度は自分が利用すべき制度なのか?」がわかるので、ぜひ最後までお読みください。
目次
短時間正社員のデメリット
まずは、短時間労働者制度を利用するデメリットから解説します。
主に以下のとおりです。
- 給与が低くなる
- 仕事に制限が出る可能性がある
- 周囲の理解が得られない可能性がある
- 時間に追われる
なお、短時間正社員を理解する基礎となる「短時間正社員とは」「パート・アルバイトとの違い」などは下記の記事をご参照ください。
給与が低くなる
短時間正社員になると、給与が低くなる可能性があります。
厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」によると、短時間正社員の基本給は正社員の支給額から、労働時間に比例して減額するとされています。
短時間正社員の場合、月例給与のうち、基本給については、同じ職種・職位のフルタイム正社員への支給額を、労働時間に比例して減額します。
月例給与のうち、諸手当については、各々の手当の趣旨や支給基準を踏まえて、短時間正社員に対する支給額を検討します。
賞与も正社員同様に計算されるのが原則ですが、基本給の減額により下がるケースもあるでしょう。
諸手当は趣旨をふまえた金額を支給することになっていますが、あくまでも会社の基準に委ねられており、減額される可能性もあります。
こうした条件は、短時間正社員になる前に確認しておきましょう。
仕事に制限が出る可能性がある
短時間正社員になると、労働時間の減少から仕事に制限が出る可能性があります。
「多様な働き方の実現応援サイト」によると、仕事の「量を労働時間に合わせて減らすのが原則」とされています。
短時間正社員の目標設定を「量」と「質」の2つの視点で整理をすると、「量」は労働時間に合せて減らし、「質」は変えないというのが原則です。
「質は変えない」としていますが、働ける時間の制限から、フルタイム正社員と比べてできる仕事は限られるでしょう。
例えば、「責任のある仕事を任せてもらえない」「残業が想定されるプロジェクトから外される」などが考えられます。
仕事を生きがいにしている場合は、不満を感じるかもしれません。
周囲の理解が得られない可能性がある
短時間正社員制度を導入直後の場合は、周囲からの理解を得られないかもしれません。
早く帰る短時間正社員を見た周囲から、「なぜあの人だけ早く帰るの?」「フォローが大変なのだけれど」と言われるなど、肩身の狭い思いをする可能性もあります。
こうした思いをしないためにも、短時間正社員制度の導入実績や運用状況を確認しておきましょう。
時間に追われる
前述したとおり、短時間正社員は労働時間が限られます。
短時間正社員は、勤務時間に応じて仕事の量を調整するのが原則です。
とはいえ、仕事内容は会社や所属部署の裁量によります。
調整してもらえるとはいえ、人より早く帰るためには、それなりに時間に追われる可能性もあるでしょう。
業務内容によっては、仕事の効率化など、早く帰るための努力が必要になるかもしれません。
短時間正社員のメリット
ここからは、短時間正社員制度のメリットを見ていきましょう。
- 正社員と同じ労働条件で働ける
- ワークライフバランスが保ちやすい
- キャリアの継続につながる
- フルタイム正社員とほぼ同等の処遇を受けられる
それぞれ見ていきましょう。
正社員と同じ労働条件で働ける
短時間正社員は、雇用形態を「正社員」とし、労働契約に期間を定めないなど、一般的な正社員同様の条件で働けます。
また、所定の労働時間が短いため、原則として「仕事の量的な問題」は考慮されますが「質」は変えないのが原則とされています。
評価基準も、フルタイム正社員と同様の基準で評価されるため、モチベーションも保ちやすいでしょう。
給与、賞与も同じ職種、職位のフルタイム正社員への支給額をベースに、労働時間に応じて減額されます。
ワークライフバランスが保ちやすい
ワークライフバランスの保ちやすさも、短時間正社員制度のメリットの一つです。
2021年の「介護・看護」による離職は9.5万人で、子育てにおける働き方に対する考えも多様化しています。
短時間正社員は、「親の介護」「子育て」「心身の健康不全」など、さまざまなライフスタイルに合わせた働き方に、対応するためにできた制度です。
「1日5時間を週5日」「1日8時間を週4日」など、状況に合わせた柔軟な働き方が選択できます。
個人の状況に合わせて上手に制度を活用して、プライベートと仕事を両立させましょう。
キャリアの継続につながる
短時間正社員として企業に残ることで、キャリアが継続できることも、メリットの一つにあげられます。
介護や育児などライフイベントによる退職は、キャリア形成するうえで大きな痛手だと考える方も多いでしょう。
短時間正社員は労働時間を減らしても、正社員と同様の条件で働き続けられます。
会社によっては、状況に合わせてフルタイム正社員への復帰も可能でしょう。
また、制度を利用してプライベート時間を確保し、資格の学習、ボランティア、副業などのキャリアにつながる自己啓発活動も可能です。
フルタイム正社員とほぼ同等の処遇を受けられる
短時間正社員は、フルタイム正社員同様の処遇が受けられます。
以下の条件に該当する場合、社会保険にも加入できるので安心して働けるでしょう。
① 労働契約、就業規則及び給与規程等に、短時間正社員に係る規定がある
② 期間の定めのない労働契約が締結されている
③ 給与規程等における、時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に雇用される同種フルタイムの正規型の労働者と同等である場合であって、かつ、就労実態も当該諸規程に則したものとなっている
場合は、健康保険の被保険者として取り扱うこと。
なお、有給休暇の付与は「週の労働日数」「労働時間」「勤務年数」が考慮されます。
下記は厚生労働省が作成した、有給取得に関する表です。
短時間正社員で労働日数が週4日未満かつ労働時間が30時間未満の場合は、付与される有休日数が減るので注意しましょう。
短時間正社員制度を理解し自分にあった働き方を検討しよう
本記事は下記を解説しました。
- 短時間正社員のデメリット
- 短時間正社員のメリット
短時間正社員制度は介護、育児など多様な働き方へのニーズを実現するための制度です。
働き方に関連する施策はいくつもあります。
こうした制度を上手に利用することは「生きやすさ」につながりますので、メリット・デメリットを理解して上手に活用しましょう。
短時間正社員の概要や制度的な解説は、下記の記事でしていますので参考にしてください。