派遣会社に登録し、紹介された会社で派遣社員として働いている人は、月々の給与から税金が天引きされます。
しかし、派遣社員は住民税が天引きされないため、収入額に応じた金額を個別に支払わなければなりません。
派遣社員の住民税の扱いを理解していないと、実際に派遣社員で働いたとき、あとから住民税の支払い請求が来て慌てる人もいるため、仕組みを理解しておきましょう。
派遣社員の住民税の支払い方法や、給与天引きされない理由を詳しく解説します。
目次
派遣社員の住民税の支払い方は普通徴収
住民税は、簡単にいうと居住している市区町村へ支払う税金です。
毎月の給与から住民税が天引きされていない人は、個別に市民税を納付する義務があり、派遣社員も個別納付の条件に該当します。
ここでは、派遣社員の住民税の支払い方と、給与から天引きされない理由を解説しましょう。
正社員と派遣社員の住民税の支払い方
住民税の支払い方法は、給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付する普通徴収の2種類です。
正社員で働いている場合は特別徴収で住民税を支払うのが一般的で、毎月の給料から天引きされます。
派遣社員の場合は、自宅に住民税の納税通知書が届いてから、自分で支払う普通徴収が一般的です。
派遣社員は働く期間や年収が一定ではないため、前年度の年収額に応じた金額の住民税を、納税通知書で支払います。
派遣社員で住民税が給与天引きされない理由
派遣社員の住民税を天引きできない理由は、派遣社員はそれぞれ働く期間が異なり、一人ひとりの正確な前年所得まで把握することは難しいためです。
例えば、派遣会社に登録していても、空いた時間でアルバイトや在宅ワークで稼ぐ人もいます。
また、派遣社員が働く期間は派遣先との契約に左右されるため、特別徴収は難しい状況です。
すべての派遣会社に当てはまるわけではありませんが、派遣社員の住民税は、一般的に普通徴収と覚えておきましょう。
派遣社員|住民税を普通徴収で納付する方法
派遣社員の住民税は、自宅に納税通知書が届いてから期限内に納めます。
納付の時期や納付方法を知っておくと、普通徴収でも慌てることなく住民税を納付できるでしょう。
普通徴収の住民税の納付時期と、納付方法を以下でご紹介します。
住民税の納付時期
住民税の普通徴収は、自宅に送られてくる納税通知書に同封された納付書で行います。
毎年6月頃に送付されるので、郵便物をチェックしてください。
支払い方法は、6月・8月・10月・1月の4期に分けて支払う分割納付と、納税金額を一回で支払う一括納付の2種類です。
どちらの方法で納付しても良いですが、納付書には使用期限があるので、納税通知書を受け取ったら期限をチェックしてください。
住民税の普通徴収の納付方法
住民税の納付は、納税通知書で指定された方法で行います。
取り扱い窓口は各市町村で若干異なりますが、役場の窓口や金融機関・コンビニ決済・口座振替が一般的です。
納付期限を過ぎたら督促状が届き、放置すると市町村役場から電話が来たり、延滞料金が発生したりします。
忙しい人は口座振替を利用して、納付期限を過ぎないよう気をつけましょう。
派遣社員で住民税の支払いがない人もいる
派遣社員で働いていても、住民税が免除される人もいます。
目安は、年収が100万円以下であるかどうかです。
住民税には55万円の給与所得控除があり、年収から55万円を差し引いた金額で住民税が決まります。
また、給与所得控除で差し引いた金額が、48万円以下の場合は非課税です。
つまり、総収入(給与所得)が100万円だった場合、100万円-55万円=45万円なので、非課税対象になり住民税が発生しません。
仕事のかけ持ちやダブルワークをしている人は、各収入の合計金額で計算してください。
派遣社員は住民税を支払うための確定申告は不要
住民税は年収によって納税金額が決まりますが、派遣社員でも一定の条件に当てはまる人は、確定申告をしなくても問題ありません。
派遣社員で確定申告が必要な人と、確定申告しなくても良い人のケースを、以下で解説します。
派遣社員確定申告が不要な人
派遣社員で働いていて、以下の条件に当てはまる人は、確定申告が不要です。
- 12月の段階で派遣会社に在籍している
- 12月まで他社に在籍していた
- 給与所得の源泉徴収票を受け取っている
12月は年末調整の時期なので、年末に派遣会社や前職の職場に在籍していた場合、年末調整が受けられるため確定申告は不要です。
複数の派遣会社に在籍していても、各派遣会社から給与所得の源泉徴収票を受け取っている人は、年末に在籍している派遣会社へ源泉徴収票を提出すれば、確定申告の必要はありません。
派遣社員で確定申告が必要な人
以下の条件に当てはまる派遣社員は、確定申告が必要です。
- 派遣社員の年末調整を行っていない派遣会社に在籍している
- 12月の段階で働いていない
- 収入が給与ではなく報酬(支払い調書)扱いである
- 医療費や寄付金に対する控除を受けたい
- 副業やアルバイトで年収20万円以上の収入がある
派遣会社によっては、在籍している派遣社員の年末調整を行わないケースもあります。
年末に企業に在籍していない人は年末調整を受けられないため、確定申告しなければなりません。
また、派遣会社で年末調整を受けていても、副業で20万円以上の収入がある人や各種控除を受けたい人は、年末調整とは別に確定申告が必要です。
派遣社員の住民税に関するよくある質問
派遣社員で働いている人のなかには、次のような疑問を持つ人が良く見られます。
- 納付期限に遅れたらどうなる?
- わずかでも年収100万円を超えたら損する?
- 正社員から派遣社員へ変更したときの住民税の支払い方法は?
各疑問とそれぞれの回答を、以下でご紹介します。
住民税の納付が遅れたらどうなる?
住民税の納付期限を過ぎると督促状が届くので、速やかに支払いましょう。
滞納に気がついた段階ですぐ支払えば、大きな問題にはなりません。
督促状を受け取っても納付しなかったり、支払いを忘れて放置したりすると、役所から催促の電話がきます。
最悪の場合、給与を差し押さえられることもあるので、納付の遅れに気がついたらすぐ支払いましょう。
年収100万円を少しオーバーしたら税金を徴収されて損する?
年収100万円を少し超えても、住民税はさほど大きな金額にはならないため、損得で判断しなくても問題ありません。
年収100万を超えたとき、気にしなければならないのは配偶者控除や社会保険への加入義務です。
住民税は、各市町村で収入に応じた金額が設定されるので、100万円を超えても無理なく払えて、損だと感じないでしょう。
正社員から派遣社員に変更したときの住民税の支払いは?
正社員から派遣社員へ変更した人は、各市区町村役場から届く納税通知書を待って、納付書が手元にきたら納付しましょう。
正社員で働いていた期間の住民税は特別徴収となり、すでに給与から天引きされているため納付書は届きません。
もし支払いに関する疑問や不安があるなら、居住区域にある役所の窓口で質問すると良いでしょう。
派遣社員は住民税を自分で納めるのが基本
派遣社員で働いている人は、住民税を自分で納める普通徴収が一般的です。
普通徴収の場合、6月頃に納付書が同封された納税通知書が送られてくるので、納付期限を確認し、遅れないように納付しましょう。
派遣社員でも、ダブルワークを含めた年収が100万を超えなければ、住民税を支払う必要はありません。
12月の段階で年末調整を受けられなかったり、派遣会社が年末調整を行っていなかったりした場合は、確定申告して年収に応じた住民税を支払いましょう。