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会社都合退職の失業保険(基本手当)の計算方法をわかりやすく解説

この記事の監修者
山本 務
【資格】
特定社会保険労務士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者
やまもと社会保険労務士事務所 代表

【プロフィール】
企業の情報システム、ならびに人事部門で28年の実務経験あり。クラウドソフトなどを推進している「システムのわかる社会保険労務士」です。
労働相談、人事労務管理、就業規則作成、給与計算が得意です。労働相談は、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請対応ですので全国対応可能です。 また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

会社都合で退職した人のなかには、失業保険(基本手当)をいくら受給できるか気になる人もいるでしょう。
失業後の生活費の不安を軽減させるためにも、給付額を知ることは大切です。

本記事では、会社都合退職の失業保険の計算方法を、わかりやすく解説します。
受給できる目安の金額や、給付される日数も紹介しています。

会社都合退職の失業保険の計算方法

会社都合退職の失業保険の計算方法

失業保険の基本的な計算式は、基本手当日額×給付日数です。
基本手当日額は賃金日額と給付率により算出され、さらに詳しく手順を紹介すると、以下の方法で計算できます。

  • 賃金日額を算出する
  • 給付率をかける
  • 所定給付日数をかける

それぞれ、以下でわかりやすく解説します。

賃金日額を算出する

基本手当日額を出すために、まずは賃金日額を算出しましょう。
賃金日額とは、離職する前6ヵ月の給与の総額を、180日で割った金額です。

賃金日額=離職前の6ヵ月の給与総額÷180日

過去6ヵ月分の給与を計算する際、賞与は除きますが、残業代や通勤手当などの各種手当は含めてください。
ただし、賃金日額には下記のとおり、上限・下限額が定められています。

離職時の年齢 賃金日額の上限額 賃金日額の下限額
29歳以下 13,890円 2,746円
30~44歳 15,430円
45~59歳 16,980円
60~64歳 16,210円

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8月1日から~

例:離職前の月給が25万円の26歳の会社員
25万円×6ヵ月÷180日=8,333円

給付率をかける

上記で求めた賃金日額に、給付率をかけると基本手当日額を算出できます。
給付率は離職したときの年齢と賃金日額によって、45~80%で決められます。

基本手当日額の正確な金額は雇用保険受給資格者証に記載されているため、受け取ったらチェックしてください。

給付率をかける

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8月1日から~

所定給付日数をかける

支給される金額は、所定給付日数によって異なります。
以下の2つのいずれかに当てはまるため、確認していきましょう。

  • 会社都合:90~330日
  • 自己都合:90~150日

会社都合:90~330日

会社都合退職の所定給付日数は、年齢や被保険者期間によって細かく定められています。
以下の表から自身に当てはまる条件の日数を基本手当日額にかけると、総支給額を算出できます。

被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数

毎月振り込まれる金額は、基本手当日額×28日分です。
ただし、待期期間や認定日の関係で初回のみ振込額が少なくなるため、注意してください。

また、基本手当日額にも上限・下限が定められており、確認が必要です。

離職時の年齢 基本手当日額の上限額 基本手当日額の下限額
29歳以下 6,945円 2,196円
30~44歳 7,715円
45~59歳 8,490円
60~64歳 7,294円

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8月1日から~

以下に支給される金額の算出例を紹介します。

年齢:26歳
月給:25万円
雇用保険加入期間:4年賃金日額:月給25万円×6ヵ月÷180日=8,333円
基本手当日額:8,333円×50~80%=4,166~6,666円
所定給付日数:90日
総額:37万4,940~59万9,940円

29歳以下かつ被保険者期間が1年以上5年未満のため、所定給付日数は90日となります。

年齢と被保険者期間を変えた例も、チェックしておきましょう。

年齢:33歳
月給:30万円
雇用保険加入期間:11年賃金日額:月給30万円×6ヵ月÷180日=1万円
基本手当日額:1万円×50~80%=5,000~7,715円
所定給付日数:210日
総額:105万~162万150円

上記の場合、30歳以上35歳未満で被保険者期間が10年以上20年未満のため、所定給付日数は210日です。
ただし、基本手当日額が上限を超えるため、7,715円で計算されます。

ここでの計算例はあくまで概算のため、詳細はハローワークで確認しましょう。

自己都合:90~150日

自己都合退職は、会社都合退職よりも所定給付日数が少なく設定されています。
また、年齢に関わらず、所定給付日数は被保険者期間のみで決まります。

被保険者であった期間
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90日 120日 150日

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

自己都合退職の場合の支給例も、あわせて紹介します。

年齢:26歳
月給:25万円
雇用保険加入期間:4年賃金日額:月給25万円×6ヵ月÷180日=8,333円
基本手当日額:8,333円×50~80%=4,166~6,666円
所定給付日数:90日
総額:37万4,940~59万9,940円

29歳未満で被保険者期間が1年以上5年未満のため、所定給付日数は90日です。
上記のケースでは、給付率が同じであれば会社都合と同じ金額となります。

ただし、以下の場合の所定給付日数は、会社都合退職は210日ですが自己都合退職は120日です。
よって、総支給額も少なくなります。

年齢:33歳
月給:30万円
雇用保険加入期間:11年賃金日額:月給30万円×6ヵ月÷180日=1万円
基本手当日額:1万円×50~80%=5,000~7,715円
所定給付日数:120日
総額:60万~92万5,800円

また、会社都合退職と自己都合退職では、支給が開始されるまでのスケジュールも異なります。
失業保険がいつからもらえるか気になる方は、以下の記事をご参照ください。

会社都合退職の失業保険の給付率はどのように決まる?

会社都合退職の失業保険の給付率はどのように決まる?

給付率は、賃金水準が低いほど高くなるように設定されています。
ただし、給付率の計算方法は複雑ですので、詳細はハローワークで確認してください。

なお、失業保険の計算の手取り額は以下の記事で紹介しています。
あわせてご確認ください。

パート・アルバイトの会社都合退職-失業保険の計算方法は?

パート・アルバイトの方でも、条件を満たしていれば、正社員と同じく失業保険を受け取れます。
基本手当日額の計算方法や、所定給付日数の条件も同じです。

ただし、勤め先で雇用保険に加入していなければ受給できません。
以下に会社都合退職したパート・アルバイトの失業保険の一例を紹介するので、参考にしてください。

年齢:40歳
月給:13万円
雇用保険加入期間:6年賃金日額:月給13万円×6ヵ月÷180日=4,333円
基本手当日額:4,333円×80%=3,466円
所定給付日数:180日
総額:62万3,880円

会社都合退職の失業保険を正しく計算しよう

失業保険の基本的な計算方法は、「基本手当日額×所定給付日数」です。
会社都合退職では、自己都合退職よりも所定給付日数が長く設定されています。

離職時の年齢や雇用保険の被保険者期間によっては、自己都合退職よりも会社都合退職の方が、総支給額が多くなる可能性もあります。
会社都合退職の計算方法を理解して、支給される失業保険の目安金額を把握しておきましょう。

執筆者について

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