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【記入例あり】扶養控除等申告書の書き方と記入ミスを防ぐポイントを解説

年に一度しか書く機会のない扶養控除等申告書は「項目が多すぎて書き方がわからない」「どこに何を書けば良いのかわからない」と悩む人が多いのではないでしょうか。
正確に扶養控除を受けるためにも、不備や記入漏れなどを起こさずスムーズに提出したい書類です。

本記事では「申告書の書き方にいつも戸惑っている」方に向けて、具体的な書き方やミスを防ぐポイントを解説します。

イメージしやすいように画像と記入例を用いて解説するので、ぜひ参考にしてください。
そもそも扶養とは何かを知りたい方は、次の記事を参考にしましょう。

扶養控除等申告書の書き方

扶養控除等申告書の書き方

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf

扶養控除等申告書の書き方を、次の項目に沿って解説します。

  1. 基本情報
  2. 源泉控除対象配偶者
  3. 控除対象扶養親族
  4. 障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生
  5. 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
  6. 16歳未満の扶養親族
  7. 退職手当等を有する配偶者・扶養親族

そもそも扶養控除等申告書とは何かを知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

1. 基本情報

まず基本情報として、勤務先と従業員の情報を記入します。
勤務先の情報に関しては、企業側が印字済みである場合もありますが、ここでは本人が記入することを前提で解説します。

勤務先の情報

<記入例>

勤務先の情報

勤務先の情報

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

勤務先の情報の書き方は次のとおりです。

  1. 勤めている会社の所在地の所轄税務署長を記入する
  2. 本人の住所地の市区町村長を記入する
  3. 勤めている会社の名称を記入する
  4. 勤めている会社の法人番号を記入する
  5. 勤めている会社の所在地を記入する

従業員の情報

<記入例>

従業員の情報

従業員の情報

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

従業員の情報の書き方は、次のとおりです。

  1. 本人の氏名を記入する
  2. 個人番号(マイナンバー)を記入する
    記入が不要である場合もあるため、企業側に確認する
  3. 本人の住所と郵便番号を記入する
  4. 本人の生年月日を記入する
  5. 世帯主の氏名を記入する
    本人であれば「本人の氏名」、配偶者である場合は「配偶者の氏名」を記入する
  6. 本人から見た世帯主の続柄を記入する
    本人であれば「本人」父親であれば「父」と記入する
  7. 配偶者の有無を記入する
  8. 2カ所以上から給与支払いを受けている人で、他の勤め先に対して「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出した場合は◯印を付ける

2. 源泉控除対象配偶者

<記入例>

2. 源泉控除対象配偶者

2. 源泉控除対象配偶者

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

源泉控除対象配偶者の書き方は次のとおりです。

  1. 本人と生計を一にする配偶者の氏名を記入する
  2. 配偶者の個人番号を記入する
  3. 配偶者の生年月日を記入する
  4. 本年中の所得の見積もり額を記入する
  5. 配偶者が非居住者である親族(現在まで引き続き1年以上国外に住んでいる)の場合は◯印をする
  6. 配偶者の住居を記入する
    本人と同じであれば「同上」で良い
  7. 本年中に異動があった場合に記入する

源泉控除対象配偶者の該当要件は、次のとおりです。

  • 本人の、本年中の合計所得金額の見積もり額が900万円以下である
  • 配偶者が青色事業専従者として給与を受け取っていない
  • 配偶者が白色事業専従者ではない
  • 配偶者の、本年中の合計所得金額の見積もり額が95万円以下である

3. 控除対象扶養親族

<記入例>

3. 控除対象扶養親族

3. 控除対象扶養親族

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

控除対象扶養親族の書き方は、次のとおりです。

  1. 扶養親族の氏名を記入する
  2. 扶養親族の個人番号を記入する
  3. 扶養親族の続柄と生年月日を記入する
  4. 扶養親族の年齢が70歳以上であり、本人または配偶者の直系尊属で、本人または配偶者どちらかと普段から同居している方であるときは「同居老親等」にチェックをする
    その他の場合は「その他」をチェックする
  5. 扶養親族が19歳以上23歳未満であれば「特定扶養親族」にチェックをする
  6. 本年中の所得の見積もり額を記入する
  7. 該当する項目をチェックする
  8. 扶養親族の住居を記入する
    本人と同じであれば「同上」で良い
  9. 本年中に異動があった場合に記入する

控除対象扶養親族の該当要件は、次のとおりです。

  • 本人と生活を一にする親族で本年中の合計所得金額の見積もり額が48万円以下である人
  • 居住者のうち16歳以上の人
  • 非居住者のうち年齢16歳以上30歳未満の人
  • 非居住者のうち年齢70歳以上の人
  • 非居住者のうち年齢30歳以上70歳未満かつ「留学で国内に住所または居所をもっていない」「障害者である」「本人から本年中に生活費または教育費を38万円以上受けている」のうちいずれかに該当する人

4. 障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生

<記入例>

4. 障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生

4. 障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

障害者、寡婦、ひとり親または勤労学生に該当する人は、次を記載します。

  1. 本人・同一生計配偶者・扶養親族のいずれかが障がい者の場合はチェックをする
  2. 本人が障がい者の場合、一般の障がい者・特別障がい者のどちらか当てはまる項目にチェックをする
  3. 同一生計配偶者が障がい者の場合、一般の障がい者・特別障がい者・同居特別障がい者のいずれか当てはまる項目にチェックをする
  4. 扶養親族が障がい者の場合、一般の障がい者・特別障がい者・同居特別障がい者のいずれか当てはまる項目にチェックをして、該当する扶養親族の人数も記入する
  5. 寡婦・ひとり親・勤労学生のうち、該当する項目をチェックする
  6. 障がい者または勤労学生の詳細を記入する
    例えば、障がい者の場合は氏名・障がいの状態・障がいの等級・交付を受けている手帳の種類や交付年月日など
  7. 本年中に異動があった場合に記入する
    ※障がい者控除の対象となる扶養親族は、16歳未満でも扶養対象となる

5. 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

<記入例>

5. 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

5. 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

所得税法上、同世帯に複数所得者がいる場合、重複して申告しない限りどの所得者でも扶養親族などにしても問題ないとされています。
ここでは、共働き世帯で「本人が夫の場合として長女は夫の扶養、長男は妻の扶養」と仮定して記入例を解説します。

  1. 該当する扶養親族(長男)の氏名を記入する
  2. 本人との続柄を記入する
    ここでは「長男」と記入する
  3. 扶養親族(長男)の生年月日を記入する
  4. 扶養親族(長男)の住所を記入する
  5. 他の所得者(妻)の氏名を記入する
  6. 他の所得者(妻)の続柄を記入する。ここでは「妻」と記入する
  7. 他の所得者(妻)の住所を記入する
  8. 本年中に異動があった場合に記入する

6. 16歳未満の扶養親族

<記入例>

6. 16歳未満の扶養親族

6. 16歳未満の扶養親族

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

16歳未満の扶養親族に該当する人は、次を記入します。

  1. 該当者の氏名を記入する
  2. 該当者の個人番号を記入する
  3. 本人との続柄を記入する
  4. 該当者の生年月日を記入する
  5. 該当者の住所を記入する
  6. 国内に住所をもっていない16歳未満の扶養親族に該当する場合は、◯印をつける
  7. 本年中の所得の見積もり額を記入する
  8. 本年中に異動があった場合に記入する

7. 退職手当等を有する配偶者・扶養親族

<記入例>

7. 退職手当等を有する配偶者・扶養親族

7. 退職手当等を有する配偶者・扶養親族

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_01_input.pdf
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r5bun_02.pdf

退職手当などの支払いを受ける配偶者、または扶養親族に該当する方がいる場合に記入します。
ただし、本人と生計を一にする配偶者で、本年中の退職所得を除く合計所得金額の見積もり額が133万円以下である方に限ります。

  1. 該当者の氏名を記入する
  2. 該当者の個人番号を記入する
  3. 本人との続柄を記入する
  4. 該当者の生年月日を記入する
  5. 該当者の住所を記入する
  6. 該当者が配偶者で非居住者である場合は「配偶者」をチェックする
    該当者が扶養親族で非居住者かつ30歳未満または70歳以上である場合は「30歳未満または70歳以上」をチェックする
    「30歳未満または70歳以上」をチェックした場合「留学・障害者・38万円以上の支払」のいずれかで該当する項目をチェックする
  7. 退職金を除いた本年中の所得の見積もり額を記入する
  8. 該当する障害者区分にチェックをする
  9. 本年中に異動があった場合に記入する
  10. 寡婦またひとり親で該当する項目をチェックする

扶養控除等申告書の記入ミスを防ぐポイント

扶養控除等申告書は、年に1回だけの書き慣れない書類であるためミスが生じやすいです。

ミスを防ぐためにも次のポイントに注意しましょう。

  • 所得の見積もり額の計算にミスがないか確認する
  • 各項目の該当条件にミスがないかを確認する
  • 扶養親族の障害状況などは正確に把握しておく
  • 不明点は勤め先の担当者に確認する

見積もり額の計算は特にミスが起きやすい項目です。
計算に間違いがないかを何度か確認したほうが良いでしょう。

令和5年分からの扶養控除等申告書の変更点

令和5年分の扶養控除等申告書の変更点は次の項目です。

  • 扶養控除対象親族の項目の「非居住者である親族」の欄が細かくチェックされるようになった
  • 「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」の項目が追加された

ミスなく扶養控除等申告書をスムーズに提出しよう

記入内容に不備があると、スムーズに年末調整が進まなかったり控除額に影響したりする恐れもあります。

扶養控除等申告書をミスなく記入するには、所得の見積もり額と扶養対象となる要件を正確に把握しておくことです。
また、不明点は早めに勤め先の担当者に確認しておくことも大切です。

一つひとつの項目に不備や記入漏れがないかを正確に確認して、トラブルなく扶養控除等申告書を提出しましょう。

執筆者について

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