就職活動をしていたり転職を考えていたりする女性なら、女性の平均年収がどのくらいか気になるところでしょう。
本記事では女性の平均年収について、厚生労働省が公表している令和5年賃金構造基本統計調査のデータをもとに解説します。
日本の女性全体の平均年収や、東京で働く女性の平均年収、年代別、学歴別、平均年収の推移などを紹介します。
目次
日本の女性の平均年収
ここではまず、日本の女性の平均年収を詳しく知るために、以下の3つを見ていきましょう。
- 女性全体の平均年収
- 女性正社員の平均年収
- 東京の女性正社員の平均年収
女性全体の平均年収
令和3年度の女性全体の平均年収は263万円です。
男女計の平均年収は300万円であり、男性の平均年収は343万円でした。
女性の平均年収は、男女計の平均年収に比べると約40万円、男性の平均年収に比べると80万円の差があり、女性の平均年収の低さが見受けられます。
同年代の男性に比べて女性の平均年収が少ないのは、女性に比べて男性のほうが正規雇用が多いためだと考えられます。
非正規雇用で働く場合、勤続年数が増えても働く年数によって年収の増える年功序列制度から外れてしまうため、年収は上がりにくいこともあるでしょう。
たとえ正規雇用であっても、業種によっては賃金が低かったり、昇給があまり見込めなかったりする場合があります。
また、女性は男性に比べて家事育児と両立している人も多いため、シフト勤務や短時間勤務ができる業種を選択するケースもあります。
女性正社員の平均年収
民間企業に正社員として勤める女性全体の平均年収は440万円です。
正社員として勤める男女を合計した平均年収は544万円であり、男性正社員の平均年収は597万円でした。
男女計の平均年収に比べると約100万円、男性の平均年収に比べると約150万円、女性の平均年収のほうが低くなっています。
金額に差がある理由は、女性には結婚や出産などのライフイベントで仕事を辞める、雇用形態を変更する、時短勤務にするなど、働き方が変化する場合があるためです。
つまり、男性の年収が年功序列や昇進で上がるなか、女性は年収が一時的に減る可能性があるため、平均年収が大幅に低くなると考えられるでしょう。
東京の女性の平均年収
東京は人口が多く物価も高いため、年収が高いと言われますが、女性の場合もそうなのでしょうか。
ここでは、日本の首都である東京の女性の平均年収を紹介します。
東京で働く女性の平均年収は458万円でした。
東京の年収が高いというイメージどおり、東京の女性の平均年収は、女性全体の平均年収より約60万円も高い結果になっています。
東京の平均年収が高い理由は、人口が多く物価や地価が高いため、賃金がそれに合わせて高く設定されていることが考えられるでしょう。
企業によっては地域補助として都市手当 をつけているケースもあります。
東京の女性は平均年収が高い傾向にありますが、東京で働く女性の正社員率が高いとは限りません。
東京は配偶者の年収も高い傾向にあり 、その場合は女性が扶養内勤務や非正社員としての勤務を選ぶ可能性もあるためです。
一方で、独身の女性正社員が男性と同等の年収を得ているケースもあり、女性の年収には高低差があると考えられ ます。
年代別の女性正社員の平均年収
次は、正社員として勤める女性の平均年収を年齢別に見ていきましょう。
年齢 | 平均年収 |
20〜24歳 | 328万円 |
25〜29歳 | 399万円 |
30〜34歳 | 424万円 |
35〜39歳 | 450万円 |
40〜44歳 | 467万円 |
45〜49歳 | 486万円 |
50〜54歳 | 501万円 |
55〜59歳 | 502万円 |
20代前半から後半にかけては約70万円増えていますが、それ以降は上昇が緩やかになります。年収が増えない理由は、出産で育休を取ったり、育児のために時短勤務にしたりなど、勤務形態や勤務時間を変更する女性が増えるためです。
学歴別の女性正社員の平均年収
ここでは、高卒と専門卒、高専・短大卒、大卒、大学院卒の女性正社員の平均年収を解説します。
高卒 | 375万円 |
専門卒 | 436万円 |
高専・短大卒 | 458万円 |
大卒 | 488万円 |
大学院卒 | 673万円 |
学歴が上がるにつれて平均年収は上がり、特に大学院卒は他の学歴に比べて高い年収になっています。
高卒と大学院卒では約300万円の差があるのです。
学歴別の平均年収から、民間企業が学歴を重視していることがうかがえます。
学歴が重視されるにはいくつかの理由があります。
新卒者のスキルを確かめるのは困難なため、採用時は能力を確かめる尺度として学歴を選考基準に設けることがあります。
また、高校卒よりも大学卒のほうが、プラス4年間の在学期間を経て、自分の将来をしっかり考えていると判断されることもあるでしょう。
さらに、大学では就職サポートがしっかりしており、長時間かけて就職活動をすることで、 大企業など、 より年収の高い企業に就職できる可能性もあります。
女性の平均年収の推移
最後に、女性の平均年収の推移を見ていきましょう。
男女ともに増え続けていた平均年収ですが、男性は1997年からはあまり変化がなく、ときには減少しています。
しかし、女性の平均年収は2021年もまだ増え続けており、男性に比べて年収の増加傾向が続いていることがわかるでしょう。
女性の年収が増加している理由は、以前よりも女性が働ける社会制度が整い、社会進出する人が増えたためと考えられます。
男性と女性の年収の差はまだありますが、今後は差が縮まっていく可能性もあります。
女性の平均年収は、働き方や学歴などさまざまな要素が影響すると理解しよう
女性の平均年収を知ることは、自分がどのように働いていくのかを考える際の指針になります。
男性に比べると女性の働き方は多様であり、ライフスタイルやライフステージによっても変化する可能性があります。
女性の平均年収がどう変わっていくかを知りたい場合は、さまざまな要素を考慮し、いろいろな進路における年収の傾向を確認しておきましょう。