就職活動の面接では、「学生時代の得意科目はなんですか」と質問されることがあります。
質問の意図や、答え方のポイントについて解説していきます。
また、科目別の例文も紹介しているため、これから就職活動に臨む方は参考にしてください。
目次
面接で得意科目を聞かれる理由
なぜ、就職活動の面接で得意科目を聞かれるのでしょうか。
面接官が得意科目に関する質問からチェックしている点を解説します。
強みを知るため
就活生の強みを知り、特徴を把握するために得意科目を確認しています。
例えば、英語が得意だと答えた場合、「英語が話せるのであれば海外事業部で活躍できる可能性がある」といったように、面接官は強みに応じて入社後の姿をイメージします。
同時に、就活生にとっては自分の強みをアピールできる場面です。
興味・個性を知るため
得意な科目とその理由には、就活生の個性があらわれます。
得意科目が体育の人と数学の人では、イメージされる人物像が異なるでしょう。
また、数学が得意科目の人同士でも、理由を「黙々と問題を解くことが好きだから」と答える人、「理論を考えることが好きだから」と答える人では興味や個性が異なります。
面接官は興味のある事柄から個性を知り、それをもとに企業や職種に適する人材かを判断しています。
会社や業務との適性をチェックするため
せっかく入社した学生がすぐに退職してしまうことなく、成績を残して会社に貢献できるよう、面接官は会社や業務との適性をチェックすることが必要です。
例えば、体育会系の雰囲気がある職場で営業職の募集がある場合、それにマッチした人を選ぶことが求められます。
得意科目から強みや興味のある事柄を確認し、自社に適した活躍ができる人材かをチェックしています。
面接で得意科目を答えるときは結論から伝える
得意科目を答える際は、面接官に伝わりやすい文章構成を気にかけましょう。
説明の際に使われる文章構成の一つにPREP法があります。
- P:Point(結論)
- R:Reason(理由)
- E:Example(具体例)
- P:Point(結論)
まずは結論として得意科目を答え、得意な理由や具体的なエピソードを伝え、最後にふたたび結論を述べましょう。
「得意科目は○○です。理由は」といった形で最初になにが得意か結論を伝えられると、聞く側は得意科目を知った状態で理由を聞けるため、内容をイメージしやすくなります。
【科目別】得意科目を答えるときの例文
得意科目を答えるときの例文を紹介します。
国語・数学・英語・生物・日本史・簿記・体育の7科目について、先述の文章構成を参考にしながら確認していきましょう。
国語
内容から作者の気持ちを考えることが好きで、読書を重ねてきました。
中学1年生のとき『○○○』を読んでから「作者はこの結末でなにを伝えたかったのか」と考えるようになり、読書を通じてさまざまな考えにふれ、日常生活でコミュニケーションをとる際の参考にしています。
読書から学んだ、相手の気持ちを考える力を、入社後の社内・社外におけるコミュニケーションで活かしていきたいと考えます。
数学
中学生までは数学が苦手でしたが、高校生になり「なぜこの公式を使うのか」「なぜこの答えが導き出されるのか」といったことを理解し、次第に得意科目となりました。
数学を通して論理的に考えることの大切さを学び、現在は塾講師のアルバイトでその力を活かしながら数学の授業を行っています。
入社した際には、論理的な思考をもとに仕事を効率的に進めていきたいと考えます。
英語
小学1年生から英会話教室に通っており、外国の方とコミュニケーションをとることに慣れ親しんできました。
大学3年生のときには半年間オーストラリアに留学して語学力を身につけ、その結果TOEICでは850点を獲得し、ビジネスレベルの英語力を習得しています。
入社後は、外国の方とコミュニケーションをとってきた経験と英語力を活かし、海外事業部で活躍したいと考えています。
生物
小学生の頃から植物を育てることが好きで、そこから生態系や生物に興味を持っていきました。
大学では植物に関する分野を専攻し、自ら仮説を立て、フィールドワークや実験を通して立証していくことにおもしろさを感じています。
生物の科目を通して、思考力とそれを立証するための行動力を養いました。その力を入社後の業務で活かしていきたいと思います。
日本史
戦国時代に関するドラマを観たことがきっかけで日本史に興味を持ち、歴史上の人物やできごとについて自ら調べるようになりました。
調べてみると武将同士の関係性や事件と事件のつながりなど、掘り下げるほど新しい発見があり、調べたことは内容を毎回まとめています。
自分の気になる事柄をとことん調べる探求心が強く、入社後も業務に対してさまざまな知識を得てプロフェッショナルになっていきたいと考えます。
簿記
ビジネスに関する実践的な能力を習得できると思い、簿記の勉強を始めました。
最初はなかなか勉強が進みませんでしたが、1日2時間勉強する目標をたて、コツコツと取り組み、大学3年生で簿記1級を取得しました。
入社後は営業事務として、簿記の知識を活かした営業収益の管理や、論理的な数字の根拠を提示した営業サポート活動を行いたいと考えます。
体育
サッカー部に所属しており、身体を動かすことやチームで協力して行うスポーツが好きなことから、体育の授業は主体的に行ってきました。
運動が得意ではないクラスメイトも楽しく参加できるよう声かけをし、一丸となって取り組める雰囲気づくりに注力しました。
社会人になってからも、部署ごとにチームで仕事をする場面は多いと思います。
そうした場面で協力しながら仕事を進めていきたいと考えます。
面接で得意科目を答えるときの注意点
ここでは、得意科目について答える注意点として、3つの項目を紹介します。
嘘は言わない
自分を良くみせようと、得意科目やその実績について嘘をついてはいけません。
例えば、「商社の面接だから英語が得意だと有利だ」と考え、実際の得意科目が別にあるにも拘わらず「英語が得意」と回答するようなことは避けましょう。
嘘をついていると話し方や表情に自信がなくなり、話を深掘りされたときにもうまく答えられないため、最終的にばれる可能性があります。
嘘がばれると信頼を失い、面接が失敗に終わってしまうため、事実をありのまま伝えましょう。
「ない」と答えてはいけない
「得意科目なんてない」と思う人もいるかもしれませんが、そのまま「ない」と答えてはいけません。
就職活動は、しっかりと自己分析をしてのぞむことが基本です。
「ない」と答えてしまうと、自己分析ができていないと判断される可能性があります。
また、面接に対する意欲が低いととらえられることもあるでしょう。
しっかりと自己分析を行い、自分なりの得意科目を答えられる状態にしておきましょう。
専門用語を使わない
得意科目について詳しく説明したいと思い、ついつい専門用語を使ってしまうことがあるかもしれません。
しかし専門用語は、必ずしも面接官に伝わるとは限らないため、避けたほうが無難です。
専門用語は使わず、その分野を知らない人でも理解できるような内容を事前に考えておきましょう。
面接での「得意科目」は自己アピール手段の一つ
面接官は、ただ単に得意科目を知りたいだけではありません。
その回答から、就活生の強みや個性を把握し、採用・不採用を判断する材料にしています。
つまり、得意科目に関する質問は、就活生にとって自己アピールできるチャンスでもあるのです。
答えるときは、面接官に伝わりやすいよう結論から先に述べ、理由や具体的なエピソードを添えていきましょう。
また、嘘を言わず、自己分析した結果をありのまま誠実にアピールすることが大切です。