正社員を1年で退職するのは、新卒・中途入社ともに珍しいことではありません。
やる気や技量に問題がなくても、実際に業務を始めてみなければ相性まではわからないためです。
しかし、感情のままに早期退職してしまうと、スキルが身につかなくなったり、次の就職活動でマイナスイメージになったりするなどのデメリットがあります。
後悔のない選択をするため、正社員を1年で辞めるときの注意点を把握しましょう。
この記事では、正社員を1年で辞めるときの注意点やメリット・デメリットを紹介します。
目次
正社員を1年で辞めるのは珍しくない
正社員を1年で辞めるのは珍しいことではありません。
厚生労働省による令和2年度の新規学卒就職者の離職状況の調査によると、新規大卒就職者のうち1年目で辞める人は10.6%の割合でいます。
また、令和2年転職者実態調査によると、転職者のうち17.7%の人が1年以内に直前の勤め先を辞めています。
しかし、早期退職する人は少数派には違いないため、転職に迷ってしまう人もいるでしょう。
内容や度合いにもよりますが、悩みの解決につながるなら退職も選択肢の一つです。
ただし、感情にまかせて退職すると、金銭面や今後のキャリアで悩みを抱える可能性があります。
後悔なく選択するには、正社員を1年で辞めるときの注意点を把握してから退職するかどうかを検討しましょう。
正社員を1年で辞めるときの注意点
正社員を1年で辞めるときの注意点は、以下のとおりです。
- 感情のままに退職すると後悔する恐れがある
- スムーズな転職には計画的な行動が必要
- 円満退職なら遅くとも退職の1ヵ月前に伝える
- 正社員が会社を退職するときには保険の手続きが必要
- ここからは、正社員を1年で辞めるときの注意点を詳しく解説します。
感情のままに退職すると後悔する恐れがある
人間関係のトラブルや辛い状況にあると、一刻も早く退職したいと考えてしまうかもしれません。
しかし、感情のままに退職すると収入やキャリアといった面で後悔する可能性があります。
後先考えずに退職したとき、最初に困るのは収入です。
次の仕事が見つかるまでは貯金を切り崩すしかなく、場合によっては仕事を継続するよりも辛い状況になる恐れがあります。
さらに転職活動がうまくいかなかった場合には、無職期間の長さによって面接で不利になる場合もあるでしょう。
スムーズな転職には計画的な行動が必要
退職後に悩まないためには、スムーズに転職する必要があります。
転職活動にかかる期間は、平均3ヵ月です。
ただし個人差が大きいため、最短で3ヵ月と考えておいたほうが良いでしょう。
退職してから焦って転職活動をすると、意に沿わない仕事に就かなくてはいけなくなり、転職先でさらに悩みを抱える可能性もあります。
焦りから転職先の選択肢を狭めてしまい、収入やキャリアの条件を諦めざるを得ない状況になるためです。
再び悩みを抱えないためにも、転職活動に必要な期間を意識して行動しましょう。
円満退職なら遅くとも退職の1ヵ月前に伝える
円満退職を希望する場合には、遅くとも1ヵ月前に退職の意思を伝えましょう。
会社の事情も踏まえるなら、退職予定日の2〜3ヵ月前が理想です。
労働基準法上は、退職の14日前に申し出れば問題ありません。
しかし、会社の就業規則に退職時期に関する事項が記載されている場合もあるため、退職を検討している場合には、まず就業規則を確認しましょう。
就業規則に特に退職時期に関する取り決めがない場合でも、なるべく退職予定日の2〜3ヵ月前に伝えましょう。
正社員が会社を退職するときには保険の手続きが必要
正社員が退職する際には、保険の手続きが必要になります。
退職後に必要な保険の手続きは、健康保険・年金・失業保険の3つです。
健康保険は、任意継続健康保険・国民健康保険・ご家族の扶養に入る、の3つの選択肢から自分にあったものを選びましょう。
年金は、厚生年金保険から国民年金に切り替えます。
失業保険では、受給できる条件を満たしており、希望する場合に手続きによって失業手当を受け取ることが可能です。
正社員を1年で退職するメリット
正社員を1年で退職するメリットは、以下のとおりです。
- 心身の健康を守れる場合がある
- 新しいキャリアを形成できる
ここからは、正社員を1年で退職するメリットを解説します。
心身の健康を守れる場合がある
正社員を1年で退職するメリットとして、心身の健康を守れる場合があることが挙げられます。
在職中の会社に重大な問題がある場合には、退職によってうつ病や適応障害を発症するリスクを回避できるでしょう。
例えば、労働基準法を無視した長時間労働やパワハラ、そして経営状況や業務に関する重大な問題などが挙げられます。
職場に重大な問題があり、仕事を継続すると心身の健康を害する恐れがある場合には、退職したほうが良い場合もあるでしょう。
新しいキャリアを形成できる
転職に成功すると、新しいキャリアを形成できます。
在職中の会社で今後に役立つスキルの習得が難しい場合には、転職するのも有効な方法です。
また、転職によって視野が広がる場合があります。
新しい職場で社風や企業理念、そして人間関係などの刺激を受けて、視野を広げることが可能です。
転職による大きな変化にも柔軟に対応することで、新しいキャリアの形成や広い視野を実現できるでしょう。
正社員を1年で退職するデメリット
正社員を1年で退職するデメリットは、以下のとおりです。
- 早期退職は転職活動に支障をきたす可能性がある
- 次の職場でも同じ不満を抱える可能性がある
ここからは、正社員を1年で退職するデメリットを詳しく解説します。
早期退職は転職活動に支障をきたす可能性がある
1年以内の早期退職は、転職活動に支障をきたす可能性があります。
転職活動に支障をきたす理由を知って、面接で退職理由を聞かれた際に説明できるようにしましょう。
スキルを習得できない
1年以内の退職の場合、転職活動の際に前職でスキルを習得できていないと判断される可能性があります。
特に、1年以内の退職を何度か繰り返している場合には、キャリア形成の遅延に注意が必要です。
短期での転職を繰り返してしまうと、スキルアップの機会に恵まれないために悪循環に陥ります。
スキル不足が原因で面接が通過できない事態に陥らないためには、転職をする際にも長期的なキャリア形成を意識しましょう。
面接でマイナスイメージになるかもしれない
面接の担当者によっては、1年以内の退職にマイナスイメージを抱く場合があります。
「入社してもまた退職するのではないか」という疑念を拭えないためです。
すぐに退職しそうな人物と思われた場合には、やる気をアピールすることが難しくなります。
実際に1年以内に退職した事実がある以上、熱意や仕事観を語るには説得力に欠ける部分もあるでしょう。
マイナスイメージを払拭できるようなアピール材料を用意するか、納得が得られるような説明をする必要があります。
次の職場でも同じ不満を抱える可能性がある
1年で退職するデメリットとして、次の職場でも同じ不満を抱える可能性があることも挙げられます。
また、転職で現職への不満を解消しても、別の不満が生じる場合もあるでしょう。
そのため、転職で本当に不満が解決できるのかどうかは十分に考える必要があります。
例えば、転職後に「年収に不満はないが、仕事のやりがいがない」と感じられる問題は、年収と仕事のやりがいをどちらも同列の優先順位にしていることで生じています。
すべてにおいて納得できる仕事が理想ですが、なかなか見つけられないケースも多いため、仕事に対する優先順位を自分のなかで決めておくことが大切です。
正社員を1年で辞める前にメリット・デメリットを把握しておこう
この記事では、正社員を1年で辞める前に知っておきたい注意点やメリット・デメリットを紹介しました。
正社員を1年で辞めるケースは、珍しくありません。
ただし、後悔しない選択をするには、ケースに応じて柔軟な選択をする必要があります。
注意点やメリット・デメリットを把握したうえで、自分にあった選択をしましょう。