夫婦共働きの世帯が増えています。
2022年には、夫婦のいる世帯のうち、専業主婦のいる世帯がはじめて3割を下回りました。
また、共働きの世帯でも、夫と妻がいずれも正社員として働く割合が増加傾向です。
本記事では、共働き世帯、特に妻が、パート・アルバイトではなく正社員として働く理由や、子どもがいる世帯の傾向などについて見ていきましょう。
目次
共働き正社員の割合が増えている理由
共働きかつ、夫婦両方が正社員の世帯が増えている理由としては、以下の3点があります。
- 結婚後も仕事を継続する女性が増えている
- 経済的な安定
- 女性が働くことに前向きな社会になった
それぞれ見ていきましょう。
結婚後も仕事を継続する女性が増えている
厚生労働省の「令和2年版厚生労働白書」によると、共働き世帯と専業主婦のいる世帯は、1990年代はほぼ同数でしたが、2000年を境に共働き世帯が大きく増え、専業主婦のいる世帯は数を減らしました。
夫婦が正社員同士の共働き世帯が増えている理由の一つは、結婚後に退職せず、それまで正社員として働いていた仕事を継続する女性が多くなったことです。
国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、結婚後もそれまでの仕事を継続した女性は、1990~1994年には56.9%でしたが、2010~2014年には72.7%にまで増加しています。
経済的な安定
男性だけの収入では経済的な安定が難しくなったことも、夫婦双方が共働きを選ぶ理由の一つです。
令和2年厚生労働白書によると、全世帯の実質所得の平均は、1997年には約726万円でしたが、2018年には633万円にまで減少しており、経済的な余裕のある世帯が減っていることがわかります。
結婚後も妻が正社員を辞めずに働き続けることで、所得の減少を補おうという世帯が増えているのです。
女性が働くことに前向きな社会になった
共働き正社員夫婦が増えている理由として、女性が働くことに前向きな社会になったことも挙げられます。
2020年代の日本では2000年以前と比べて、性別役割分担の意識が変化しているためです。
性別役割分担とは「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考え方を指します。
男女共同参画局の調査によると、昭和54年には男性では約75%、女性では約70%の人々が性別役割分担に賛成していましたが、令和元年には男性では約39%、女性では約31%でした。
性別役割分担の意識によって、女性が働くことに前向きな考え方が一般的になってきたといえます。
共働きで働く妻が正社員の割合は?
結婚後もそれまでの仕事を続ける女性の割合が、2010~2014年の時点で7割を超えていることは、先に述べたとおりです。
では、子育て世帯における母親が、正社員として働く世帯の割合はどうでしょうか。
厚生労働省の「2021年国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯において、母親が仕事をしている世帯の割合は、2021年の時点で75.9%にのぼります。
しかし、母親が正社員として働いている割合では29.6%という水準です。
もちろん、結婚後もそれまでの仕事を続ける人全員が正社員というわけではありませんが、それでも夫婦双方が正社員として働く世帯の割合は、子育て世帯のほうが、そうでない世帯よりも低いことがうかがえます。
子育て世帯の妻の正社員の割合が少ない理由としては、働きながら育児・家事をする負担の大きさが第一に挙げられます。
また、保育園の保育料は世帯の収入に比例して高くなっていくため、双方が共働きをして収入を増やしても、子どもがいない世帯と比べてメリットが薄いといった背景もあるでしょう。
とはいえ、母親が正社員として働く世帯の割合は29.6%と前述しましたが、これも2004年の16.9%と比較すれば増加傾向にある数値です。
近年は産休・育休制度が充実している会社が多く、男性の育休取得率も少しずつ増えつつあることから、女性が子育てをしながら正社員として働く世帯の割合は、今後さらに増えていくことが見込まれます。
正社員共働き夫婦の割合は増えている
夫婦とも正社員として働く世帯は増加傾向にあり、その背景には結婚を機に仕事を辞める女性が減ったことや、男性だけの収入では経済的な安定の実現が難しくなったこと、社会全体として女性が働くことを歓迎する風潮になったことなどが挙げられます。
また、子育て世帯では女性が正社員として働く割合が、そうでない世帯と比べて少なくなっていますが、こちらも年々増加傾向にあり、今後もさらに増えていくことが見込まれるでしょう。