面接で10年後の自分の姿について質問されるケースは珍しくありません。
面接官は、このときの返答内容から将来の伸びしろを測っています。
では、自分を最大限アピールするにはどのような回答をすれば良いのでしょうか。
本記事では、面接で10年後の自分について聞かれる理由とともに、答える際のポイントを解説します。
職種別の回答例も紹介しているので参考にしてみてください。
目次
面接で10年後の自分について聞かれる理由
面接で10年後、あるいはそれより先の将来像について聞かれる理由には、以下の二つが考えられます。
- 会社の理念やビジョンとのマッチ度を測るため
- 具体的なキャリアプランがあるかを知るため
企業側は、自社の理念やビジョンと親和性が高い人材を採用したいと考えています。
マッチ度が低い人材を採用すると、早期退職してしまう可能性があるためです。
10年後の本人像が自社で実現できるものであれば、活躍を期待してもらえるでしょう。
また、10年後の姿をしっかり描けている人は、具体的なキャリアプランを持っているととらえられます。
じっくりと技術を身につけたいのか、成長のため早いうちから大きな仕事を任されたいのかなど、人によって理想とする働き方はさまざまです。
こうした考え方を面接段階で確認しておくことで、企業とのミスマッチを防げます。
面接で聞かれる「10年後の自分」の考え方
10年後の自分について考える際、ポイントとなるのは以下の4点です。
- 将来の自分をイメージする
- キャリアプランを考える
- 企業について研究する
- OG・OB訪問をするのも手
では、一つずつ見ていきましょう。
将来の自分をイメージする
自分の将来像を見据えるには、まず現在の自己分析から始めてみましょう。
どのような仕事に携わりたいのか、興味があること、得意不得意は何かなどを考えてみてください。
インターネットの診断サイトを利用して自分の強みや適正を調べるのも一案です。
自己分析ができたら、この先ずっとやり続けたいこと、将来的にできるようになりたいことなどが見えてくるかもしれません。
キャリアプランを考える
面接官に好印象を与えるには、ぼんやりとしたイメージではなく、具体的な将来像とその発言への信憑性が必要になります。
将来の自分をイメージできたら、次はしっかりとキャリアプランを練ってみましょう。
まずは入社後3〜5年の短期間の目標を考え、その延長線から10年後のキャリアプランにつなげるのがおすすめです。
入社後にまず身につけたいことをいくつかピックアップして、それを極めた場合どのような未来像が待っているかを想像するという方法もあります。
企業について研究する
前述したとおり、10年後の自分について面接官が質問する背景には、自社との適合度を知りたいという背景があります。
つまり返答内容と企業の関連性が低かった場合、マイナスの印象を持たれてしまうかもしれません。
これを防ぐためにも、面接前にしっかりと企業について研究しておくことが大切です。
求人情報はもちろん、ホームページや社員インタビュー記事、SNSなどから企業の雰囲気と方針を窺い知ることができます。
場合によっては口コミサイトや掲示板が有効なこともあるでしょう。
OG・OB訪問をするのも手
OG・OB訪問ができる環境ならば、直接会って話を聞くのも一つの方法です。
働いている人の話を聞くことで、実際の仕事環境やキャリアの積み方を把握できるため、将来像についても想像しやすくなります。
また、OG・OB訪問したこと自体を面接で話すことで、入社への意欲を汲み取ってもらうことも可能です。
OG・OB訪問は、大学の就職課などで紹介してもらいましょう。
面接で10年後について話すための構成
面接官の質問に答える際には、以下のように話を順序立てるよう意識してみてください。
- 結論
- 理由
- 入社後のプラン
まずは面接官に話の意図を伝えるため、10年後にどうなりたいのか結論を話しましょう。
次に理由ですが、自分の経験に基づく具体的なエピソードを添えられるのがベストです。
これといって思いつかない場合、事前に集めた情報をもとに信憑性のある説明をします。
最後に話すのは入社後のプランです。
自分がどのような仕事を任されたいのか、何に挑戦したいのかを具体的にアピールしてください。
面接で10年後について話す際のポイント
面接で10年後について話す際のポイントは以下の二つです。
- 時間配分に気を付ける
- 目標のために何をしているかを話す
それぞれ詳しく見てみましょう。
時間配分に気を付ける
面接での受け答えにおいては、時間配分が重要な意味を持ちます。
自分の良さをアピールしたいからといって必要以上に長く話すのは逆効果です。
要点を絞って簡潔に話すことで、プレゼンテーション能力を認められる可能性もあります。
特に気を付けたいのはグループ面接時です。
4~6人それぞれにアピールの時間が与えられるため、一人の話があまりに長くなってしまうと周囲に迷惑がかかります。
場合によっては協調性がないととらえられかねないため、注意しましょう。
目標のために何をしているかを話す
10年後の目標のために現在している努力を伝えると、さらに印象アップがめざせます。
ただ理想を述べているだけではなく、達成のため行動している意欲が伝わるためです。
また、受け答えの信頼性も高まるでしょう。
もし現在は行動できていないとしても、今後努力していきたいことを具体的に伝えられれば問題ありません。
面接で10年後について聞かれたときの回答例
以下4つの業種を例に、面接で10年後の姿について聞かれたときの回答を紹介します。
- 事務
- 金融業
- 製造業
- 医療
実際の面接では自分の言葉で説明できるよう、一つの参考にしてみてください。
事務
事務の面接で10年後の自分について聞かれた場合、次のように答えられるでしょう。
私は10年後リーダー業務にも携わり、全体のチームワークを高めていきたいと考えています。
事務職スキルを身につけることはもちろんですが、業務を円滑に進めるためには人との関わりも重要だと思うためです。
特に事務職は、部門間連携が大きな意味を持つと考えています。
10年後に向けて、入社後は横のつながりを大切にしながらマネジメント能力の向上をめざしたいです。
事務職という枠を飛び越え、リーダーとしても活躍したい意欲をアピールすることで、将来の伸びしろを期待してもらえます。
ただ目標を語るだけでなく、入社後の意気込みも伝えている点がポイントです。
金融業
金融業の面接であれば、次のような回答が考えられます。
10年後は中小企業の融資のサポート業務に携わり、経営者の悩みに寄り添う役割を担いたいと考えています。
理由として、父が経営する会社のために、銀行員の方が真摯にアドバイスをしてくれている頼もしい姿を見てきたからです。
さまざまな事業に対して的確にアドバイスできるよう、入社後は金融の知識を積極的に蓄えるべく、惜しまず努力したいと思っています。
自分の体験を盛り込むことで、説得力と信憑性を持たせています。
製造業
製造業の面接で10年後の自分について聞かれたら、次のように答えると良いでしょう。
私は現職で◯◯の製造に5年間携わっており、その技術と知識を活かして今後は◯◯製造の道を究めたいと考えています。
10年後には現場監督や管理職に就き、品質管理や生産管理体制の向上に貢献していきたいです。
現在の仕事内容と経験をふまえたうえで、新しい職場でも努力したいという意欲の高さをアピールした例文です。
自分のスキルを伝えることで、入社後即戦力になることもアピールできます。
医療
最後に、医療業界の面接で10年後の将来像について聞かれた際の例文です。
10年後は、確かな技術と知識で患者さんを安心させられるジェネラリストになっていたいです。
そのためにも、総合病院である御院でさまざまな科を経験していきたいと思っています。
将来的には看護管理者として頼れる存在になれるよう、患者さんに寄り添う姿勢を大事にしながら、日々スキルを高める努力を続けたいです。
まだ経験が浅い方だと、具体的なビジョンは見えにくいかもしれません。
その場合、入社後に身につけたい技術やスキルを挙げ、10年後はそのスペシャリストやジェネラリストをめざしたいなどと答えると良いでしょう。
面接で10年後について聞かれたときの注意点
将来のビジョンについて聞かれたとき、4つのポイントに注意が必要です。
- 曖昧な表現は避ける
- 仕事に関係ない話は避ける
- 応募先で実現できない話は避ける
- 辞めそうだと思わせる内容は避ける
以下で詳しく解説します。
曖昧な表現は避ける
自己分析が甘いと10年先の働き方も想像しにくく、面接での回答が曖昧な表現になってしまう可能性があります。
具体性がないまま「出世したい」「責任のある仕事をしたい」などと答えても、面接官にとってはありきたりで印象に残りません。
まずは自分の得意不得意や興味関心を見つめ直し、それを仕事と関連づけてみましょう。
好きなことはとことん極めるタイプだったり、人をまとめあげるのが得意だったりといった個々の能力から、将来像が見えてくることがあります。
できる限り明確なキャリアプランを示すことで、成長意欲の高い人材だとアピールしましょう。
仕事に関係ない話は避ける
10年後の自分について考えたとき、旅行に行きたい、結婚したい、貯蓄をがんばりたいなど、プライベートの将来像が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
しかし、面接官が知りたがっているのは、あくまでも仕事をするなかで実現したいことです。
また、あまりに理想が高すぎる回答も避けましょう。
実現性が低いと、自己分析の甘い人だと受け取られる可能性があります。
応募先で実現できない話は避ける
企業側が10年後の姿について尋ねる意図は、その人が自社でどのような活躍をしてくれるのか判断するためです。
このことから、応募先で実現できない話は避けましょう。
例えば、海外展開のない企業で「将来は海外赴任をしたい」とアピールしても意味がありません。
一方、応募先でしか実現できないキャリアプランを立てていた場合、企業のことをしっかり調べていることが伝わって好印象を与えられます。
辞めそうだと思わせる内容は避ける
面接官は長く働ける人を採用したいと考えているため、10年後の目標として起業や転職を挙げるのはNGです。
応募先でスキルアップしてから起業したいなどのポジティブな発言だったとしても、いつか辞めることをほのめかしている時点で、印象はあまり良くありません。
あくまで10年後も応募先に貢献していることを前提に話すようにしましょう。
10年後の自分を思い描いて面接でしっかり答えられるようにしよう
本番で的外れな回答をしてしまわないよう、面接では10年後の自分について聞かれるものと想定して、事前に準備しておくことをおすすめします。
しっかりと自己分析したうえでキャリアプランを練り、応募先ごとにマッチする内容を答えられるようにしましょう。
実体験を織り交ぜるほか、就きたい役職名・取得したい技術などを挙げることで具体性を出すことがポイントです。
キャリアプランを持つことは、入社後の自分のやりがいや目標を見出すきっかけにもつながります。