50代でも転職することは可能です。
ただし、20代や30代と比べると、簡単ではありません。
50代が転職を成功させるためには、企業の需要や、自身の経験とスキルを充分に把握し、効果的なアピールを行う必要があります。
本記事では、データをもとに50代の転職の現状を紹介したうえで、50代の転職を成功させるためのポイントにも触れています。
目次
50代からの転職は厳しい?
ここでは、転職者数のデータを交えて、50代からの転職事情を見てみましょう。
データで見る50代からの転職事情
上記のグラフは、厚生労働省が発表している令和2年の転職者実態調査の結果です。
転職者の大多数を占めているのが20代から40代までで、7割以上です。
また、同調査の「転職者の労働条件の変化」によると、50代で転職した人の半数以上の人が「賃金は減少した」、約4割の人が「労働時間が減少した」と答えています。
これらのことから、50代からより良い条件を求めて転職を成功させるのは、簡単ではないことがわかります。
ただし、転職者全体の2割弱は50代が占めており、50代からの転職が不可能なわけではありません。
転職を希望している業界や本人のスキルなどによっては、転職の成功率も変わってくるでしょう。
50代の転職が難しいといわれる理由
50代の転職が難しいといわれる具体的な理由を見てみましょう。
- 定年に近い年齢(体力的も落ちる傾向)
- 若手より人件費がかかる
- 経験豊富がゆえに扱いにくい
50代は定年に近い年齢です。
若年層に比べれば物覚えが悪く、体力も落ちているため、雇用されにくい傾向があります。
また、50代は前職でキャリアを積み高い報酬をもらっている場合があり、若手を採用するより人件費がかかる傾向があるため、企業側は50代の中途採用に慎重にならざるを得ません。
さらに50代は経験豊富がゆえに、今までの経験や固定概念にとらわれ過ぎていて、新しい環境に馴染みにくく扱いづらいのではと採用側から心配されがちです。
50代の中途採用で求められるものとは?
企業側が50代の中途採用者に求めるスキルとしては、以下のようなものがあります。
- 専門的なスキル
- 経験や人脈
- 謙虚さや柔軟さ
専門職としてスキルがある場合や、管理職経験がありマネジメント能力をもつ人であれば、若手世代より能力を評価されやすく、待遇面でも水準を下げることなく転職できる可能性があります。
また、実務経験が豊富で実績がある人も即戦力として評価される傾向があります。
経験豊富で業界に詳しい、人脈がある場合なども50代の中途採用者に求められるポイントになるでしょう。
ただし、いくら実績やスキルがあったとしても、プライドが高い人材は扱いづらいのではないかと懸念されがちです。
そのため、謙虚さや柔軟さなどの人間性も求められるでしょう。
50代からの転職を成功させるポイント
50代から転職を成功させるには、ポイントを押さえた転職活動が不可欠です。
しっかりと事前準備をし、転職を成功させましょう。
自分のキャリアを振り返る
最初に自己分析を行い、自身のアピールできるポイントを整理してみましょう。
50代の転職は「キャリアが長いからこそのメリット」をアピールすることが重要です。
これまでの経験のなかで達成したことや身につけたスキルが、転職におけるアピールポイントになります。
次に、気になる企業を研究し、それぞれが求める条件をチェックしていきます。
求める条件が、自分のアピールポイントとマッチしている企業であれば、高く評価される確率が高いでしょう。
自分の希望にこだわりすぎない
50代の転職では、給与や勤務時間、勤務地などの条件について、「ここは譲れない」という基準を定め、それ以外のところでは多くを望みすぎないようにしましょう。
50代は若い世代に比べると選択肢が限られるため、こだわりが強すぎると転職先が見つからないおそれがあります。
時間をかけて転職活動に挑む
50代からの転職は、時間をかけて計画的に進めましょう。
50代ともなると、定年まで期間が短く、チャンスも多くはありません。
転職を失敗したくないという気持ちも強くなるでしょう。
しかし、50代で応募可能な求人は多いとはいえず、書類選考の時点で落とされる可能性もあります。
時間がかかるのを覚悟して、自己分析や企業分析をしっかり行い、計画的に転職活動をしましょう。
50代の転職求人の具体的な探し方
ハローワークや転職サイトなど、さまざまなところに転職求人が掲載されていますが、それぞれの特徴を理解して、効率よく転職活動をしましょう。
ここでは、50代転職の具体的な求人の探し方を紹介します。
ハローワークなどの公的機関
厚生労働省による令和2年転職者実態調査によると、転職者の募集方法は、「ハローワークなどの公的機関による募集」と回答している企業が57.3%と、特に多くなっています。
ハローワークなどの公的機関なら、求人サイトなどには掲載されていない求人や、地場企業の求人に出会える可能性があるでしょう。
ただし、求人を紹介してもらうためには、営業時間内にハローワークに行かなければいけないため、働きながら転職活動をしている人にとっては難しいかもしれません。
また、全体の求人数が多いため、その中から自分に合った求人を探すのが面倒と感じる人もいるでしょう。
転職エージェント
転職サイトや転職エージェントは、無料で利用でき、転職に役立つ情報などが掲載されていることもあるため、登録だけでもしておいたほうが良いでしょう。
特に転職エージェントでは、担当アドバイザーがつき、自分の希望や強みに合った転職先の紹介や、業界の情報提供、面接対策などをしてくれます。
アドバイザーの客観的な意見を聞けたり、相談できたりするので、転職エージェントを利用するメリットは大きいでしょう。
求人数や対象としている世代・業界など、転職エージェントにより特色が違うため、複数のエージェントに登録してみるのもおすすめです。
紹介など人脈の活用
業界や地域での人脈がある人は、紹介など人脈の活用をすると良いでしょう。
企業側にとってもまったく知らない人を採用するより、信頼できる人の紹介のほうがマッチング度が高く、採用の確率が上がるといえます。
年齢を重ね広がった人脈は、50代の強みとして積極的に活用してみましょう。
50代で転職するなら事前準備を万全に
50代の転職は、報酬面や体力的な問題もあり、簡単とはいえません。
しかし、実際に50代で転職し、活躍している人もいます。
企業が求める人材と転職希望者のスキルがマッチしていれば、50代からの転職も可能です。
50代からの転職を検討している人は、経験やスキル、人脈など年齢を重ねて培った強みを積極的に活かしましょう。