履歴書やエントリーシートに志望動機を書くとき、「仕事にやりがいを感じたから」などと書くケースはよく見られます。
しかし、「やりがい」の言葉だけでは具体性に欠け、何にやりがいを感じたいのかが伝わりません。
志望動機は、希望する企業へ向けた大事なアピールポイント。
「やりがい」をほかの表現に言い換えると、印象に残りやすくなります。
今回は、「やりがい」を言い換えるときの手順やポイントを、具体例を挙げて詳しく解説します。
目次
志望動機の「やりがい」では言い換え表現が必要
志望動機は、応募する企業にアピールする大切なポイントです。
「この企業で働きたい」と意志を伝えるため、履歴書やエントリーシートで「仕事にやりがいを感じたから」と書くケースもよく見られます。
しかし、「やりがい」はとても曖昧な表現です。
また、仕事に「やりがい」を感じているのは、自分だけではありません。
ほかの応募者も、応募する企業での業務に何かしらの「やりがい」を感じているため、より印象に残るよう自分の言葉に言い換えて差別化することが大切です。
極端にいうと、やりがいのない仕事はありません。
各企業・職種ごとにさまざまやりがいがあり、応募先に合わせて「やりがい」を言い換えることで、自分らしい「やりがい」を表現できます。
志望動機では、「やりがい」を自分らしい表現に言い換えて、応募先企業での仕事に対する熱意を表しましょう。
志望動機の「やりがい」を書くまでの手順
志望動機の「やりがい」をほかの表現に言い換えて書くときは、次の手順に沿って考えると、まとまりやすくなります。
- 自分にとってのやりがいを定義する
- 転職先の業務内容を確認する
- 転職先でやりがいを感じる部分を整理する
- どのように貢献したいのかを整理する
「やりがい」を書くまでの手順を、順番にご紹介します。
1. 自分にとってのやりがいを定義する
「やりがい」は、客観的に見ると曖昧さを感じ、個人の考えや思いが伝わりにくい表現です。
例えば、看護師をしていた人がほかの病院へ転職するとき、「この病院にやりがいを感じたから」といっても、何に対してやりがいを感じたのかわかりません。
仕事でどのようなことにやりがいを感じるかは、人それぞれです。
早く効率的に業務をこなすことにやりがいを感じる人もいれば、誰かに喜んでもらうことにやりがいを感じる人もいます。
自分がやりがいを感じるポイントを定義し、自分なりの表現で志望動機を提示すれば、個性を表現できます。
個性的に言い換えられた「やりがい」なら、ほかの応募者とも差別化しやすく、採用担当者に具体的なイメージを与えられるでしょう。
2. 転職先の業務内容を確認する
次に行うのは、応募先の業務内容の確認です。
応募先で希望する職種の業務内容や、経営方針・特色など、その組織ならではの情報を確認してください。
例えば、ある医療施設の看護師の求人に応募するとします。
医療施設の看護師という共通点はあっても、入院施設の有無・病院の規模・特定疾病への専門性など、医療施設によって業務内容も職務特性も変わります。
自分が希望する職種で想定される業務内容を書き出し、応募先だからこその特徴を見つけましょう。
3. 転職先でやりがいを感じる部分を整理する
応募先の業務内容を確認したら、自分の「やりがい」の定義とすり合わせ、書くべき内容を整理してください。
組織の業務内容は、同じ業種であっても運営方針などによって異なります。
応募先の企業だからこそのサービスや業務内容と、自分の「やりがい」の定義をマッチングさせれば、「ここだからこそ応募した」と強く印象付けられるでしょう。
例えば、介護職を希望する人が、地域密着型のデイケアセンターに応募するとします。
応募者が、「住み慣れた場所で笑顔で暮らす要介護者の姿」にやりがいを感じていた場合、地域密着型デイケアセンターの経営方針と一致するので、自分らしい「やりがい」をアピールしやすくなります。
せっかく自分の「やりがい」の定義を見つけても、同業他社にも通用する内容だと、「ほかの組織でも良いのでは」と思われかねません。
転職先でやりがいを感じる部分を整理して、「この組織だから就職したい」という意志を見せましょう。
4. どのように貢献したいのかを整理する
最後に行うのが、自分の「やりがい」を実現するための方法や、力を入れたい業務内容などの整理です。
入社後の貢献度をアピールする部分なので、将来の姿を具体的に伝えられるようにまとめましょう。
整理にあたり注意しなければならないのが、「自分がやりたいこと」を中心にせず、あくまで組織に貢献できるポイントを重視する点です。
自分の「やりがい」だけを求めるのではなく、企業への貢献が自分の「やりがい」へつながる、などの内容で整理してみましょう。
【言い換え一覧表】志望動機に書く「やりがい」
「やりがい」を別の言葉に言い換えたほうが良いとわかっていても、うまく言葉が出てこなかったり、しっくりする表現が見つけられない人もいることでしょう。
そこで、「やりがい」の言い換え例を一覧表にまとめ、それぞれの例文をご紹介します。
志望動機で「やりがい」を言い換えるときの参考にしてみましょう。
言い換え後 | ポイント |
1. 人の役に立ちたい | 人と対面し、直接手助けする機会がある職業に向いている言い換え表現。 |
2. 社会に貢献したい | 仕事内容が、社会貢献につながる職業に向いている言い換え表現。 |
3. 医療業界で活躍したい | 医師・看護師から医療機器メーカー・医薬品メーカーまで、医療業界全般に向いている言い換え表現。 |
4. 挑戦したい | 未経験の職種や、商品開発や新しいサービスの提供など、成功・成長したときに達成感がある職種・業界に向いている言い換え表現。 |
5. 多くを学びたい | 何かしらのスキルやノウハウが必要な企業へ応募するときに向いている言い換え表現。 |
6.自分に向いている | 人から注目されたりほめられたりするスキル・ノウハウがあり、それをアピールしたいときに向いている言い換え表現。 |
1. 人の役に立ちたい
「人の役に立ちたい」は、人と直接関わりを持ち、誰かの手助けをしたりアドバイスをしたりする職業に向いている言い換え表現です。
小児科の医療事務に応募するケースで、例文をご紹介します。
私がこちらの医療事務に応募したのは、人の役に立ちたいと考えたからです。
私は未熟児で生まれ、体調を崩しやすかったため、よく小児科でお世話になっていました。
そのとき、通っていた小児科の受付の人が、少しでも楽になれるようベッドを整えてくれたり、診察を怖がらないよう付き添ってくれた思い出があります。
こちらの受付事務になれたら、子どもたちが不安にならないよう手助けしてあげたいです。
2. 社会に貢献したい
「社会に貢献したい」は、社会貢献につながる仕事に応募するときの言い換え表現です。
地域密着型介護サービス会社に応募するケースで、例文をご紹介します。
【例文】私がこちらの会社に応募したのは、地域社会に貢献したいと考えたからです。
地域密着型の介護サービスが増えるなかでも、こちらは巡回や見守りサービスなど、高齢者のことを考えた事業を行っていることに感銘を受けました。
高齢者の一人暮らしは、本人もご家族も不安を抱えるケースがあると思います。
学生時代のアルバイト経験で身につけたコミュニケーション能力を御社で活かし、利用者様に安心してもらえるサービスを提供したいです。
3. 医療業界で活躍したい
「医療業界で活躍したい」は、医療に関するさまざまな分野の企業・団体に応募するときの言い換え表現です。
医療機器メーカーに応募するケースで、例文をご紹介します。
【例文】私は、御社が提供している医療機器に感銘を受け、ぜひ医療業界で活躍したいと思い応募しました。
病気の治療は痛みをともなうケースもあり、誰もが痛みを軽くしたいと考えています。
患者さんを支える医療者側も、できることなら患者さんの痛みを軽減したいと思うのが当然です。
御社では、痛みをブロックする医療機器の製造に力を入れており、痛みに苦しむ人はもちろん、それを支える人たちにも希望を与えています。
御社に入社したら、これまでの開発経験を活かして、痛みが軽減される医療機器の開発に取り組みたいです。
4. 挑戦したい
自分にとって新しい分野や、難しい仕事内容の企業に応募するときは、「挑戦したい」と言い換えましょう。
未経験の人が、デイケアサービスに応募するケースで例文をご紹介します。
【例文】私が御社へ応募したのは、祖母がお世話になっているデイケアサービスを通じて介護職の素晴らしさに触れ、ぜひ挑戦したいと思ったからです。
特に御社では、利用者様の趣味活動に力を入れており、明るい笑顔が溢れる環境に魅力を感じました。
私は、幼い頃から畑仕事を手伝い、現在も園芸が趣味です。
介護職は初めてですが、介護職のノウハウを積極的に学んで、利用者様を笑顔にさせる介護士をめざしたいです。
5. 多くを学びたい
現在何かしらのスキルがあり、さらなる成長を希望している人は、「多くを学びたい」と言い換えるのが良いでしょう。
前職で保育士をしている人が、児童養護施設に応募するケースで例文をご紹介します。
私は前職で保育士をしていましたが、児童保育の知識と経験をもっと深め、多くを学びたいと思い今回応募しました。
保育園では、乳児から年長児まで担当経験がありますが、さらに成長した子どもたちと職務上触れ合った経験はありません。
児童心理学などは学びましたが、実際に触れ合うことで学べることも多いと考えています。
入職後は、保育園で培ったスキルを活かしつつ、さらに多くを学んで成長したいです。
6. 自分に向いている
応募する企業に活かせるスキルを持っている人は、「やりがい」を「自分に向いている」と言い換えましょう。
薬剤師の人が、製薬会社のMRに応募するケースで例文をご紹介します。
今回私が御社に応募したのは、自分に向いている仕事だと感じたからです。
前職では薬剤師として勤めていましたが、新薬の効果やリスクなどをいつも気にかけていました。
御社のMRに採用されたら、薬剤師の知識と経験を活かし、安心して服用・使用できるよう情報を提供していきたいです。
志望動機に「やりがい」を書くときは具体的な表現に言い換えよう
採用担当者は、志望動機に具体性を求めています。
「やりがい」だけだと表現が曖昧になり、「ここに就職したい」と願う気持ちが伝わりません。
志望動機で「やりがい」を書くときは、自分のなかでブレない「やりがい」の定義を見つけ出し、応募する企業の仕事内容や特徴を調べ、具体的な表現に言い換えてオリジナリティを出すことが大切です。
応募先の仕事内容と自分の「やりがい」の定義をマッチングさせ、採用担当者の目にとまりやすい、自分らしい表現の「やりがい」を志望動機に書きましょう。