新卒の就職活動において、履歴書やエントリーシートをはじめとする企業への応募書類で求められる項目の一つに「志望動機」があります。
書類の記入欄の大きさや指定文字数によっては、要点を絞ったうえで簡潔に志望動機を書く必要があるでしょう。
本記事では、新卒向けに短めの志望動機の例文を文字数・業界別に5つ紹介します。
志望動機を魅力的な内容にするポイントや注意点も解説しているため、執筆時の参考にしてみてください。
目次
短めの構成の作り方
志望動機を短めの構成で作るときは、必須で伝えたい要素から優先的に組み入れて文字数に収まるようにしましょう。
一般的な志望動機の構成は「志望理由+エピソード+入社後の抱負」です。
100文字以内など最小限の文字数を指定されたとき、このすべてを盛り込むのは難しいかもしれません。
この場合、志望理由と入社後の抱負を簡潔にまとめるのがベターです。
150~200文字程度であれば、自分の経験などエピソードを執筆する余裕もあります。
さらに文字数にゆとりがある場合、志望理由を述べたあとに自分の想いを伝えましょう。
志望動機の構成や書き方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
表現方法や書き方を工夫する
短めの志望動機を書くときは、無駄な表現を省く工夫が必要です。
情報の重複を避ける、なくても意味の通じる接続詞はカットするなど、できる限り簡潔な表現を意識しましょう。
例えば、同じ意味でも以下のように言い換えることで文字数を最小限にできます。
- コミュニケーション→対話・意思疎通
- 話すことができる→話せる
- 考えるようにしなければいけません→考えなければなりません
また、書き言葉と話し言葉の違いにも注意しましょう。
応募先の会社を、話し言葉では「御社」と言いますが、志望動機を書くときには「貴社」を使います。
新卒向け志望動機【短めの例文】
ここでは新卒の方向けに短めの志望動機の例文を紹介します。
文字数別、業界別に見てみましょう。
文字数別
上記でも触れたとおり、志望動機に文字数制限がある場合、それに合わせて構成を変える必要があります。
志望動機は面接であらためて質問される可能性が高いため、口頭で説明できるエピソードはあえて省くというのも一案です。
100文字程度
100文字で志望動機を書く場合、志望理由と入社後の抱負を盛り込みます。
私は、お客様の結婚式を唯一無二のイベントにするお手伝いがしたいと思い、貴社を志望しました。
イベントサークルで身につけた企画力や対話力を活かして、常識に捉われない特別な式を提案していきたい所存です。
簡潔ながらも自分のスキルや経験までアピールしているため、採用後の活躍を想像してもらいやすくなるでしょう。
200文字程度
200文字程度で志望動機を書く場合は、「志望理由+エピソード+入社後の抱負」の構成を意識してください。
私が貴院を志望したのは、一人ひとりの生活に寄り添ったサポートを提供するという理念に深く共感したためです。
私は学生時代の実習経験から、患者様の治療がゴールではなく、退院後を見据えた健康促進も重要な意味を持つと感じました。
回復期リハビリテーションに注力する貴院であれば、個別性の高い支援のあり方について多くのことを学べると感じております。
入職後は、患者様目線での丁寧なサポートを提案していきたいです。
応募先を選んだ背景として、自分の価値観やこれまでの経験を挙げることで、人柄が伝わりやすくなります。
業界別
志望動機に文字数の指定がない場合、記入欄の大きさにもよりますが、一般的に300文字程度が適当といえます。
応募先の業界や企業に合わせてエピソードを工夫してみましょう。
IT業界
新卒でIT業界をめざす方の志望動機の例文は、以下のとおりです。
私が貴社を志望したのは、「テクノロジーで社会課題を解決する」という企業理念に強く共感したためです。
私は大学時代、ゼミ長として周囲との連携を重視し、関係構築を図りながら企業の人事労務について研究を進めてきました。
日本ではDXが遅れており、長時間労働の問題もいまだ残っているのが実態です。
貴社は人事労務に関したSaaSプロダクトを展開するなど、高い技術力で多くの企業やさまざまな業種に対してサービスの提供を進めています。
ゼミで培った関係構築力や協調性は、営業として多くの企業と関係を築くのに役立つものと考えました。
顧客企業に対して、より事業に集中できる環境を提供するべく、貴社の一員として尽力していきたい所存です。
商社業界
商社業界で働きたい方の志望動機の例文は、以下のようになります。
私が貴社を志望した理由は、消費者視点で商材や資源の調達を行っている点に魅力を感じたためです。
私は周囲を観察することが得意で、相手が求めているものは何かを考えながら、その人の立場に立って行動するように心がけています。
例えば学生時代にスポーツ量販店で販売のアルバイトをしていたとき、お客様が求めているものは何かを常に見定め、適切な商品の紹介をしていました。
その結果、お客様から感謝の言葉をいただけるようになりました。
貴社に入職後は、自身の経験で培った「消費者視点で求められているものを考える力」を活かして、世の中のニーズに応える商材や資源を調達し、お客様の希望を叶えていきたいと考えています。
金融業界
金融業界をめざす新卒の方の志望動機には、次のような例文が考えられます。
私が貴社を志望した理由は、高齢者目線でのサービス充実に力を入れるなど、多様な商品が展開されている点に魅力を感じたためです。
私の祖母は入退院を繰り返していた経験があり、銀行や保険の手続きに苦労したという話をよく聞いていました。
生命保険は人の生活の支えになる尊いものですが、消費者にとってより身近なものになるには、個人の事情に配慮した細やかなサービスが必要だと感じています。
特に高齢化社会が進む現代では、シニア向け商品の開発だけでなく、将来を不安に感じる若年層に向けたアプローチも必要だと考えました。
入社後は顧客のニーズを見定めて最適な保険を提案し、祖母のように困っている方の手助けができる人材をめざしたいです。
新卒で短めの志望動機を書く際の注意点
新卒の方が志望動機を書くにあたっては、いくつかの注意点があります。
特に短めの文章量で内容をまとめなければならない場合、適切な文字数で書かれているか、必要な情報がきちんと要約されているか入念に確認しましょう。
文字数に気をつける
短めの志望動機を書くときには、文字数の超過や不足に注意が必要です。
志望動機の欄に空白が多いと入社への熱意が伝わらず、また指定文字数を超えていると要約力がないと判断されかねません。
文字数の下限と上限は以下のとおりです。
下限 | 上限(〇字以内) | 上限(〇字前後) |
指定文字数の9割以上 | 指定文字数まで | 指定文字数の11割まで |
履歴書やエントリーシートなどに文字数指定がない場合、志望動機は300文字前後でまとめるのが望ましいといえます。
少なくとも200文字以上は書くようにしましょう。
記入欄が足りない場合、はみ出して書くのではなく、欄が大きい履歴書を使うようにしてください。
端的に読みやすくまとめる
志望動機を短めに書く際は、必要な文字数に合わせて文章を端的にまとめましょう。
採用担当者は多くの応募書類に目を通すため、要領を得ない志望動機は印象に残りません。
文字数が指定されている場合、採用担当者は要約力や説明能力もチェックしています。
無駄な表現は省いたうえで、結論から書き始めるなど読みやすい内容に仕上げることが大切です。
ES・履歴書・面接で内容を差別化する
ES・履歴書・面接でアピールする項目は、一貫性を持たせつつ内容を差別化しましょう。
特に履歴書とESは同時に提出するため、書かれている内容がまったく同じだと採用担当者には一目瞭然です。
場合によっては、アピールしたいことがない、入社意欲に欠けると判断されるかもしれません。
情報量やエピソードの一部を変えるなどして、書類ごとに差別化をしてみてください。
ただし内容に矛盾が生じると信憑性がなくなるため、嘘やあからさまな誇張は避けるべきです。
志望動機をはじめ自己PRなどの項目は、ESや面接でたっぷり説明できます。
このため、履歴書では最小限の情報に留めておくと良いでしょう。
短めの志望動機は書き方を工夫して読みやすくまとめよう
志望動機を書く際の構成は、「志望理由+エピソード+入社後の抱負」がオーソドックスです。
しかし、100~200文字など短めに内容をまとめる場合、文字数に合わせてエピソードの量を調整する必要があります。
企業は短めの志望動機で応募者の要約力もチェックしているため、冗長表現や無駄な情報など省けるところがないかを確認し、読みやすく簡潔にまとめてみてください。
魅力的な志望動機が採用の後押しになる可能性もあります。
自分の気持ちを的確に表現できるよう、日頃から言葉の引き出しを増やしておきましょう。