志望動機に福利厚生を挙げてはいけないというルールはありませんが、一般的には良くないと考えられています。
福利厚生だけを志望動機として伝えると、採用担当者に仕事への熱意がないととらえられる可能性があるからです。
しかし、そのような背景を踏まえたうえで注意点を押さえられれば、福利厚生を志望動機としてうまく伝えられる場合もあります。
では、福利厚生を志望動機として伝えるには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
今回は、福利厚生を志望動機としてうまく伝える方法を紹介します。
目次
志望動機として福利厚生を挙げて良いか
面接や書類選考の志望動機に、福利厚生を挙げてはいけないというルールはありません。
ただし、採用担当者の考え方によっては、福利厚生を志望動機に挙げることで印象が悪くなる恐れがあります。
特に、志望動機に福利厚生だけを挙げた場合には、採用担当者に福利厚生だけが目当てだととらえられる可能性があるためです。
そのため、志望動機で福利厚生に触れる場合には、福利厚生以外で熱意をアピールできる志望動機を強調しなくてはなりません。
しかし、福利厚生を志望動機に挙げたい方のなかには、「他の志望動機が思いつかないから、福利厚生を志望動機にしたい」という方もいるでしょう。
志望動機に福利厚生を挙げる場合でも、内容を深く掘り下げて他の志望動機に言い換えることで、採用担当者に福利厚生だけが目当てだととらえられるリスクを下げられます。
福利厚生を志望動機として伝える際には、福利厚生を志望動機にするリスクを踏まえてうまく伝えましょう。
福利厚生を志望動機にすることで考えられるリスク
福利厚生を志望動機にすることで考えられるリスクは、以下のとおりです。
- 好条件の企業が見つかると転職しそうな人間だと思われる
- 経験者でも能力が伝わりにくくなる
- 採用担当者が期待する内容ではない可能性がある
ここからは、それぞれを詳しく解説します。
好条件の企業が見つかると転職しそうな人間だと思われる
福利厚生だけを志望動機として伝えてしまうと、福利厚生などの条件のみで職場を選ぶ人だと思われてしまうリスクがあります。
採用担当者が、応募者の仕事に対する熱意は「あくまでも福利厚生のためだ」と考えてしまうこともあるでしょう。
よって、自社よりも好条件の企業があれば転職すると思われる恐れがあります。
例えば、企業年金制度を魅力に感じている場合でも、「私は、御社の企業年金制度に魅力を感じています」とダイレクトに伝えるのは避けたほうが良いでしょう。
たとえ事実だったとしても、福利厚生が目的で仕事にあまり興味がないととらえられるリスクがあるためです。
企業年金制度を志望動機に取り上げる場合には、「企業年金制度のおかげで老後の心配を減らして、興味のある仕事に打ち込める」など、工夫して伝える必要があります。
経験者でも能力が伝わりにくくなる
志望動機を質問する意図は、企業が応募者の人物像を知ることにあります。
そのため、志望動機で福利厚生と答えてしまうと、応募者の人物像がわかりにくくなります。
質問を通して採用担当者が知りたかった、応募者の人物像が明確にならないのです。
志望動機の質問に対して、仕事内容に触れることなく福利厚生と答えてしまうと、たとえスキルを備えている人でもその能力が伝わりません。
具体的には、これまでの経験を活かせる職種で育休制度がある企業への転職を希望するにあたり、「育休制度が良いと感じたことが志望動機です」と答えてしまうと、育休を利用するためだけに志望していると思われるかもしれません。
まずは自身の経験やスキルを活かせる点を伝えたうえで、育休制度にも魅力を感じたと言いそえる程度にすべきです。
志望動機で福利厚生に触れる際には、人物像と能力がわかる内容を軸に、福利厚生について触れるようにしましょう。
採用担当者が期待する内容ではない可能性がある
採用担当者が志望動機を質問する意図は、応募者の人物像や志望度の高さ、企業とのマッチ度などを推し量るためでもあります。
しかし、志望動機の質問に対して業務とは直接関係のない福利厚生であると答えてしまうと、採用担当者は意図した情報を得られていないと感じてしまいます。
採用担当者の考え方によっては、質問の意図をとらえ切れていない回答とみなされ、評価されない恐れがあります。
福利厚生を志望動機としてしまうと、採用担当者に悪い印象を持たれてしまう場合もあるでしょう。
福利厚生を志望動機としてうまく伝える方法
志望動機で福利厚生のみを伝えてしまうと、採用担当者からの印象が悪くなる可能性が高いです。
ここからは、福利厚生を志望動機としてうまく伝える方法を解説します。
福利厚生を重視する理由を明確に伝える
自分が福利厚生を重視する理由を明確に伝えることで、志望動機に熱意を含ませられます。
なぜ福利厚生を重視するのかが伝わるため、採用担当者に自分本位だと思われるリスクを下げられるかもしれません。
「仕事とプライベートの区別をつけたい」や「オンオフの区別がはっきりさせられる企業で働きたい」といった表現であれば、仕事への意欲や熱意を疑われることもないでしょう。
福利厚生に直接触れなくても内容として伝わり、自分と企業の労働環境との相性が良いことをアピールできます。
社風が自分のビジョンと相性が良いことを伝える
福利厚生は、ライフスタイルに深く関わる要素です。
自分のキャリアビジョンと志望先の労働環境との相性の良さを強調して、末永く働けることをアピールするのも、福利厚生を志望動機としてうまく伝える方法になります。
キャリアビジョンとの相性の良さを伝えるには、自分の目標を明確にしておくことが大切です。
具体的な例として、「技術を磨くために一つの職場で長く働きたいから、御社の福利厚生に魅力を感じている」といった志望動機であれば、自分本位ととらえられるリスクも少ないでしょう。
福利厚生以外の志望動機を強調する
志望動機を伝える際に福利厚生から職場環境、社風や企業理念にまで話題を広げることで、企業への理解度や熱意をアピールできます。
入社前から企業への理解を深めていることが伝えられ、採用担当者に志望先への積極性をアピールできるでしょう。
志望先が製造・販売している製品がある場合、製品の特徴やこだわりを福利厚生とからめて、志望動機に言い換えることもできます。
具体的には、「製品のクオリティが高いのは、社員が安心して働ける環境がある」や「社員と消費者の幸せを追求している企業として魅力を感じている」などです。
活躍できる熱意があることをアピールする
志望動機に福利厚生を挙げる場合には、仕事に貢献したい気持ちを入れて熱意をアピールしましょう。
なぜなら、志望動機に福利厚生を挙げる際に、不足していると感じられやすいのが仕事への熱意だからです。
「福利厚生が整っているため、御社で働きたいと」とシンプルにまとめすぎると、福利厚生を優先する印象が強くなるため、他の志望動機とのトータルバランスに注意して伝えましょう。
福利厚生を志望動機として伝える例文
ここでは、実際に福利厚生を志望動機として伝える例文を紹介します。
福利厚生を志望動機として取り上げながらも、他に志望動機を添えているため、自分本位な印象になっていないところがポイントです。
貴社を志望したのは、安心して働ける福利厚生に魅力を感じたためです。
福利厚生が充実している企業は、従業員のことを大切にしている会社だと思います。
また、貴社の商品は〇〇な部分がとても使用者に配慮されていることにも感銘を受けました。
「人」を大切にする貴社の理念が、良い職場環境や良い商品を生み出していると感じています。
温かい気遣いと高い技術で〇〇を生み出した諸先輩方のように、私も貴社に長く勤めてお客様に幸せをお届けできるよう尽力いたします。
私が貴社を志望した理由は、業務に集中できる環境が整っていると感じたためです。
さらに貴社の企業理念には社会貢献が挙げられており、長年の希望が叶えられると思い志望いたしました。
私は学生時代から、社会や人に役立つ仕事に就きたいと考えてきました。
実際に学生時代は福祉施設で行われるイベントのサポートや、ボランティア活動を行いました。
貴社への入社後は優秀な社員の皆様を見習って、自分のスキルで貴社に貢献できるよう尽力いたします。
整備にご尽力いただいた良い職場環境で長く働き、会社にも、社会にも末永く貢献したい所存です。
福利厚生を志望動機にする場合は慎重に伝えよう
志望動機に福利厚生を取り上げる場合には、仕事への熱意がないと感じられないよう、慎重に伝える必要があります。
ただし、福利厚生を志望動機としてうまく伝えることで、長く貢献できる人材であると伝えることが可能です。
志望動機に福利厚生を伝える場合には、リスクを踏まえて表現を工夫し、うまく伝えてみましょう。