面接や履歴書で志望動機を伝える際、「応募企業に魅力を感じたから」と答えるケースはよく見られます。
志望動機としては間違っていませんが、ただ「御社に魅力を感じた」とだけ伝えても、内容が漠然として、採用担当者の印象には残りにくいでしょう。
「魅力を感じた」と伝えるときは、表現を工夫したり、応募企業に合わせた回答をしたりすることが大切です。
今回は、志望動機で「魅力を感じた」と伝えるときのポイントを、例文を交えて解説します。
目次
志望動機で企業の魅力を伝えるポイント
志望動機を考えるときは企業の魅力を分析し、ポイントを押さえた伝え方をしましょう。
企業は採用活動を通して、自社で長く活躍してくれる人材を求めています。
志望動機について質問するのは、入社後のミスマッチや早期退職を防ぐため、志望動機を通じて、応募者の仕事に対する姿勢や考え方を理解し、入社後のミスマッチや早期退職を防ぎたいと考えているからです。
そのため、志望動機で応募企業に魅力を感じたと伝えるのであれば、企業の魅力を入念に調査し、理解しておくことが重要です。
例えば、応募企業の社風が「協調性と団結力」だったとします。
もし、「協力しあって結果を出す社風に魅力を感じた」と伝えられたら、企業側も「一緒に長く頑張ってくれる人材」と感じるでしょう。
企業が応募者の志望動機を知りたい理由
企業側は、応募者の志望動機から次の3点を探ります。
- 人柄の確認
- 仕事への熱意
- 当社(応募企業)を選んだ理由
志望動機を知りたい理由がわかれば、文章を考えるとき役立ちます。
それぞれの項目を、以下で詳しくご紹介しましょう。
人柄を確認したい
応募者の人柄は、企業側が重要視する項目の一つです。
特に新卒の場合は、中途採用に比べるとスキルや経験の優劣が少ないため、一緒に働く仲間としてふさわしい人柄かどうかが特に重視されます。
また、人柄の確認は、企業の業務内容・雰囲気・現職社員とのマッチングにも役立ちます。
たとえ業務内容に魅力を感じても、社風や現職社員とのミスマッチがあると、早期退職につながりかねません。
企業側は、採用後のさまざまなリスクを回避するため、応募者の志望動機から人柄を探っています。
熱意を知りたい
応募者の志望動機には、入社後の仕事への熱意を知る目的もあります。
応募企業への熱意は、言い換えるなら目標です。
叶えたい夢や身につけたいスキル、達成したい目標などを伝え、それが応募企業だからこそ可能なものであれば、面接官も入社後の活躍をイメージできるため、印象に残りやすくなるでしょう。
他社ではなく当社が良い理由を聞きたい
「なぜ、同業他社ではなく自社でなければならなかったのか」を知るのも、企業側が志望動機をたずねる理由です。
応募企業でなければならない理由を具体的に伝えられる応募者は、他社よりも優れている点を見つけて当社を選んだと判断されるため、企業側に好印象を与えやすいでしょう。
応募企業だけではなく、同業他社と比較して優れている点も確認し、志望動機で具体的な魅力を伝えてください。
志望動機で伝える「魅力を感じた」に近い言い換え表現
志望理由として「御社に魅力を感じた」と伝える応募者は少なくありません。
裏を返せば「魅力を感じた」は、面接官にとって頻繁に耳にする、印象に残りにくい表現であるともいえます。
そこで「魅力を感じた」をほかの表現に言い換えると、自分らしさをアピールでき、伝えたい内容にも厚みが出るでしょう。
ここでは「魅力を感じた」の言い換え表現を、いくつかご紹介します。
「ありがたい」は待遇に魅力を感じている場合に有効
応募企業の待遇に魅力を感じているときは、「ありがたい」に言い換えると効果的です。
例えば、現在子育て中の人や、ご家族の介護をしている人の場合、短時間正社員の制度や家庭に配慮した優遇制度があると、応募企業の待遇にありがたみを感じます。
具体的な事例を挙げて「ありがたい」と伝えられれば、魅力を感じた部分が具体的に伝わり、応募企業に与える印象も良くなるでしょう。
待遇の良さに魅力を感じる場合は、具体例を挙げて「ありがたい」と言い換えてください。
「自分が成長できる」は研修体制が充実している職場に適切
応募企業の研修体制が充実しており、スキルアップの可能性に魅力を感じるときは、「自分が成長できると思ったから」と言い換えてみましょう。
「充実した研修体制があり、自分が成長できると思ったから」と伝えると、入社後の成長や貢献を予感させ、企業側はあなたの仕事への姿勢に期待を寄せてくれる可能性が高まります。
「やりがいを感じる」「貢献できる」も好印象
応募企業の業務内容に魅力を感じるときは、「やりがいを感じる」と言い換えると印象が良くなります。
「やりがいを感じる」もよく見られる表現なので、具体的な事例を交えて「貢献できる」と言い換えると良いでしょう。
例えば、介護系の企業へ応募するとき、「介護に悩むご家族のサポートにやりがいを感じる」のように、どういった形で貢献できるかを伝えると、印象に残ります。
実例や具体例を挙げて、より明確なイメージを持たせるようにしましょう。
「心を動かされた」は未経験でも意欲をアピールできる
応募企業の事業内容や、経営理念・商品などに魅力を感じている場合は、「心を動かされた」と言い換えられます。
心が動くほどの感動は、経験・未経験に関係なく起こりうるので、未経験分野の企業にも働く意欲をアピールできるでしょう。
ただし、同業他社との差別化を図るため、応募企業ならではの魅力を探すことが大切です。
具体的な商品名や特に興味がある事業など、あなたが興味を持った内容を挙げてアピールしましょう。
「うれしい」は憧れの仕事だと理解してもらえる
「魅力を感じた」を「うれしい」に言い換えると、応募企業への憧れや将来的な期待を伝えられます。
例えば、知名度の高いお店や企業への就職に魅力を感じた場合、「働けたらうれしいです」と伝えると、仕事へのやる気や憧れを表現できるでしょう。
「うれしい」以外にも、「幸いです」「ありがたいです」に言い換えると、応募企業で働きたい意思が伝わります。
「魅力を感じた」を「うれしいです」「幸せです」に言い換えて、応募企業への憧れと期待をアピールしてください。
「企業に魅力を感じた」を志望動機にした例文
伝え方のポイントや言い換え表現がわかっていても、いざ自分で考えるとまとまらない人もいるでしょう。
以下で基本の例文をご紹介するので、実際に文章を考えるときの参考にしてみてください。
志望動機の例文は、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
企業の人物に惹かれた場合の例文
インターンシップでお世話になった社員やOBなど、企業に所属する人物に惹かれた場合は、具体的に体験したことを交えて志望動機を伝えましょう。
例文は以下のとおりです。
私が御社を志望したのは、社員の〇〇さんを通じて、職場の雰囲気や仕事に取り組む姿勢に強く惹かれたからです。
〇〇さんは学生時代の先輩で、当時から何事も積極的に取り組まれていましたが、御社に入社後は会社のバックアップを受け、どんどん新しい仕事にチャレンジしていると伺いました。
私も御社の一員となり、未経験の分野でも積極的にチャレンジして、御社に貢献できたらうれしいです。
企業理念に魅力を感じた場合の例文
企業理念に魅力を感じた場合は、過去の経験を交えて社風の素晴らしさを伝え、入社後の働く姿勢まで言及すると良いでしょう。
具体的な例文は以下のとおりです。
私が御社を志望したのは、部署・年代の垣根を超えて、企業全体で意見を出し合い、積極的にアイデアを取り入れる企業理念に心を動かされたからです。
私は以前、〇〇ストアのレジスタッフを経験しましたが、現場の意見が本社に伝わるまで時間がかかり、社員同士の意思疎通や意見交換の重要性を痛感しました。
御社に入社したら、みなさんと意見を出し合いながら協力し、より良いサービスを提供したいです。
業務内容に魅力を感じた場合の例文
企業全体ではなく、職種に魅力を感じた場合は、各職種に適した内容が効果的です。
以下に例文を紹介します。
事務職
事務職に魅力を感じた場合は、過去の経験や現在のスキルを文章に盛り込み、やりがいと仕事への貢献度をアピールしてみましょう。
具体的な例文は以下のとおりです。
私が御社の事務職を志望したのは、接客・データ入力・伝票チェックなど、多岐にわたる業務にやりがいを感じたからです。
私は商業高校を卒業し、簿記検定・タイピング検定や、表計算ソフトの資格取得など、積極的に事務スキルを磨きました。
卒業後は接客業も経験し、コミュニケーションスキルを身につけ、トラブルシューティングの経験もあります。
御社の事務職でも、過去の経験や身につけたスキルを活かし、貢献できたら幸いです。
営業職
営業職に魅力を感じた場合は、応募企業が提供する商品・サービスとからめて、具体的なやりがいをアピールしてみましょう。
営業職の例文は以下のとおりです。
私が御社の営業職を志望したのは、御社が開発した介護商品を広めたいと思ったからです。
私は学生時代、祖父の介護に携わり、ベッドから車椅子への移動で腰を痛めたことがありました。
当時は御社の介護リフトを存じ上げず、祖父が天寿をまっとうしたあと御社の商品を知り、もっと早く知りたかったと思った経験があります。
入社後は、過去の経験談をもとに御社の商品の良さを伝え、介護に悩むご家族に喜んでいただける商品・サービスを提供したいです。
サービス業
飲食店やブライダルサロンなど、サービス業に魅力を感じたときは、応募企業のサービスに合わせた体験談や、将来的な貢献度を伝えてください。
サービス業の志望動機の例文は、以下のとおりです。
私が御社を希望したのは、実際に店舗でサービスを受け、スタッフの皆さんの対応に心を惹かれたからです。
昨年の夏頃、〇〇市の支店を利用しましたが、ちょうど昼頃だったので混雑し、店舗前の待機席もいっぱいでした。
体の不自由な方も並んでいたのですが、ホール担当の方が簡易の椅子を持ってこられ、体に負担がかからないよう配慮なさったのです。
忙しい中、お客様一人ひとりに目を配りサービスを提供する姿は、とても尊く素晴らしいと感じました。
御社に入社したら、私もあの方のように店舗全体に目を向け、心が温まるようなサービスを提供したいです。
医療・福祉
病院や介護施設など、医療・福祉系の志望動機は、過去の経験から将来的な希望へとつなげると、具体的に貢献度をアピールできるでしょう。
例文は以下のとおりです。
私がこちらの施設を志望したのは、以前祖母がお世話になったときの対応に感銘を受けたからです。
晩年、祖母は認知症を発症し、感情のコントロールができず、突然怒ったり泣きわめいたりしましたが、スタッフの皆さまに手助けをいただき、私たち家族はとても救われました。
過去の経験から、私は高校卒業後に福祉系の大学で介護の知識と技術を身につけ、ほかの施設での実務を経て現在に至ります。
こちらの施設で働けたら、祖母と私たち家族を手助けしてくれた皆様のように、利用者さまとご家族の力になりたいです。
人事職
人事職の志望動機は、経験者か未経験者かで伝える内容が異なります。
人事経験者の場合は、実務から感じたやりがいを伝え、応募企業で貢献できる点を伝えましょう。
例文は以下のとおりです。
私が御社の人事職を志望したのは、これまでの経験を活かせると考えたからです。
私は5年間の人事職経験があり、新卒者から中途採用者まで、幅広く対応した経験があります。
また、各部署と綿密な連携をとり、在職者が気持ちよく働けるよう、社内問題の解決にも取り組んでまいりました。
御社に入社後は経験を活かして、社員全員が気持ちよく働ける環境作りに尽力したいです。
人事未経験者の場合は、現在のスキルを活かしつつ、新たなチャレンジへのやる気をアピールすると良いでしょう。
具体的な例文は以下のとおりです。
私が御社の人事職を志望したのは、未経験でも人事に携われるチャンスだと考えたからです。
私の現職は接客業ですが、現場と人事部との間に認識の差があり、他部署との連携や適材適所の大切さを感じました。
人事職は未経験ですが、接客業で身につけたコミュニケーションスキルを活かし、部署の垣根を超えて協力しあえる体制を作っていきたいです。
開発職
開発職を志望する場合は、過去の研究内容や開発経験を交え、今後を見据えた内容にまとめてみましょう。
具体的な例文は以下のとおりです。
私が御社の開発職を希望したのは、過去の研究・開発経験を踏まえ、御社の製品開発に携わりたいと考えたからです。
私は、学生時代に無線の研究室に所属し、電波障害を可能な限り抑える無線機の開発を行いました。
さまざまな場所で精密機械が利用される現代社会では、わずかな電波障害が思わぬ影響を及ぼすケースも珍しくありません。
御社に入社後は、過去の研究内容とこれまでの経験を活かし、電波障害を抑える商品の開発に尽力したいです。
志望動機の構成に関する情報は、以下のページで詳しくご紹介しています。
こちらもぜひご参照ください。
企業に感じた魅力を志望動機としてうまく伝えよう
志望動機で「魅力を感じた」と伝える場合は、表現を工夫し「この企業だから応募した」と思ってもらえる伝え方をしましょう。
企業研究で業務内容や理念を理解し、ほかの表現に言い換えると、より熱意が伝わり、採用担当者の印象に残りやすくなります。
例文を参考にして、オリジナリティのある志望動機を作成しましょう。