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退職時の源泉徴収票はなぜ必要?いつ必要か、失くしたときの対応も

この記事の監修者
山本務
【資格】
特定社会保険労務士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者
やまもと社会保険労務士事務所 代表

【プロフィール】
企業の情報システム、ならびに人事部門で28年の実務経験あり。クラウドソフトなどを推進している「システムのわかる社会保険労務士」です。
労働相談、人事労務管理、就業規則作成、給与計算が得意です。労働相談は、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請対応ですので全国対応可能です。 また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

退職時に職場からもらう源泉徴収票ですが、何のための書類か知らない人も多いのではないでしょうか。
源泉徴収票は、転職後に転職先の職場から提出を求められるほか、さまざまなシーンで必要になる重要な書類です。
源泉徴収票が必要になる各種手続きを行わなかった場合、納税において損をするかもしれません。

本記事では、源泉徴収票が必要な理由とタイミングを解説しています。
退職時に源泉徴収票がもらえないとき、紛失したときの対処法もあわせて見ていきましょう。

なお、これから退職準備をする人は、こちらの記事も併せて参考にしてみてください。

退職した会社の源泉徴収票はいつ必要?

退職した会社の源泉徴収票はいつ必要?

源泉徴収票とは、主にボーナスを含む1年間の給与の額、課税所得の額、所得税額が記載された書類です。
源泉徴収票は、正規雇用、パート・アルバイトなどの雇用形態に関わらず発行されます。
退職した場合、源泉徴収票に記載される内容は、退職した年の1月1日から退職日までのものです。

源泉徴収票は、下記のタイミングで必要になります。

  • 転職先が決まっているとき
  • 確定申告をするとき
  • 所得を証明する必要があるとき

転職先が決まっているとき

退職後、同年内に次の勤務先が決まっている場合は、前職の源泉徴収票を転職した勤務先に提出しなければなりません。
雇用主となる職場は、納税の漏れがないよう社員に代わって所得税を納税しますが、1月から12月まで職場が給料から天引きした所得税は、その人が本来納税すべき所得税と同じではないため、12月に在籍している従業員の年末調整を行い、差額を清算します。
次の職場が決まっている場合、転職先の職場 が前職の源泉徴収票の内容を合算して年末調整をしてくれるため、前職を退職した日までの源泉徴収票が必要になります。

ただし、年末調整の対象は1月から12月です。
退職後に年をまたいで次の職場に入職する場合は、転職先で年末調整ができないため、確定申告をする必要があります。

確定申告をするとき

確定申告をする場合、確定申告する期間に労働者として給与所得がある人は、源泉徴収票が必要になります。
退職後に確定申告が必要になるのは、以下のような場合です。

  • 退職した同年内に再就職していない
  • 退職金を受け取ったが「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していない
  • 給与所得が2,000万円以上ある
  • 副業などの所得が20万円以上ある
  • 医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税など)、雑損控除を受ける
  • 住宅ローン控除を受ける初年度

退職後、同年内に再就職していない場合は年末調整が受けられないため、自分で確定申告をする必要があります。
また退職時に「退職所得の受給に関する申告書 」を提出せずに退職金を受け取った人は、退職金から税金が差し引かれていないため、確定申告が必要です。

なお税制改正により、2019年の確定申告から源泉徴収票の添付が不要 になりました。
ただし源泉徴収票に記載してある内容が確定申告の書類作成に必要 なため、どちらにせよ源泉徴収票は手元に持っておかなければいけません。

所得を証明する必要があるとき

所得を証明する必要があるときに、源泉徴収票の提出を求められるケースがあります。
所得証明が必要な場面は、住宅ローンを組む、扶養に入る、賃貸契約、保育園の申し込み、国民健康保険の切り替え時などです。

退職時にもらう源泉徴収票は2種類

退職時にもらう源泉徴収票は、「給与所得」と「退職所得」の2種類があります。
それぞれに記載されている内容は以下のとおりです。

給与所得の源泉徴収票

給与所得の源泉徴収票は、1月から12月までに支払われた給与や賞与(ボーナス)の収入総額、課税所得の額、所得税の金額が記載されています 。
勤務先で年末調整を行う前に退職した場合は、納めた所得税は年末調整前の概算の金額です 。

退職所得の源泉徴収票

退職所得の源泉徴収票は、退職金と所得税の金額が記載されます。
退職金が支給された場合に発行されるものです。
勤務先によっては、退職時に受け取る報酬が賃金に該当するという判断から、給与所得の源泉徴収票のみが発行され、退職所得の源泉徴収票は発行されないことがあります。

源泉徴収票は離職時にもらおう

源泉徴収票は離職時にもらおう

職場に在籍中は12月頃に源泉徴収票がもらえますが、退職した場合はその時点で給与や所得税が計算されるため、源泉徴収票がもらえるまで退職から1ヵ月程度かかる場合があります。

雇い主は所得税法第226条で、退職日から1ヵ月以内に源泉徴収票の交付が義務付けられているため 、1ヵ月以上たっても源泉徴収票をもらえない場合は、職場に問い合わせてみましょう。

職場によっては、離職票などと同封され郵送で送られてくることがあります。
退職時に、源泉徴収票などの必要書類がいつ頃、どのような方法で受け取れるか確認しておきましょう。

退職時に源泉徴収票がもらえないときの対処法

源泉徴収票は雇用主が発行するため、退職時に源泉徴収票がもらえない場合は、まず雇用主が誰なのかを確認しましょう。
派遣契約などは勤務先ではなく、派遣元の会社と契約しているので、派遣元が雇用主になります。
雇用主を確認したら、雇用主に源泉徴収票の発行依頼をします。
発行を依頼するときは、いつまでに発行してもらえるか確認しておくと良いでしょう。

依頼しても発行してもらえない場合は、自分の住民票がある地域を管轄している税務署に相談し「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。
これにより税務署より前の職場へ指導が入るため、源泉徴収票を発行してくれるでしょう。

源泉徴収票を失くしたときはどうする?

万が一、退職時に受け取った源泉徴収票を失くしてしまった場合は、発行元の前勤務先に再発行依頼をすることが可能です。
自分が源泉徴収票を紛失してしまった場合、再発行を依頼するのは気が引けるかもしれませんが、雇用主は源泉徴収票を発行する義務があるため 、基本的に回数の制限なく手数料無料で再発行しなければなりません。
ただし、書類の送料を請求される可能性があります。
何度も紛失し繰り返し再発行を依頼するようなことがないように、再発行してもらった源泉徴収票は大切に保管しましょう。

もし前の勤務先に再発行を拒否されるようなことがあれば、自分の住民票がある地域を管轄している税務署に相談 してください。

退職時には源泉徴収票をもらい保管しよう

源泉徴収票は、次の職場が決まっている、決まっていないに関わらず、必要になる書類です。
源泉徴収票が手元になく、年末調整や確定申告が受けられないと、源泉徴収時に払いすぎた所得税の還付が受けられない、または不足分の所得税を滞納してしまうなどの不都合が生じます。

退職時は忘れずに源泉徴収票を発行してもらい、紛失しないよう保管しておきましょう。

執筆者について

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