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退職時に有給消化はできる?注意すべきポイントについて解説

この記事の監修者
小島 章彦
小島 章彦
【資格】
・社会保険労務士
・行政書士

【プロフィール】
大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。現在は、某システム開発会社に勤務。会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを約5年行っている。
執筆実績: 「マネーの達人」というサイトで180以上の執筆を行っている。その他、社会保険労務士事務所、法律事務所のコラム等の執筆等多数。

退職を決めた際、有給消化を希望する人は多いことでしょう。
多くの人が、「残っている有給をすべて消化してから退職したい」と考えているはずです。

そこで今回は、退職時に有給を消化する方法、注意点、起こりやすいトラブルや対処法を解説します。
退職を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

退職時でも有給消化はできる

退職時でも有給消化はできる

結論から述べると、退職時でも有給消化は可能です。
有給休暇は労働基準法第39条で保証されており、労働者に平等に与えられる権利であるため、請求時期や利用目的に関する条件や制限はありません。

ただし、労働者が請求した年次有給休暇の時季が事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者はほかの時季に年次有給休暇を変更することができます。
また、年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定により計画的に与えることができると定められています。

つまり、退職時には業務の引き継ぎや職場の整理などが必要となることが多いため、希望するタイミングで有給消化がしたいのであれば、会社都合も考慮して計画的に進める必要があります。

退職時の有給消化方法

退職時の有給消化方法を、具体的に解説します。

有給の日数を計算する

まず、残っている有給の日数を計算しましょう。

有給休暇の付与日数は、勤続年数によって異なります。
入社後6ヵ月が経過し、全労働日のうち8割以上の出勤が認められた場合に、10日の有給休暇が付与されます。
それ以降は、勤続1年6ヵ月で11日、2年6ヵ月で12日、3年6ヵ月で14日というように、1年経過ごとに付与日数が増えていき、6年6ヵ月で上限の20日となり、それ以降は20日です。

自分に付与されている有給休暇日数と、退職時に残っている有給休暇日数を確認しておきましょう。

上司、人事部に退職までのスケジュールを確認する

続いて、上司や人事に退職までのスケジュールを確認します。
退職前に有給消化するパターンとして多く見られるのは、次の2つです。

  • 最終出社日のに有給消化し、最終出社日を退職日とする
  • 最終出社日のあとに有給消化し、有給消化期間の終了日を退職日とする

退職前の有給消化は労働者の権利であるものの、会社側にも事情があるため、自分勝手に話を進めてはなりません。
円満退社のためにも、上司や人事部としっかり話し合うようにしましょう。

退職時の有給休暇で注意すべきポイント

退職時の有給休暇で注意すべきポイント

退職時に有給を消化するためには、いくつか注意すべきポイントがあります。
順に解説します。

退職の意思は早めに伝える

退職の意思が固まったら、早めに職場に伝えるようにしましょう。
退職を希望する場合の手続きについては、各企業の就業規則に記載があるはずですが、一般的には退職希望日の1~2ヵ月前までには意思表示をすべきとされています。

退職時の有給消化においては、後任の選定や業務の引き継ぎなど、さまざまな事前準備が必要になりますので、時間に余裕を持つことが重要です。

有給休暇として残っている日数をすべて消化するためにも、退職の意思は早めに伝えましょう。

引き継ぎは確実に行う

職場に退職の意思を伝えたら、さっそく引き継ぎを進めましょう。

後任が決まっている場合は担当者に直接引き継ぎできますが、そうでない場合にはマニュアルの作成やタスクのリストアップ、業務整理など、できる準備をどんどん進めていきます。

引き継ぎがきちんとできていない場合、有給消化期間に入ったあとも後任者からの連絡を受けたり、最悪の場合出社したりしなければならなくなり、あとから大変な思いをするのは自分です。

繁忙期に注意する

退職時の有給消化においては、会社の業務進捗状況や繁忙期などに対する配慮を忘れてはなりません。

自分の希望を無理に押し付けるのではなく、会社や一緒に働いている人の状況を観察し、上司と相談しながら有給消化を進めていきましょう。

連休にこだわりすぎない

退職前の有給消化となると、できるだけ有給をつなげて連休にしたくなるものです。
しかし、会社の状況や引き継ぎの状況によっては、連休ではなく、細切れに消化することも考えなくてはなりません。

有給の具体的な消化方法も、上司や人事部とよく話し合ったうえで決定していきましょう。

退職前の有給消化期間の転職活動について

退職を決めた人のなかには、有給を消化しながら転職活動を進めたいと考える人もいることでしょう。
ここからは、退職前の有給消化期間における転職活動の注意点を解説します。

転職活動は有給消化期間を有効に使おう

有給消化期間中の転職活動は、まったくもって問題ありません。
有給消化期間前は、業務の引き継ぎなどで何かと忙しくなるため、有給消化期間を有効に使った転職活動をおすすめします。

有給消化中に転職先の企業で働きたい場合は就業規則を確認

有給消化期間に入った時点で次の転職先が決まっている場合、有給消化中に転職先での勤務をスタートさせたいと考える人もいるかもしれません。
その場合には、退職する会社と転職する会社の就業規則を必ず確認しましょう。

どちらかの会社が二重就業を禁止している場合、何らかのペナルティの対象となってしまう可能性もありますので、十分注意が必要です。

退職時の有給消化にまつわるトラブルと対処法

退職時の有給休暇はスムーズに消化し、円満に退職日を迎えたいものです。
しかし、退職時の有給消化にまつわるトラブルはよく発生しています。
ここからは、トラブルとその対処法を解説します。

有給消化を認めてもらえない場合

有給消化は労働者の権利、そして会社側の義務であるため、会社側は本来拒否できません。
しかし、状況によっては退職前の有給消化に良い返事がもらえないケースもあります。

交渉の余地もなく、やみくもに有給消化を拒否された場合には、人事や法律、労務に詳しい人に相談しましょう。
それでも解決しない場合には、労働基準監督署へ連絡するなど毅然とした態度を示すことが大切です。

退職前に有給消化が間に合わない場合

引き継ぎの状況などによっては、退職前に有給消化が間に合わないこともあるかもしれません。
有給休暇の買い取りは本来認められていませんが、退職時に有給休暇が余った場合は例外的に買い取りが容認されています。
会社によっては有給休暇の買い取りをしてくれることがあるので、上司あるいは人事部に相談してみましょう。

後任が見つからず有給消化ができない場合

後任が見つからず有給消化ができない場合は、引き継ぎのための資料などを作成し、あとから後任が決まった際に迷惑をかけない状態にしておいてから、有給消化に入ることができないかを上司に相談しましょう。

もしくは、信頼できる同僚や上司に引き継ぎ内容を説明し、その人を介して後任者に引き継ぎを行ってもらう方法もあります。

円満退社にむけて、退職時の有給消化は計画的に進めよう

今回は、退職時の有給消化について、取得方法や注意すべきポイント、よくあるトラブルと対処法を解説しました。

退職時の有給消化は労働者の権利であり、会社側の義務でもあります。
しかし、権利であるからといって自分勝手に進めることはできません。

退職の意思が固まったら、なるべく早く上司に伝えたうえで、自分も会社側も困ることなく有給を消化し、円満に退職できるように手順を進めましょう。

執筆者について

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