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退職後は扶養に入るべき?メリット・デメリットや手続き方法を解説

退職後に家族の扶養に入ると、経済的な負担を減らすことができますが、扶養に入るにはいくつかの条件を満たしていなければなりません。

また、扶養に入った状態では働き方などに制限が出るため、扶養に入るかどうかは、退職後に希望する生活スタイルと照らし合わせながら判断しましょう。

本記事では、退職後に扶養に入ろうか迷っている方に向けて、扶養に入るメリットとデメリットを解説します。

退職後に扶養に入るメリット

退職後、扶養に入るメリットには以下の2つがあります。

  • 社会保険料の自己負担額がない
  • 扶養者が配偶者控除を受けられる

それぞれ見ていきましょう。

社会保険料の自己負担額がない

退職後に扶養に入ると、医療保険、介護保険、国民年金といった、社会保険料の自己負担がなくなります。

扶養に入ると、配偶者が加入している健康保険や介護保険に加入することが可能です。
このとき、追加の保険料がかかることはありません。

また、第2号被保険者(会社員や公務員など、厚生年金に加入している人)の扶養に入った人は第3号被保険者となり、国民年金の負担がなくなります。
ただし、第1号被保険者(自営業者、農業者、学生、無職の人)の扶養に入った人は、同じく第1号被保険者にあたるため、国民年金の支払いが必要です。

扶養者が配偶者控除を受けられる

配偶者の扶養に入ると、扶養する配偶者は、所得税を納める際に配偶者控除を受けることができます。
ただし、配偶者控除を受けるためには、扶養される人のその年の給与収入が103万円以下かつ、配偶者と同一生計であることなどの条件を満たさなければなりません。

また、配偶者控除の控除額は、所得税を納める本人の所得に応じて以下のように変動します。

納税者本人の年収 控除額(一般) 控除額(配偶者が70歳以上)
900万円以下 38万円 48万円
900万円以上950万円以下 26万円 32万円
950万円以上1,000万円以下 13万円 16万円
1,000万円以上 なし なし

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

退職後に扶養に入るデメリット

退職後に扶養に入る際のデメリットは、以下の2つです。

  • 収入制限がある
  • 年金の受給額が減る

退職後の生活スタイルと照らし合わせながら、扶養に入るかどうかを判断しましょう。
特に、退職後もパート・アルバイトなどで収入を得たいと考えている場合は、慎重な検討が必要です。

収入制限がある

扶養に入る際の代表的なデメリットは、収入に制限が課せられることです。
扶養には「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の2種類があります。
被扶養者の年収が一定額を超えてしまうと、扶養に入ることができません。

社会保険料については、その年の年収が130万円を超えてしまうと扶養から外れ、自己負担が必要となります。
一般的に「130万円の壁」と呼ばれる現象です。
平均月収に換算すると、10万8千円程度が、年収が130万円を超えない目安となります。
また、年収が130万円に達しない場合でも、扶養する人の年収の半額を上回っている場合は扶養に入れません。

所得税の配偶者控除については、その年の給与収入の合計が103万円を超えると扶養から外れ、控除の対象外となります。
こちらは「103万円の壁」として知られる現象です。
年収が103万円を超えない目安は、平均月収に換算すると8万5千円程度です。

年金の受給額が減る

扶養に入った場合、将来の年金の受給額が減ることもデメリットの一つです。

扶養に入らず、会社員・パート・アルバイトなどで働き、社会保険料を支払う場合は、厚生年金を納めなければいけませんが、将来的に国民年金(基礎年金)に加えて、厚生年金を受け取ることができます。
厚生年金は、給料の金額に応じて支払額が決まるため、国民年金よりも負担額は大きいですが、受け取れる年金も高額です。

扶養に入った場合は、国民年金の保険料を支払う必要がありませんが、厚生年金にも加入しないため、将来的に基礎年金である国民年金しか受け取ることができません。

退職後の扶養と失業手当の関係

雇用保険の基本手当(失業手当)とは、失業した場合に受け取ることができる給付金です。
退職後、失業手当を受給しながら、扶養に入ろうと考えている場合は、以下の事柄に注意する必要があります。

失業手当を受給すると扶養に入れない

失業手当を受給することで扶養に入れなくなることがあります。

社会保険上の扶養に入るためには、年収が130万円を超えないことが条件です。
ここでいう年収には、失業手当の受給額も含みます。
失業手当を受給したことで年収が130万円を超える場合は、自分で社会保険料を納めなければなりません。

一方、配偶者控除の場合はルールが異なります。
配偶者控除は、扶養される人の、その年の給与収入の合計が103万円以下であることが条件ですが、その給与収入に失業手当の受給額は含まれません。

失業手当と扶養に入るタイミング

失業手当を受け取ることで扶養に入れなくなるケースでも、失業手当を申請してから給付される前の給付制限期間中であれば、扶養に入ることができます。

給付制限期間は、退職理由が自己都合か会社都合かによって異なりますが、1ヵ月〜3ヵ月設けられます。
また、失業手当の受給が満期を過ぎてから、扶養に入ることも可能です。

退職後に扶養に入る手続き方法

退職後に扶養に入る場合は、退職手続きを行ったあと、退職扶養手続きをしなければなりません。
扶養手続きに必要な書類や申請方法を解説します。

退職扶養手続きに必要な書類や申請方法

配偶者の勤務先に以下の書類を提出し、会社を通して手続きをします。
配偶者の加入している組合が「協会けんぽ」の場合は、扶養の事実が発生してから、5日以内に書類の提出をしてください。
手続きに必要な書類は以下のとおりです。

  1. 健康保険被扶養者(異動)届
  2. 国民年金第3号被保険者関係届

加えて、いくつかの証明書類の提出が必要です。

  1. 続柄を証明する書類(戸籍謄本・戸籍抄本、または全世帯が記載されている住民票の写しなど)
  2. 収入を証明する書類(退職証明書、課税・非課税証明書、離職票のコピー、直近の確定申告書のコピーなど)
  3. 扶養者と同居していることを証明する書類(世帯全員が記載されている住民票の写しなど)

また、扶養者と別居している場合や非課税収入がある場合は、別途、受け取りの事実がわかる書類や、仕送りの事実確認できる証明書(預金通帳のコピー、現金書留控えのコピーなど)の提出が必要です。

保険証はいつ届く?

扶養に入った場合の保険証は、会社が「被扶養者(異動)届」を保険事務所に提出してから、10日〜2週間ほどで届きます。
4月などは繁忙期となるため、保険証が手元に届くのに1ヵ月程度かかる場合もあります。

保険証が届くまでの期間に病院を受診する際には、いったん医療費を全額支払う必要がありますが、あとで払い戻しが可能です。
払い戻しの手続きをする際には、保険証が届いてから、「健康保険療養費支給申請書」を提出してください。

また、緊急で医療機関の受診が必要な場合は、「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらえば、保険証を提示したときと同じ保険料の負担額で医療機関の受診が可能です。
「健康保険被保険者資格証明書」は、交付申請書を管轄の年金事務所に提出して手続きを行えば、申請日当日に交付されます。

退職後に扶養に入る場合の生活スタイルをイメージしよう

退職後に扶養に入ることで、社会保険料の自己負担がなくなる、配偶者控除を受けられる
などのメリットがある一方で、収入の制限や、将来的に年金の受給額が減るといったデメリットもあります。

扶養に入るべきかどうかは、メリット・デメリットを踏まえたうえで、退職後の自身の生活スタイルや、再就職した際の働き方も考慮して検討するのが良いでしょう。

執筆者について

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