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退職の手紙におけるマナー|カジュアルな内容の例文も紹介

退職するとき、勤め先の上司や先輩・同僚・仕事でおつきあいがあった人たちへ、手紙やメールで個人的なメッセージを送ると、素直な感謝の気持ちを伝えられます。

しかし、いざ退職のメッセージを送ろうと思うと、「メールよりも手紙のほうが良いのではないか」「正式なマナーがあるのではないか」など気になる点があり、なかなか書けないケースも珍しくありません。

そこで今回は、退職する人へ送る手紙のマナーについて、例文を交えて詳しく解説します。

退職は手紙とメールのどちらで挨拶するべきか

退職は手紙とメールのどちらで挨拶するべきか

退職のメッセージを伝えるとき、手紙とメールのどちらで伝えるべきか悩むケースはよく見られます。
結論からいうと、どちらの方法でメッセージを伝えても失礼にはなりません。

ただし、直筆のメッセージをみたとき、書いた人の人となりや気持ち・温かさを感じる人もいるため、時間をかけて手紙を書いたほうが特別感を演出できるでしょう
退職のメッセージに決まった形式はありませんが、送る相手との関係性や立場を考慮したマナーは忘れないようにしてください。

退職時の挨拶に関する情報は、下記のページで詳しくご紹介していますので、こちらを参考にしてみましょう。

退職の手紙におけるマナー

退職の手紙におけるマナー

退職するにあたり、お世話になった上司や先輩・同僚などへ送る手紙を用意するときは、使用する便箋や封筒、手紙の構成・文章量・書く方法への配慮が大切です。
退職の挨拶を手紙で伝えるときのマナーを、以下で詳しく解説します。

便箋・封筒

退職の手紙を書くときの便箋と封筒は、白い無地のものを使用します。
たとえ無地であっても、ビジネスシーンでもよく目にする茶色い封筒は、事務的な雰囲気を出してしまうので避けてください。

また、一重の封筒は弔事で使われるケースがほとんどなので、退職の挨拶の手紙にはふさわしくありません。
白無地で二重の封筒を用意し、受け取る人に失礼がないようにしましょう

便箋は、白色の無地か縦書きの罫線が入ったものを使用します。
文章も縦書きが基本です。
社内でも親しい同僚へ宛てた手紙なら横書きでも良いですが、基本は縦書きで書くと覚えておきましょう

構成

退職の挨拶の手紙は、次の順に構成し書き進めます。

  • 前文
  • 主文
  • 末文
  • 後付け

前文で書くのは、頭語と時候の挨拶です
頭語は「拝啓」「謹啓」のどちらかを選び、続けて時候の挨拶を書きましょう。
例えば、3月下旬に退職する場合の具体的な例文は、以下のとおりです。

拝啓 春めいた日ざしを感じ、桜のつぼみもふくらむ季節となりました。

主文で書くのは、退職のお知らせとお世話になったことへの感謝の気持ちです
最初に時候の挨拶を書いているので、「この度は」「突然ではございますが」など、文章を切り替える言葉を綴ってから主文へつなげます。
例文は以下のとおりです。

突然ではございますが、一身上の都合により〇月〇日を持って退職することとなりました。
在職中は、数々のご指導や手助けをいただき、誠にありがとうございました。

末文は、締めの挨拶を書いたあと、頭語とセットになっている結語で文章を終わらせます。
頭語を拝啓にした場合は結語を「敬具」に、謹啓にした場合は「謹言」にしましょう。
具体的な例文は以下のとおりです。

最後になりましたが、〇〇様の今後ますますのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

敬具

最後に書くのは、後付けと呼ばれる部分です。
日付と自分の氏名、相手の名前を書きますが、自分の氏名より相手の名前を少し大きめに書きましょう。
例文は以下のとおりです。

令和〇〇年〇月〇日

△△△△(自分の氏名)

〇〇〇〇様(相手の名前)

文章量

退職の挨拶の手紙には、文章量の決まりはありません。
しかし、受け取る相手が、手紙に対して冷たさや苦痛を感じない程度の文章量を意識することが大切です。

短い手紙は読みやすいですが、儀礼的で冷たい印象をもたれる可能性がありますし、長すぎる手紙は読みにくく、受け取る側が苦痛を感じてしまうでしょう。

全体的には便箋1枚半におさめると、受け取る側も読みやすくなります
親しい人に向けた手紙ほど長くなりがちですが、退職の手紙は適度な長さに納めましょう。

手書き

退職の手紙は気持ちを伝える良い機会なので、できれば手書きで感謝の気持ちを綴りたいものです。
仕事でメールのやりとりが頻繁だった人ほど、ほとんど目にすることがない手書きの文字を見て、あなたの感謝の気持ちを感じ取ってくれるでしょう

メールが悪いわけではありませんが、特に立場が上の人や年配の人は手紙を手書きした姿勢に好意を向けることがあるので、できるだけ手書きで最後のご挨拶をすることをおすすめします。

【例文】退職の手紙の書き方

退職の手紙は、送る相手との関係性で内容を変えることが大切です。
例えば、上司へ送る手紙では過去のエピソードを交える、取引先へ送る手紙には後任を紹介するなど、ポイントを押さえた文章が求められます。
退職の手紙の書き方を、送る先別に例文を交えてご紹介します。

社内宛(上司・役職者)

社内でお世話になった直接的な上司や、社長や専務といった役職者へ向けた手紙では、思い出に残るエピソードを交えた内容を書くと良いでしょう
社長・専務・部長などの役職名は、それだけで敬称にあたるので「様」はつけません。
具体的な例文は以下のとおりです。

拝啓
桜の蕾がふくらみ、暖かさを感じるような季節となりました。
突然ではございますが、この度一身上の都合により、3月31日をもちまして退職いたします。

数年前、今の同じような季節に入社して以来、〇〇部長には社会人として厳しくも温かさを感じるご指導を賜りました。
初めて取引先の担当に抜擢されたとき、プレゼンテーション用の資料作成で徹夜作業をする私に付き合ってくれたり、差し入れを持ってねぎらってくださったりと、陰に日向に見守ってくださった思い出を、昨日のことのように感じます。
本当にお世話になりました。

〇〇部長をはじめ、皆様にお教えいただいたことを忘れず、新天地でも頑張りたいと思います。
最後になりましたが、〇〇部長の今後ますますのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

敬具

令和〇〇年〇月〇日

△△△△(自分の名前)

〇〇〇〇部長(相手の名前)

社外宛(取引先)

取引先などの社外に宛てた手紙では、次の担当者の情報も文中に記載しましょう
具体的な例文は以下のとおりです。

拝啓
桜の蕾がふくらみ、暖かさを感じるような季節となりました。
突然ではございますが、この度一身上の都合により、3月31日をもちまして株式会社〇〇を退職いたします。

在職中は、〇〇様(相手の名前)をはじめ貴社の皆様にご厚情を賜り、大変感謝しております。
4月1日以降の業務は、同部署の〇〇(次の担当者の名前)が担当することとなりました。
今後とも良いお取引ができますよう、何卒よろしくお願いいたします。

本来ならば直接お伺いすべきなのですが、書面でのご挨拶となってしまい申し訳ございません。
最後になりましたが、貴社のご発展と〇〇様のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

敬具

令和〇〇年〇月〇日

△△△△(自分の名前)

〇〇株式会社 〇〇部
〇〇〇〇様(相手の会社名・所属部署・名前)

カジュアルな関係の相手宛(親しい同僚)

社内でも親しい同僚や後輩に向けて手紙を書く場合は、上司・役職者や社外宛てよりもやわらかい文章でかまいません
普段言い出しにくいような感謝の気持ちを、素直に文章にしてみましょう。
具体的な例文は以下のとおりです。

〇〇さんへ
同期で入社して以来、ずっと仲良くしてくれてありがとうございました。

私が仕事でミスして落ち込んだとき、最後まであきらめずに頑張れたのは、励ましフォローしてくれた〇〇さんのおかげです。
常に周囲に目を向けて、さりげない手助けができる〇〇さんは、私の憧れでした。

新しい職場でも、〇〇さんから教わったり学んだりしたことを忘れず、心機一転頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。

退職の手紙で意識したいポイント

退職の手紙で意識したいポイント

退職の手紙は、書くべき内容から渡すタイミングまで、意識して欲しいポイントがあります。
以下で詳しく解説するので、実際に書くときの参考にしてみましょう。

手紙を送るタイミング

退職の手紙は、相手に合わせて送るタイミングを考えましょう。
例えば、社内の上司や同僚なら、最終出勤日や送別会などのときにも渡すタイミングがありますが、社外宛ての手紙は退職日までに届けなければなりません。

社外宛ての手紙は、遅くても最後の出勤日より3週間ほど早く届くタイミングで送りましょう
早めにお知らせすると、業務の引き継ぎに関する話し合いもできますので、手紙を送るタイミングを間違えないようにしてください。

ネガティブな内容はNG

退職の手紙では、ネガティブな内容を書くのはNGです
例えば、退社する職場への不満や愚痴・批判的な内容を書いてしまうと、辞める会社に揉め事の種をまく形になるため、良好な関係での退職ができなくなる可能性があります。

さらに、同業他社へ転職する場合、企業間の横つながりでネガティブな手紙の内容が広がり、書いた本人にマイナスイメージがつくケースも考えられます。
退職の手紙には、あくまで感謝の言葉のみを綴るようにしましょう。

退職理由・転職先は不要

退職の手紙では、無理に退職理由や転職先を記載する必要はありません。
もし転職先が同業他社だったとしたら、前職の上司や同僚があなたに悪いイメージを持つ可能性があります。

退職理由も同様で、ネガティブな理由や攻撃的な表現は、トラブルにもなりかねません。
退職理由は「一身上の都合」とし、転職先も「生活が落ち着いたらあらためてお知らせします」程度にとどめましょう

感謝の言葉を中心に

退職の手紙は、書く人の「お礼を伝えたい」という誠意を形にしたものです。
「部長のこういう対応がうれしかった」「先輩と一緒に仕事をするのが楽しかった」など、温かな思い出が感謝の言葉になります。

逆にいうと、特に感謝している人がいないのなら、無理に退職の手紙を書かなくても問題ありません。
心からありがとうと思える人に対し、退職の手紙で感謝の言葉を伝えてください

退職時は手紙で感謝の気持ちを伝えよう

退職するときに、上司や先輩・同僚へ宛てて書く手紙では、感謝の気持ちを示した温かみのある文章を綴りましょう。

上司や役職者・社外宛ての手紙は、使用する便箋・封筒の色や種類、書き方などのマナーがありますが、仲の良い同僚や後輩に対しては、カジュアルな便箋や封筒、言葉遣いにしても問題ありません。

また、手紙を渡すタイミングも考慮すると、取引先との連携や引き継ぎもスムーズになり、あなたに対する評価も高まるでしょう。
感謝の気持ちと気遣いを忘れず、マナーを守った退職の手紙を書いてみてください。

執筆者について

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