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退職金制度の種類や特徴は?条件や金額についても解説

この記事の監修者
山本 務
【資格】
特定社会保険労務士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者
やまもと社会保険労務士事務所 代表

【プロフィール】
企業の情報システム、ならびに人事部門で28年の実務経験あり。クラウドソフトなどを推進している「システムのわかる社会保険労務士」です。
労働相談、人事労務管理、就業規則作成、給与計算が得意です。労働相談は、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請対応ですので全国対応可能です。 また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

退職金制度にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や支給の条件、もらえる金額が異なります。
転職先にそもそも退職金制度があるのか、そして退職金制度が導入されている場合にはどのような内容なのかを事前に知っておくことが大切です。

本記事では、代表的な4つの退職金制度について詳しく紹介しています。
条件や金額の違いもわかりやすく解説しているため、退職金制度とはどのようなものなのか理解を深めましょう。

退職金制度の種類と特徴

退職金制度の種類と特徴

退職金制度は大きく4種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。

  • 退職一時金制度
  • 中小企業退職金共済制度
  • 確定給付企業年金制度
  • 企業型確定拠出年金制度

違いを詳しく解説します。

退職一時金制度

退職一時金制度は、従業員が退職するときに一括で退職金が支払われる制度です。
一般的に退職金としてイメージされるのは、この制度でしょう。

退職一時金制度は支給額の設定にルールがなく、勤続年数や役職、退職理由などによって企業が自由に設定できます。
このため、転職先がどのような規定を定めているのか、事前に確認しておくと安心です。

なお退職金に必要な資金は、会社が内部留保で貯めておく必要があります。
現金での積み立てになるため、積立金に課税される点は企業側のデメリットといえるかもしれません。

業績が安定していない企業では導入されにくかったり、業績悪化により必要な資金が確保できず、退職金が支払われなかったりする場合もあります。

中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度(中退共制度)は、中小企業のための国の退職金制度です。
企業が中退共と退職金共済契約を結んで、毎月金融機関にかけ金を支払うことで退職金の積み立てを行います。
そして従業員の退職金は、直接その従業員に中退共から支払われるしくみです。

退職金の積立金には運用コストがなく、さらに税金が優遇されるため、退職一時金と比較すると企業側にメリットがあります。
業績の悪化や経営状況により退職金が支払われないというリスクがなくなり、従業員に一定の退職金を保証できる点もメリットでしょう。

転職前の企業で中退共に入っていた場合、転職先でも中退共制度を導入していれば、かけ金を通算できます。

確定給付企業年金制度

確定給付企業年金制度は、企業が金融機関などの運用機関に資金を積み立て、積み立てたかけ金により運用された資産を退職金として支払う制度です。

従業員には公的な年金と同様に、年金として一定期間にわたって退職金が支給されます。
また、一時金として全額一括で受け取ることも可能です。

積立金の運用実績による退職金の増減はなく、給付金額は会社により決められています。
積立金の運用は運用機関が行うため、企業や従業員に投資運用の負担はかかりません。

ただし、もし運用実績が悪く決められた支給金額に不足分が出た場合は、不足分を会社が負担します。

企業型確定拠出年金制度

企業型確定拠出年金制度は、企業が金融機関などに毎月積み立てたかけ金を従業員が管理・運用し、その結果によって退職金が決まる制度です。

かけ金は企業の負担ですが、運用成績が悪くなっても、企業は補填を行いません。
そのため、運用成績の良し悪しによって退職金が増減する点には注意が必要です。

企業側に運用の手間がなく、運用成績悪化による企業側の補填も必要がないため、企業にとっては導入しやすいでしょう。
また、従業員自身もかけ金を拠出して、より積極的な運用ができる「マッチング拠出」という制度を利用できる場合もあります。

退職金の支払われ方は、確定給付型企業年金制度と同様、年金として受け取ることができます。

退職金制度における条件や金額

退職金制度によって、退職金を受け取れる条件や給付金額が異なります。
いざというときに退職金が思ったような形で受け取れない事態にならないよう、内容をきちんと確認しておきましょう。

制度ごとの退職金をもらえる条件・金額を詳しく解説します。

退職金をもらえる条件

退職金を受け取るには、制度ごとの条件を満たす必要があります。
例えば、中退共は納付期間が11ヵ月以下の場合は支給されません。
また年金制度を利用する場合、支給の対象となるのは原則60歳以上です。

退職金をもらえる時期は、以下のように定められています。

退職金制度の種類 受け取り時期
退職一時金制度 一時金として退職時に一括で受け取り
中小企業退職金共済制度 一時金として退職時に一括で受け取り
(条件を満たせば分割での受け取り可能)
確定給付企業年金制度 原則60歳以上で年金として受け取り可能
(加入3年以上の条件を満たせば、一時金として受け取りも可能)
企業型確定拠出年金制度 原則60歳以上で年金として受け取り可能
(一括受け取りも選択可能)

退職時に一括で受け取れる場合もあれば、年金として分割して受け取れる場合もあります。
転職先が導入している制度と条件を確認しておきましょう。

退職金のもらえる金額

もらえる退職金の金額も、制度によってさまざまです。
退職一時金は企業が勤続年数や学歴、退職理由に応じた金額を自由に設定できます。
中退共はかけ金や納付月数に応じて金額が変化し、加入期間が長くなるほど退職金が多くなるのが特徴です。

年金制度を利用する場合、確定給付企業年金制度と企業型確定拠出年金制度では、以下のように金額に違いがあります。

年金制度の種類 金額の決定方法
確定給付企業年金制度 運用成績に問わず金額が確定
企業型確定拠出年金制度 運用成績によって金額が変動

企業型確定拠出年金制度は、上記でも触れたとおり従業員による運用が必要です。
運用成績次第では受け取れる金額が増える一方で、運用成績が悪化すると金額が減るリスクもあります。

退職金制度の有無は企業ごとに異なる

退職金を支払うかどうかは企業側が決められるため、転職先によっては退職金制度がない可能性もあります。
厚生労働省の平成30年就労条件総合調査によると、退職金のない企業は約20%でした。

退職金制度がない場合、受け取りは諦めるか、退職金がある企業に転職先を変更したり別の制度を利用したりして、老後の資金を確保する必要があります。
会社員の方の退職金制度を補う制度としては、保険会社の年金や個人型確定拠出年金が考えられるでしょう。

退職金制度は企業によって異なるので転職先の制度を調べてみよう

退職金制度は、企業によって導入の有無、導入している制度の種類が異なります。
導入している場合でも、制度によって退職金をもらえる条件や金額が違う点に注意が必要です。

退職金がどのタイミングで、どのくらいもらえるのかは、将来のライフプラン設計に関わる重要な情報になります。
このため転職先を検討する際は、どの制度が導入されているのか事前に調べておきましょう。

執筆者について

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