「扶養に入っている配偶者の住民税の支払いはどうなるの?」「納税者が受けられる住民税に対する控除はあるの?」と悩んでいませんか。
本記事では、夫の扶養内で妻が働く場合を例にして、妻の住民税の詳細や扶養控除の種類、扶養親族の控除額を解説します。
収入別の課税一覧表も紹介しているため、妻の住民税が課税されるかどうかと、夫の住民税への控除が適用されるかどうかの判断が可能です。
妻の収入がいくらになれば課税されるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
扶養内で働いている妻の住民税(都道府県民税・市区町村民税)について
まずは、扶養内で働いている妻の住民税は誰が支払うのか、住民税の非課税限度額はいくらであるのかを解説します。
妻の住民税は夫の給料からは天引きされない
扶養内であるからといって、妻の住民税は夫の給料から天引きされません。
住民税には所得税と同様に、所得控除があります。
合計所得が1,000万円以下である夫と生計を一にする配偶者であり、次の条件にあてはまれば、配偶者控除または配偶者特別控除が適用となり、夫が以下の控除を受けられます。
- 配偶者の前年の給与所得が48万円以下であれば配偶者控除の対象となる
- 配偶者の前年の給与所得が48万円超133万円以下であれば配偶者特別控除の対象となる
妻自身が収入に応じた住民税を支払う
居住する自治体により変動しますが、住民税の非課税限度額は約45万円です。
つまり、妻の収入が給与所得控除額55万円と非課税限度額(合計所得金額)45万円を合計した金額が100万円を超えると、住民税が課税されます。
住民税の支払い金額には、所得割と均等割があります。
- 所得割:前年の1月1日から12月31日までの所得の10%
- 均等割:5,000円(市町村民税3,500円+道府県民税1,500円)
非課税限度額を超えた場合は、妻自ら毎年3月15日までに管轄の市役所などで前年の所得を申告し、納税する必要があります。
扶養内外の収入と住民税の課税の有無について
妻の収入額により、妻と夫(扶養者)の課税の有無が変わってきます。
妻の収入が100万円以下、100万円超~103万円以下、103万円超の場合は、次のとおりです。
妻の収入 | 夫の配偶者控除・配偶者特別控除の有無 | 妻の課税の有無 |
100万円以下 | 配偶者控除は受けられる 配偶者特別控除は受けられない |
所得税・住民税ともに非課税 |
100万円超~103万円以下 | 配偶者控除は受けられる 配偶者特別控除は受けられない |
所得税は非課税 住民税は課税 |
103万円超 | 配偶者控除は受けられない 配偶者特別控除は受けられる |
所得税・住民税ともに課税 |
夫の年収が1,000万円超の場合は次のとおり、配偶者控除・特別配偶者控除は受けられません。
妻の収入 | 夫の配偶者控除・配偶者特別控除の有無 | 妻の課税の有無 |
100万円以下 | 配偶者控除・配偶者特別控除ともに受けられない | 所得税・住民税ともに非課税 |
100万円超~103万円以下 | 配偶者控除・配偶者特別控除ともに受けられない | 所得税は非課税 住民税は課税 |
103万円超 | 配偶者控除・配偶者特別控除ともに受けられない | 所得税・住民税ともに課税 |
住民税の扶養控除にはいくつかの種類があり、それぞれに適用条件があります。
ここからは、妻を除く扶養控除の種類と住民税の控除額を解説します。
扶養控除の種類
前述したとおり、妻は配偶者控除または配偶者特別控除が適用されます。
子どもや両親は扶養親族として扶養控除が適用されます。
扶養控除の種類と控除額は次のとおりです。
- 一般の扶養親族(16歳以上19歳未満):33万円
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):45万円
- 一般の扶養親族(23歳以上70歳未満):33万円
- 老人扶養親族(70歳以上):38万円
- 老人扶養親族のうち同居老親等(70歳以上):45万円
扶養親族の適用条件
扶養親族とは、その年の12月31日現在の状況で、次の4つの条件に当てはまる人をいいます。
- 配偶者以外の親族・都道府県知事から養育を委託された児童・市町村から養護を依頼された老人であること
- 納税する人の財布から生活費を捻出していること(生計を一にしている)
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者として一年にわたり一度も給与の支払いを受けていないこと・白色申告の事業専従者でないこと
所得税・住民税を抑えるなら、妻の収入は100万円以内
住民税は個人の所得に応じて課税されるため、扶養の範囲内であっても非課税限度額を超えると課税されます。
そして、住民税が課税された場合は、妻自ら前年度の収入を管轄の市役所などに申告して、自分で住民税を支払う必要があります。
妻を扶養内かつ住民税非課税、夫は配偶者控除を受けられる状態にするのであれば、妻の収入は100万円以内に納めましょう。
注意すべき点として住民税の非課税限度額は、地域によってわずかに変動する場合があります。
居住する自治体のホームページを参照しながら、正しい非課税限度額を確認しましょう。