転職するにあたって、ベストな退職時期はどのタイミングなのでしょうか?
退職時期によって税金やボーナスにも影響が出るため、できるだけ損をしないタイミングを狙いたいものです。
本記事では、損をしない退職時期と、その理由について解説したうえで、退職意思を会社に伝えるタイミングにも触れていきます。
転職を検討している方は参考にしてください。
目次
退職する時期としてベストなのはいつ?
退職する時期は、転職活動の状況やボーナスが支給されるタイミング、年末調整をはじめとする税金計算が必要な時期などを考慮すると、見通しが立てやすくなります。
おすすめの退職時期を、以下で詳しく解説します。
有効求人倍率とボーナスを考慮すると1~3月がおすすめ
転職先の見つけやすさと、ボーナスの支給額を考慮した場合、1~3月が最もお得に転職できる時期といえるでしょう。
有効求人倍率は7月以降上昇する傾向
転職活動は、有効求人倍率が高い時期に行うと有利に進めやすくなります。
転職先を決めてから退職したい場合、有効求人倍率が高い時期に転職活動を行えるよう、退職に向けたスケジュールを組むと良いでしょう。
厚生労働省の一般職業紹介状況 によると、有効求人倍率は、年度が変わって間もない4月に大きく下がり、5~6月は低いままで推移し、翌年3月にかけて高くなるというのが毎年の傾向です。
また、同じく厚生労働省の転職者実態調査の概況 によると、転職活動を始めてから離職までにかかる期間は、3ヵ月程度が最も多くなっています。
よって、有効求人倍率が高まる7~3月の期間に約3ヵ月かかる転職活動を終わらせる場合、退職予定日は10~3月のあいだに設定することになるでしょう。
退職相談はボーナスを受け取ったあとにするのが得
ボーナスを満額受け取りたい場合は、ボーナスの支給後に退職の意思を知らせると良いでしょう。
ボーナスを受け取る前に退職の意志表示をしてしまうと、ボーナスの支給額が下がるおそれがあります。
夏のボーナスは7月上旬、冬のボーナスは12月上旬に支給される会社が多いです。
また、退職の意思表示については、一般的に就業規則によって「1~3ヵ月前までに伝える」と定められています。
例えば12月に冬のボーナスを満額受け取ってから退職の意思表示をした場合、実際に退職するのは1月~3月になるでしょう。
保険料や税金も考慮して退職日を決める
退職する時期は、社会保険料や住民税にも影響があります。
ここでは、以下の2点を見ていきましょう。
- 退職日を月末にする場合とそうではない場合
- 1月~5月退職だと住民税の残りが一括で差し引かれる
退職日を月末にする場合とそうでない場合
退職日を月末にすると、社会保険料の支払総額がお得になります。
社会保険料は、被保険者資格を喪失した日の前の月まで発生します。
そして、被保険者資格が喪失するのは、退職した日の翌日です。
月末に退職した場合は翌月の1日に被保険者資格を喪失するため、退職した月の社会保険料を支払うことになります。
月末以外に退職した場合は、その月のうちに資格を喪失するため、その月の社会保険料を支払う必要はありません。
これは一見、月末以外に退職したほうが得なように思えますが、そうではない場合もあります。
月末以外に退職し、退職から再就職までの期間が1日でも発生する場合、その期間中は国民年金に加入する必要がある からです。
国民年金の保険料は、もらった給料次第では会社の社会保険料よりも高額になってしまう場合 があります。
よって、月末に退職し、その月の保険料を会社の社会保険で払ってしまったほうが、保険料の高い国民年金に加入するよりも安く済む場合があります。
ただし、退職の翌日から再就職する場合は国民年金に加入する必要がない ため、退職日が月末であっても、そうでなくても、支払う保険料の総額に変わりはありません。
1月~5月退職だと住民税の残りが一括で差し引かれる
住民税は、前年の所得によって決まった課税金額 を、翌年6月~翌々年の5月にかけて支払っていきます 。
例えば、令和4年の1月〜12月の収入に対し24,000円の住民税がかかった場合、令和5年の6月〜令和6年の5月にかけて、毎月2,000円が給与から徴収されるイメージ です。
退職時の住民税の支払い方法は、1~5月に退職する場合と、6~12月に退職する場合で、それぞれ異なります。
1月〜5月に退職する場合は退職月から5月までの住民税が、退職月の給与から一括で天引きされます。
6月〜12月に退職した場合は、次の3つから任意で納付方法を選択することが可能です。
- 退職時に最後の給与からまとめて天引きしてもらう
- 普通徴収へ切り替えて納税通知書で支払う
- 転職先の会社で支払いを引き継ぐ
いつ退職しても、最終的に支払う金額に違いはありません。
しかし、1~5月に退職する場合は一度に動く金額が大きいため、人によっては負担に感じるでしょう。
退職を決めたらどうやって切り出す?
会社に退職の意思を伝える際、どのタイミングで切り出せば良いか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、退職意思を伝える際のポイントを紹介していきます。
退職希望日のどのくらい前に退職を伝えるべき?
退職希望日は、現在抱えている業務の引き継ぎや後任の選定にかかる期間を考慮し、早めに伝えましょう。
法律的には、希望退職日の2週間以上前に退職意思を伝えれば良いとされています。
しかし会社の就業規則では、1~3ヵ月前までに伝えるよう規定されていることが一般的です。
円満に退職するためにも、原則として就業規則を優先するようにしましょう。
退職意思の伝え方についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参照してください。
退職を伝えるタイミングも重要
円満に退職するためには、退職意思を伝えるタイミングも重要です。
ここでは、退職意思を伝えるタイミングに関する重要なポイントを2点見ていきましょう。
退職の意志を伝えるタイミングは、以下の記事でも詳しくご紹介しているので、併せてご覧ください。
繁忙期は避ける
退職の意思はできるだけ繁忙期を避けて伝えましょう。
社員が退職の意思を示したとき、会社は引継ぎや後任の選定を行わなければなりません。
それらを繁忙期に行うとなると、会社にとって大きな負担になります。
また、退職の手続きが遅れ、転職先にも迷惑をかけてしまうおそれがあるでしょう。
自分のためにも、会社が対応しやすいよう早めに伝えるようにする
退職の意思はできるだけ早めに伝えましょう。
退職意思を伝えた日から実際の退職日までの期間が長いほど、会社は余裕を持って後任の選定を行うことができます。
適切な時期を見極めて円満な退職を
有効求人倍率とボーナスを考慮するのであれば、1~3月に退職することを見据えた転職活動がおすすめです。
有効求人倍率は7月~翌年3月までにかけて高水準となり、ボーナスを重視するのであれば支給されたあとに転職意思を伝えたほうがお得です。
退職意思を伝える際には、社内規定を優先しつつ、会社が余裕を持って後任の選定や引継ぎを行えるよう、できるだけ早い時期を選びましょう。