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試用期間に辞めることは可能?なんて言う?理由や注意点を紹介

この記事の監修者
岡崎 壮史
岡崎 壮史
【名前】
岡崎壮史

【プロフィール】
マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP
生命保険の営業として、生命保険や個人年金といった資産運用などに関する業務を担当。平成26年9月に1級FP技能士の資格を取得。平成27年11月にFPの国際ライセンスであるCFPを取得。資格取得後は、保険や個人年金以外の様々な金融資産の運用や活用についてのセミナーや金融関係のサイトへの執筆・記事監修などを行う。
平成29年9月にマネーライフワークスを設立。現在は、助成金を活用した企業の労務環境改善コンサルタントとして、労働者・事業主に対して職場環境の改善に向けた企業研修や助成金活用セミナーと保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

新しい職場で働き始めたものの、想像していた環境と違って戸惑っている方もいるのではないでしょうか。
試用期間中は、会社との相性を見極める期間でもあります。
しかし、「試用期間だからこそ辞めづらい」と悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では、試用期間中の退職について、法的な観点やマナー、伝え方のポイントなどを紹介します。
不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

試用期間でも会社を辞めることは可能?

試用期間でも会社を辞めることは可能?

試用期間中であっても、法律上は会社を辞めることが可能です。
民法627条では、無期雇用の場合、2週間前に告知すれば雇用契約を解約できると定められています。
ただし、これは正社員などの「無期雇用契約」の場合の規定となります。

契約社員や有期雇用契約の場合は、1年を超えるまでは契約期間が終了するまで退職できないのが原則です。
しかし、民法628条に基づいて、やむを得ない事情があり、会社側との合意が得られれば、契約期間中であっても退職することができます。

現状は、労働基準法による考え方である、30日前までに告知をすることで雇用契約の解除ができるという認識が主流となっています。

試用期間に会社を辞める際の流れ

退職を考えている方は、適切な手順を踏んで進めることが重要です。
突然の退職は会社側に迷惑をかける可能性があるため、以下の手順に従って丁寧に進めていきましょう。
特に引継ぎが必要な場合は、十分な時間的余裕を確保することが大切です。

上司に口頭で退職の意向を示す

まずは直属の上司に対して、退職の意向を口頭で伝えることから始めます。
この際、退職を「相談する」のではなく、「決意を伝える」というスタンスで臨むことが大切です。
相談するような態度では引き止められる可能性が高く、かえって退職までの時間がかかってしまう可能性があります。

退職理由や希望する退職時期を明確に伝え、自分の意思をはっきりと示すようにしましょう。

退職届を出す

口頭での報告が済んだら、次は正式な退職届を提出します。
試用期間中であっても、正式な労働契約を結んでいる以上、書面での手続きは必要不可欠です。

会社によっては独自の退職ルールを設けている場合もあるため、人事部に確認して適切な手順を踏むようにしましょう。

なお、一度提出した退職届は原則として撤回できないので、提出の際は慎重に判断することが大切です。

引継ぎがある場合は余裕を持って行う

引継ぎが必要な業務がある場合は、十分な時間的余裕を持って準備を始めましょう。
後任者や同僚が困らないよう、業務マニュアルや引継ぎ書を丁寧に作成することがビジネスパーソンとしてのマナーです。

退職日までにすべての引継ぎを完了させておくことで、会社に対する誠意を示すことができます。

試用期間中に会社を辞める理由の伝え方

退職理由の伝え方は、今後のキャリアにも影響する重要な要素です。
状況によって適切な説明方法を選び、円滑な退職につなげましょう。

以下では、代表的な退職理由とその効果的な伝え方についてご紹介します。

社風が合わない場合

「社風が合わない」を理由に退職を伝える場合は、具体的な理由を挙げながら建設的な表現を心がけましょう。

「私の価値観や働き方と、会社の方向性が異なると感じました」といったように、会社を否定せず、あくまで自分との相性の問題として伝えるのがポイントです。
具体例としては、「チャレンジを重視する私の考え方と、慎重な意思決定を重視する会社の風土との間にギャップを感じました」といった伝え方があります。

あくまでも客観的な立場で、双方にとってより良い選択として退職を選んだことを説明しましょう。

業務内容が合わない場合

業務内容の不一致は、試用期間中によく直面する課題です。

「想定していた業務と実際の内容に大きな違いがあり、私の経験やスキルを活かせる機会が限られていると感じました」といった具体的な理由を示しましょう。
また、「今の段階で判断することで、お互いにとって良い選択ができると考えました」といった前向きな姿勢も大切です。

慣れれば解決するような問題ではない理由も併せて説明すると、より説得力が増します。

体調不良の場合

体調不良による退職は、できるだけ早めに伝えることが重要です。

「持病の治療に専念する必要があり、現在の業務との両立が難しいと判断しました」といった明確な理由を示しましょう。
可能であれば医師の診断書を用意することで、より円滑な退職交渉が期待できます。

体調面の問題は誰にでも起こりうることなので、正直に状況を説明することが大切です。

家庭の事情の場合

家庭の事情による退職は、多くの場合理解を得やすい理由となります。

「家族の介護が必要になり、現在の勤務形態では両立が困難だと判断しました」といった具体的な説明が効果的です。

ただし、虚偽の理由を述べることは避けましょう。
発覚した場合、信用を大きく損なう可能性があります。

試用期間中に会社を辞めるメリット・デメリット

試用期間中に会社を辞めるメリット・デメリット

試用期間中の退職には、良い面と悪い面の両方があります。

慎重に検討するためにも、それぞれのポイントを確認しておきましょう。
そして、自分の状況に照らし合わせて判断することが大切です。

メリット1. 社会保険加入前なら職歴にならない

試用期間中で社会保険加入前の退職であれば、正式な職歴として残らないケースが多いです。
採用時の説明と実態が大きく異なるなど、早期の見切りが必要な場合はこのタイミングでの退職も選択肢となります。

中途半端な職歴は、次の転職時にマイナスとなる可能性もあるため、慎重に判断しましょう。

メリット2. ストレスなく次のステップに進める

環境が合わないと感じながら働き続けることは、想像以上に大きなストレスとなります。

試用期間中の退職を決断することで、心身の負担を最小限に抑えることができます。
前向きな気持ちで次の転職活動に臨めることも、大きなメリットといえるでしょう。

デメリット1. 転職の際にマイナスな印象を持たれる可能性がある

試用期間中の退職は早期退職としてとらえられ、次の転職時に不利になる可能性があります。

履歴書で試用期間中の退職歴を隠しても、社会保険の加入履歴があればすぐに判明してしまいます。

採用する側は長期的に戦力となる人材を求めているため、すぐに退職する可能性のある人材には警戒心を抱きがちです。
そのため、退職理由を明確に説明できるよう準備しておくことが重要です。

デメリット2. 辞め癖・逃げ癖がついてしまう

試用期間での退職を繰り返すと、困難に直面した際にすぐ辞めてしまう傾向が身についてしまう可能性があります。
これは長期的なキャリア形成の妨げとなるだけでなく、複数回の早期退職歴は採用時の大きなマイナス要因となります。

本当に退職すべき状況かどうか、慎重に見極めることが大切です。

デメリット3. 会社の良い面に気付けない

短期間での退職は、会社の良い面を見出す機会を逃してしまう可能性があります。
特に業務内容や社風への不安は、慣れていない時期特有の感覚である場合も少なくありません。

試用期間を経て環境に慣れることで、新たな発見や成長の機会が見えてくることもあります。
早急な判断は後悔につながる可能性もあるため、十分な検討が必要です。

試用期間中に会社を辞める際の注意点

試用期間中の退職を考える際は、タイミングが重要です。

後任の採用や引継ぎの調整が必要となるため、退職の意向はできるだけ早めに伝えることが望ましいでしょう。
会社によっては再度の採用活動が必要となる場合もあるため、十分な期間を確保することが大切です。

試用期間中に会社を辞めたケースにまつわる疑問

試用期間中の退職に関して、給与やペナルティについての不安を感じる方も多いでしょう。

ここでは、よくある疑問について法律面から解説していきます。
正しい知識を持って、適切な判断ができるようにしましょう。

試用期間中に会社を辞めても給与はもらえる?

試用期間中であっても、正式な雇用契約を結んでいる以上、働いた分の給与は確実に支払われます。
法律で定められた権利なので、安心して退職の手続きを進めることができます。

試用期間中に辞めたことでペナルティはある?

試用期間中の退職にペナルティはありません。
たとえ、研修費用などの返還を求める契約を結んでいたとしても、労働基準法第16条により、そうした違約金や損害賠償の請求は認められていません。

ただし、実際に発生した損害について、損害賠償を請求された場合は認められます。

試用期間中に辞めることは問題ないが慎重に判断を

試用期間中の退職は法律上問題ありませんが、キャリアへの影響を考慮する必要があります。
環境が合わないと感じた場合は、その原因が一時的なものか、本質的なものかを見極めることが重要です。

退職を決意した場合は、適切な手順とマナーを守り、次のステップに向けて前向きな姿勢で臨みましょう。
慎重な判断と丁寧な対応が、今後のキャリア形成においても重要な要素となります。

執筆者について

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