失業保険は、失業した人が次の仕事に就くまでのサポートとして、国から支給されるお金です。
しかし、失業保険をもらいながら、アルバイトをして少しでも稼ぎたいと思う人もいるかもしれません。
失業保険をもらいながら働くことは可能なのでしょうか?
この記事では、失業保険の不正受給に当たるケースと、不正受給した場合の処分について解説しています。
失業保険の不正受給にならないか心配な人は、ぜひ参考にしてください。
目次
失業保険の不正受給は詐欺罪になるケースもある
失業保険を不正受給してしまうと、詐欺罪になるケースがあります。
失業保険は、失業した人が1日でも早く再就職できるようにハローワークから支援されるものです。
申告漏れや嘘の申告で失業保険を受け取っている場合は、国からお金をだましとる行為とみなされて罪に問われる可能性があります。
知らずに不正受給していたなどということがないように、不正受給に該当する事例を確認しておきましょう。
失業保険の不正受給にあたる事例
悪意はなくても、知らない間に失業保険を不正受給してしまっているケースも考えられます。
4つの事例があるので、自分に当てはまらないか確認しておきましょう。
仕事としてお金を得ているのに申告していない
失業保険をもらいながらパート・アルバイトなどで働いている場合、申告をしなければ不正受給にあたります。
パート・アルバイトや派遣就業、日雇いに加え、試用期間や研修期間、自営業の準備期間でも申告が必要です。
失業保険認定申告書に間違いがないように、すべてを包み隠さず記載しましょう。
なお、収入がない場合でも、働いた内容はすべて申告しなければならないので注意が必要です。
就職ができない状態なのに失業保険を得ている
失業保険は、失業した人が次の就職に向けて準備するために支給されるものです。
病気や怪我が原因で就職できない場合は、基本手当を受け取ることができません。
ただし、体調が原因で30日以上働けない場合は、基本手当の受給期間を延長できる可能性があります。
また、15日以上働けない場合、他の傷病手当等を受けていなければ失業保険の傷病手当を受けられるので、ハローワークで申請しましょう。
(14日以内の病気や怪我は基本手当が受給できます。)
体調が原因で働けないのに、基本手当をもらうために嘘の申告をしてはいけません。
偽造書類や偽りの退職理由で失業保険を受給している
書類を偽造して失業保険を受給している場合も、不正受給です。
医師からの診断結果を偽造して提出したり、内定証明書の証明欄を改ざんして提出したりするケースが該当します。
書類の内容は偽造せずに、すべて本当のことを記載しましょう。
また、会社を自己都合で退職した場合には給付制限があります。
これを避けようと、自己都合で退職したのに会社都合で退職したと申告するのも、不正受給に当たるので注意しましょう。
重複して給付金を受け取っている
健康保険の傷病手当と失業保険の基本手当を、同時に受け取ることはできません。
傷病手当は、病気や怪我により仕事ができない状態にある人に支給される手当であるのに対し、失業保険は働ける状態ではあるものの仕事が見つからない人に対して給付される手当です。
つまり、重複して受給することはできません。
嘘をついて申告した場合は、不正受給にあたります。
失業保険の不正受給が発覚した場合のペナルティとは?
失業保険を不正受給していることが発覚した場合は、処罰を受けることになります。
不正受給が悪質であれば、その分重くなることも考えられるので注意しましょう。
支給停止処分
失業保険の不正受給が発覚した場合、不正行為があった日以降のすべての支給が停止されます。
将来的に給付がもらえないとなると、かなりの金額を損するかもしれません。
失業保険とは別に得た収入を申告しなければ、逆に損する可能性もあるのです。
返還命令処分
不正受給した金額は、ただちに全額返還しなければなりません。
受給期間が長くなればなるほど、返還する金額も増えてしまいます。
万が一不正受給したお金を使ってしまっていたら、財産を差し押さえられるかもしれません。
納付命令処分
失業保険を不正受給したことが発覚した場合は、不正行為で受け取った金額の最大2倍の額の納付が命じられます。
不正受給した金額の返還と合わせると、最大で3倍の金額を支払わなければなりません。
3倍にもなるとすぐに払えないほどの金額になる可能性もあり、取り返しがつかなくなるケースもあるでしょう。
財産差し押さえ処分
不正受給したお金を返還・納付しない場合は、財産の差し押さえといった強制処分もなされます。
そうなれば、自身が所有する車や不動産を、強制的に売却されてしまうかもしれません。
移動手段や住む家がなくなれば、さらにお金で困る可能性も考えられるでしょう。
失業保険不正受給のなかでも特に悪質であれば刑事告発
失業保険の不正受給の内容が特に悪質であれば、刑事事件として告発される可能性があります。
嘘をついてお金を騙しとる行為は詐欺罪に該当し、10年以下の懲役刑が科されます。
前科があると仕事や生活にも支障が出るため、不正受給を行うことは危険です。
失業保険の不正受給を自己申告したらどうなる?
失業保険を不正受給していて、自己申告しようか悩んでいる人もいるでしょう。
万が一不正受給してしまっている場合には、自己申告するのが良いといえます。
自己申告することで、刑事事件として告発されるリスクを減らせる可能性があるでしょう。
不正受給が悪質とみなされれば、ペナルティがかなり厳しくなります。
失業保険を不正受給している場合は、ハローワークに連絡して自己申告をしましょう。
失業保険の不正受給にならない働き方とは?
実は、失業保険を受給しながら働くことは可能です。
ただし、働ける期間や時間は定められています。
給付制限期間と受給期間はパート・アルバイト可能
給付制限期間と受給期間はパート・アルバイトをすることができます。
自己都合で退職した場合は2ヵ月間の給付制限があり、その間はパート・アルバイトで収入を得ることが可能です。
ただし、1週間に20時間以上働き、かつ31日以上の雇用見込みがある場合には雇用保険の加入条件を満たしてしまうため、就職とみなされ給付を受けられなくなります。
受給期間も上記に該当しない範囲であれば働くことはできますが、働いた日は失業保険の支給対象外であったり、収入額により受給金額が減ったりする可能性もあるので注意しましょう。
ハローワークへ申請する
失業保険の受給中でも働くことはできます。
ただし、働いた期間や収入により受け取れる支給額が異なるため、ハローワークへの申告が必要です。
失業保険認定申告書に、間違いがないように記載して申告しましょう。
申告すれば、失業保険を受給しながら働くことができますが、申告しなかった場合は不正受給に該当するため、注意が必要です。
失業保険不正受給のリスクを知って適切に受給しよう
失業保険は、もらうことで新しい仕事を探す期間のサポートになります。
しかし、それを悪用して失業保険を多く受け取って得しようなどと考えてはいけません。
失業保険の不正受給はペナルティが発生するため、最終的に自分が損をします。
失業保険を適切に受給して、次の仕事を見つけるために上手に活用しましょう。