転職理由は、転職活動において、志望動機と併せて聞かれることが多い質問です。
面接や履歴書ではポジティブな言い回しを用いるのが基本ですが、現職への不満など、ネガティブな理由で転職活動をしている人は、転職理由について聞かれたとき、返答に困ってしまいがちなのではないでしょうか。
今回の記事では、例文を交えながら、転職理由をポジティブに書くポイントを解説していきます。
転職理由がネガティブなものになりがちで困っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【ケース別】転職理由の書き方・例文
以下のケース別による転職理由の書き方と参考例文を、併せて紹介します。
- 給与面
- 人間関係
- スキルアップ
- ワークライフバランス
- 結婚
- 未経験業種への挑戦
給与面が転職理由の場合
給与面が転職理由の場合、そのまま伝えず、別の表現に置き換えて書きましょう。
給与への不満をそのまま伝えると、「転職後も、希望額に達していないとすぐに辞めてしまうのでは」と思われる可能性があるからです。
会社に求められている以上の成果を出してきましたが、会社の評価システムでは給与や賞与に反映されないため、ジレンマを感じていました。
私は成果によって報酬や評価を得られるほうが高いモチベーションで仕事に取り組めるため、貴社の業務内容と評価体制に興味を持ち、転職を決意しました。
上記の例文では、問題点を給与が低いことではなく、会社の評価システムにジレンマを感じていたことに置き換えた点がポイントです。
人間関係が転職理由の場合
人間関係が転職の理由の場合も、直接的な表現は避け、置き換えを行います。
人間関係が原因であることをそのまま書くと、「人間関係の悩みはどの職場でもあるもの。入社しても人間関係がうまくいかなければ、すぐに辞めるのではないか」と ネガティブな印象を与えがちなためです。
また年功序列であり、若手の意見は採用されず、上司の意見で物事が進んでいきました。
私は年功序列ではなく、年齢に関わらず新しいアイデアを議論し、実行するような組織で働きたく、転職を決意しました。
貴社は年齢に関係なく議論し、チャレンジする組織風土と聞いております。
ぜひ貴社に転職し、チャレンジ精神を活かして働きたいと思っております。
上記の例文では、人間関係を問題点とせずに、理想の組織風土の会社で働きたいことを主な転職理由に据えている点がポイントです。
スキルアップが転職理由の場合
スキルアップしたいことが転職理由の場合は、描いているキャリアプランや、現職での活躍を具体的に書きます。
現職の不満だけを伝えると、採用担当者に「そんな環境で働いていたのならば、本人のスキルも足りていないのではないか」「前向きではない」など、ネガティブな印象を与えてしまうでしょう。
転職を決意したのは、経理や財務などのファイナンスを専門領域として、自分が成長したいと考えたからです。
貴社は数多くのクライアントを抱え、知識や経験が豊富で優秀な人材を輩出しているため、私もさらなるスキルアップに努め、貴社で働きたいと思いました。
今の会社でファイナンス関連業務も経験し、簿記の資格も取得しており、貴社のコスト管理の面においても貢献する所存です。
上記の例文では、現職でさまざまな職種を経て、その経験を活かしつつ、専門領域に特化したキャリア形成を考えてスキルアップしたい意志を示していることがポイントです。
ワークライフバランスが転職理由の場合
ワークライフバランスが転職理由の場合は、理想とするワークライフバランスを現職では実現できないことを伝えます。
このとき、具体的な数字を交えると説得力が強くなるでしょう。
業務量と人員が合っていないため、増員やアウトソーシングの要望を経営陣に出していますが、「検討している」の一点張りで、まったく受け入れられませんでした。
今の業務内容が好きであるため、業務内容が似ており、かつ社員のワークライフバランスを大切にしている貴社に転職したいと思っています。
今後はスキルと経験を磨く時間も確保しつつ、効率的かつ着実に成果を出し、貴社に貢献していきたいと考えております。
上記の例文では、具体的な労働時間を示し、会社にも提案しているが改善の余地がないことを伝えている点がポイントです。
結婚が転職理由の場合
企業が最も案じるのは、採用してもすぐに辞められることです。
結婚が転職理由の場合は、時間あたりの労働生産性を高めつつ、長期的に働きたい意思を具体的な根拠とともに伝えましょう。
「残業をしたくない」などの表現は、自分本位だととらえられかねないため、避けたほうが無難です。
現職では残業や休日出勤は常態化しており、家庭の時間を確保しながらスキルアップやキャリアアップをめざすことは難しいと判断したからです。。
貴社では、結婚後も幅広い年齢層の女性が多く活躍していることを知り、魅力を感じました。
これまで培ってきた経験と専門スキルを活かし、私も貴社で長期的に貢献できる人材になるために尽力したいと考えております。
上記の例文のポイントは、出産や子育てなどのライフステージの変化も含め、長期的視点で将来を見据えた上でキャリアプランを考え、長く働き続ける意思を伝えている点です。
出産の予定をストレートに尋ねられることはないと思いますが、それとなく出産や子育てに関する話題が出た際は、 家庭と仕事を両立して働き続ける具体的な根拠も用意しておくと良いでしょう。
未経験業種への挑戦が転職理由の場合
転職を通して業種を変えたい場合は、経験した業界の愚痴ではなく、未経験業界への前向きな思いを書きましょう。
これからの高齢化社会では健康寿命が大切であり、健康寿命の延伸のためには、リハビリテーションが重要であることに気付いたからです。
理学療法士として患者さんに接することで、自らの力で医療貢献していることを実感できますが、医薬品営業では直接患者さんと接する機会が少なく、貢献を実感しにくいと感じていました。
患者さんが多い貴院の理学療法士として働き、患者さんと貴院に貢献したい所存です。
ポイントは、より医療貢献を実感したく、新たな職種に挑戦していることを伝えている点です。
転職理由の書き方【NG編紹介】
転職理由を書く際に、やってはいけない事柄を紹介します。
- うそをつく
- 感情的である
- 具体性に欠ける
- ネガティブである
- 望みが叶わなかったことを主張する
上記のような事柄を、転職理由として伝えることは避けましょう。
これらはいずれも、企業が採用したくない人物像にあたります。
転職理由を書く際のポイント
転職理由を書く際に押さえておくべきポイントがいくつかあります。
代表的なものは、以下のとおりです。
- 人間性や仕事に対する考え方
- 長期的に働く意思があるか
- 即戦力として活躍できるか
- 志望動機と一貫しているか
上記の4点は、いずれも企業が転職理由を聞く意図として、理解しておくことが重要です。
企業側の意図を理解することで、企業が求める人物像に近いことをアピールしやすくなります。
特に人間性や仕事に対する考え方は、企業にとって組織風土と合致する人材なのかを判断する貴重な情報です。
転職理由の書き方のポイントを押さえて前向きに
転職活動における履歴書や面接では、ネガティブな表現を避け、ポジティブな表現を用いることが基本です。
それは転職理由について聞かれた際も例外ではありません。
実際にはネガティブな思いから転職を決意したとしても、転職理由はポジティブな表現に置き換え、今後転職先で実現したいことや貢献できることを伝えられれば、転職を成功させやすくなるでしょう。
本記事で紹介した例文を参考にしながら、希望する企業の内定に近づく転職理由を作成してください。