就職や転職の面接では、長所と短所に関する質問をされることが想定されます。
そこで、答え方を知っておくと便利です。
面接官に自分自身をわかりやすく伝えることができ、ときには好印象を与えられるでしょう。
今回は就職や転職を希望する方のために、面接での長所や短所の適切な答え方を紹介します。
回答例を交えながら解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
面接で長所や短所を聞かれる理由
企業側が面接で長所や短所を問う理由は、以下の2つです。
- 自分のことをきちんと客観視できているか
- 自分たちの会社と合うかどうか
面接では、長所や短所を問う会社側の意図を知ることが重要です。
企業が長所や短所を問う具体的な理由を、以下にまとめました。
自分のことをきちんと客観視できているか確かめたい
面接時に企業が長所と短所を問うのは、応募者自身が自分を客観視できているかを確かめるためです。
応募者は、強みとしての自身の長所をわかっているだけでは不十分です。
面接では企業での長所の生かし方から、短所を改善する取り組みまで説明できることが求められます。
応募者が自分の長所をわかっていれば、企業は応募者に対して、「自分自身が活躍できる場を理解している人材」と判断するでしょう。
一方で短所の改善方法までを答えられれば、企業側は「自己分析ができている人とだ」評価する可能性が高まります。
だからこそ、長所と短所に関する質問どちらにも答えられることが重要です。
自分たちの会社と合うかどうかを確かめたい
企業は長所と短所への質問を通し、応募者が自社に合う人材かどうかを確かめます。
応募者の長所が自社に合う場合、企業からすると入社後の活躍をイメージしやすく、お互いのミスマッチ回避にもつながります。
そのためにも、応募者の回答内容が自社の仕事に対して適性を示せるかがカギです。
例えば、応募者の長所が、「考えを臆せず主張できること」だとします。
新しい提案を積極的に求める企業なら、人材としての可能性を見出すでしょう。
しかし、昔ながらの社風を守りたい、と考える企業ならいかがでしょうか。
このように応募者は、ただ長所を言えば良いのではなく、企業風土に合っているかも考えながら、自らの長所を伝えられるように準備をしておく必要があります。
長所や短所を答える際に好印象を与えるポイント
長所や短所を答えるときは、適切なポイントを押さえてください。
それぞれの要点を、以下に紹介します。
回答時のポイント | |
長所 | ・結論を伝えたあとに裏付けとなるエピソードを伝える ・回答は1つや2つに絞って答える |
短所 | ・強みに言い換えられるようなものを答える ・克服する意志を見せる |
長所を答える場合
長所の伝え方として最適なのは、結論を先に述べて、それを裏付けるエピソードを添えることです。
また、回答は1つか2つに絞り、簡潔に伝えるようにしましょう。
自身の強みを述べるときのポイントを以下で紹介します。
結論のあとに裏付けとなるエピソードを伝える
長所を答えるときは、先に結論を述べてから、裏付けとなるエピソードを伝える方法がおすすめです。
「あなたの長所は何ですか?」という問いに対する結論を伝え、次に根拠となる裏付けを話すことで、結論を補強します。
また、長所は一言で言い切るのではなく、それを裏付けるエピソードとすり合わせながら具体的に伝えることで、説得力を高めます。
結論のあとに裏付けを示す答え方は、他の質問に答えるときも役に立つので、ぜひ覚えてください。
回答は1つや2つに絞って答える
長所の数は1つか2つに絞りましょう。
要点を押さえた受け答えが、面接官に好印象を与えるからです。
1つの長所に対してエピソードを掘り下げて伝えることで、面接官にあなた自身の人柄をイメージしてもらいやすくなります。
自分をアピールするために、あれこれとたくさん答えてしまう方もいますが、最終的に何がいちばんの長所か面接官に伝わりにくく、推奨できません。
答えをいくつも示すことで、かえって自己分析ができていないと判断されるおそれもあります。
自分に複数の長所があっても、優先したい一つに絞り込み、面接で伝えましょう。
短所を答える場合
面接で答える短所は、強みに言い換えられるものを選ぶようにしましょう。
短所を述べることに気が引ける方もいるかもしれません。
しかし、実際の面接では短所を答えるだけでなく、同時に短所を克服するための取り組みまで伝えることが重要です。
短所を答えるときの要点を以下にまとめました。
強みに言い換えられるようなものを答える
短所を答えるときは、強みに言い換えられるものにしてください。
短所によっては、長所と表裏一体の場合があるからです。
例えばせっかちであることを短所だと述べると、「確認せずに行動する」「あわてんぼう」といったイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし裏を返せば、せっかちは「スピード感を持って行動できる」「物事への対応が素早い」という長所にもとらえられます。
素早く動ける方が、業務効率の良さにつながるからです。
本記事では、あとで短所の言い換え方を紹介するので、ぜひチェックしてください。
克服する意志を見せる
短所を述べたあとは、克服に向けた取り組みを語るようにしましょう。
ただ短所を伝えるだけでなく、克服に向けた対策や努力を示すことが大切です。
短所という自分の課題をしっかりと認識し、逃げずに向き合っている姿勢をアピールできるからです。
短所を簡潔に述べたあとは、以下のプロセスを踏まえましょう。
- 短所によって起きそうな課題
- 短所を補う、あるいは改善するための取り組み
- 長所として生かせる可能性があればなお良い
以上をすべて簡潔に伝えられれば、面接官への好印象につながります。
面接時で使える長所や短所の答え方
面接では、長所と短所それぞれの答え方が重要です。
まず長所では、結論から始め、次に裏付けとなるエピソードの順で答えることを大切にしてください。
短所は伝えるだけで終わらず、改善するための取り組みも述べましょう。
以下では長所と短所それぞれを答えるときのNGなやり方も添えているので、ぜひ参考にしてください。
長所の答え方
以下では長所の答え方を詳しく解説します。
結論から裏付けを述べる流れを守りながら、論理的に答えるようにしましょう。
NGの回答も述べるので、参考にしてください。
順番が大切
長所をわかりやすく伝えるには順番が大切です。
最初に結論を述べ、次に裏付けを添えましょう。
結論と裏付けとなるエピソードをはっきりと分けることで、必要な情報を面接官にしっかりと伝えられます。
エピソードを述べたあとは、仕事での長所の生かし方を述べてください。
これによって企業への貢献姿勢や仕事への意欲をアピールできます。
結論、裏付け、仕事でどのように長所を発揮するか、の順で回答を用意しておきましょう。
NGな答え方
長所を述べるときにやってはいけない回答方法は、以下のとおりです。
- 結論を最後に話す
- 長所でも成果につながるエピソードがない
- 自信がないように話す
結論を最後に話すと、要点が相手に伝わりづらくなります。
また、長所を話すだけで、成果につながるエピソードを示さないのも良くありません。
企業側に説得力を与えられないからです。
加えて、自信がないように話すのもNGになります。
強みに説得力を持たせられないだけでなく、社会人としての印象が良くないからです。
長所を語るときのNG行動をしないように、答え方を考えましょう。
短所の答え方
ここからは短所を答えるときのポイントを紹介します。
大事なのは、短所だけを伝えて終わらないようにすることです。
また「短所はない」と答えるほか、業務に影響を及ぼすような弱みを言うことも避けるようにしましょう。
正しい答え方を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
伝えるだけで終わらないことが大切
短所を伝えるだけで終わらせないようにしましょう。
続けて短所を克服する方法や、長所に変えられる可能性を示すことが大切です。
短所を改善する対策の場合は、最初に短所を述べたあと、それを克服する取り組みを伝えましょう。
自己分析のできる人物と印象づけることが可能です。
また短所を長所に切り替えるようなアピールも有効です。
例えば、優柔不断なら思慮深いと言い換えましょう。
前者は決断できないマイナスのイメージがありますが、後者は物事を深く考える、前向きな印象につながります。
そこで思慮深いと思われるエピソードを披露すれば、印象アップにつながるかもしれません。
以上のように自身の弱みをカバーする行動を述べることで、企業側を安心させられます。
以下に短所を長所に言い換えた事例を表にまとめましたので、参考にしてください。
短所 | 長所 |
我が強い | チームを引っ張る |
世話焼き | 周りをよく見ている |
流されやすい | 協調性がある |
優柔不断 | 柔軟に対応する/思慮深い |
仕切りたがり | 調整力がある |
計画性がない | まず行動する |
自己主張が強い | 率先して意見を言う |
独断的 | 主体性がある |
諦めが悪い | 粘り強い |
没頭しやすい | 集中力がある |
抱え込みやすい | 責任感が強い |
楽観的/のんき | ムードメーカー/前向き/穏やか |
心配性 | 計画性がある/準備を大切にする |
NGな答え方
短所に関するNGな答え方として、以下が挙げられます。
- 「短所はない」と答えること
- 業務に差し支えるような短所を述べること
「短所はない」と答えるのは、面接官に自己分析ができていない印象を与えます。
誰もが短所を抱えていると考えられているからです。
また時間を守れない、早起きができないなど、仕事に悪影響を及ぼすことは言わないようにしましょう。
「自信が持てない」といったネガティブな表現も、「自分をありのまま受け入れられていない」と思われるので、言い換えて伝えるように心がけてください。
就職活動時に使える!長所や短所の答え方を例文でご紹介
ここからは、就職や転職活動で使える長所や短所の答え方を示します。
わかりやすく伝えるための例文を挙げるので、実際の面接に役立ててください。
職種や業種別に分けているため、志望先に合わせて例文を参考にしましょう。
長所をわかりやすく伝える例文
まずは長所をわかりやすく伝える例文を紹介します。
事務職や営業職などケース別に挙げるので、ぜひ参考にしてください。
例文をベースにしながら、実際に希望する企業に合わせて自分が納得できる回答を作りましょう。
事務職の場合
前の職場では部署横断プロジェクトの調整役や、社内行事の幹事を務めてきました。
その経験から、メンバーのスケジュール調整だけでなく、意見が対立した場合には間に入ってすり合わせを行うようにしてきました。
これは組織の中でバランサーとして行動することを意識し、身についたスキルの一つです。
以上から大人数のなかで、一つの意見をまとめる調整力に自信があります。
調整力とは社内外のメンバーに意見をまとめるように働きかけ、合意形成につなげるスキルです。
業務内容によってはほかのメンバーをまとめる場面があるでしょう。
そのため調整力のようなコミュニケーションに関するスキルは、事務職でも重要視される可能性があります。
営業職の場合
前職のレストランではチーフを務めてきました。
そこで私は、スタッフが働きやすい状況づくりを念頭に置いていました。
具体的には様子の気になるスタッフの相談に乗ってきたのはもちろん、定期的な声がけなどを実践しています。
このようにスタッフを気遣う取り組みを続けたところ、従業員の定着率や、接客の質の向上につながりました。
以上から私は、スタッフ同士のコミュニケーションを適切に取ることで、御社の力になれると考えております。
コミュニケーション能力は、営業職でアピールできる要素です。
前職のエピソードを取り入れながら、チームを盛り立ててきた経験を述べれば印象アップにつながるでしょう。
販売職の場合
大学のゼミナールで資料整理に関するマニュアルを作成した経験があります。
それまでのゼミナールでは、研究発表時の資料やプロジェクターの準備に手間取っていました。
そこで自ら資料整理のマニュアルを発案し作成を手がけたことで、準備時間の短縮につなげられました。
資料が見やすくなるようにとテンプレートも私が設けた結果、ゼミナールの先生や学生が情報を理解しやすくなり、討論が活発になりました。
仕事でも気になった点はすぐ改善に努めるよう、行動を起こす所存です。
販売職の面接でアピールすると良いものの一つが、行動力です。
お客さまが理想の商品を見つけたり、スタッフ同士の意思疎通がスムーズに進んだりするように、店員の行動力が求められ ます。
製造業の場合
地道な作業でも最善の結果を得るため、最初から最後まで全力を尽くします。
私はアルバイトで販促用ポップの作成を担当しました。
最初はうまくいきませんでしたが、周囲の意見を参考にしながらお客さまの興味を引くような紹介文を考えました。
また活用イメージがわかりやすいイラストを使う工夫も凝らしています。
その成果として、ポップを作成した商品の売り上げアップに貢献しました。
このように最善の結果を得るための取り組みを、コツコツと真面目に進められるのが私の強みです。
製造業は商品を作るために、与えられた作業をやり抜く力が大切です。
その意味では、真面目にコツコツ取り組むことにつながる長所を述べれば、好印象を与えられるかもしれません。
短所をわかりやすく伝える例文
短所に関しても、わかりやすく伝えるための回答例を紹介します。
新卒や転職・中途採用のようなケース別に分けましたので、状況に応じて、短所やその対処法の伝え方を学びましょう。
新卒の就職活動時に覚えておきたい短所の伝え方例文
周囲の意見を大事に思いすぎるあまり、自分の考えがブレることがあるからです。
こうした弱点を改善しようと、大学の友人の協力のもと、自身の考えを聞いてもらいアドバイスをもらうようにしています。
自分自身の視野を広げ、意見をブラッシュアップするためです。
この経験から、自分の意見に自信を持つためには、とことん考え抜くことが大切だとわかりました。
職場でも自分の意見を通すために、一つの問題を考え抜くよう心がけます。
そこから最善の解決法を提案できるよう努める所存です。
上記の例文では相手の意見に流されやすいという弱点に対し、自信を持てる状況を作り改善を図った、とアピールしています。
短所を問われたときは、同時に弱点の解決策も求められていると考えてください。
転職や中途採用の就職活動時に覚えておきたい短所の伝え方例文
自分でもこうあるべきという考えに固執するくせがあると認識しています。
対策として、さまざまなポイントから物事を見るように心がけています。
前職では、同僚や先輩からの意見をもとに、仕事の優先基準を見極めるようにしていました。
日々の業務目標を達成するため、周りの客観的な意見を取り入れながら、最善の方法を考えるように気をつけてきました。
以上が、私が頑固すぎて失敗しないための対策です。次の職場でも、相手の意見を聞きながら、最善の方法を検討する習慣を心がけます。
自分の短所である頑固さに対し、相手の意見をしっかり聞くという対策方法を伝えています。
こちらも弱点への対策のアピールで、自己分析ができる人間像を示しています。
長所や短所をしっかりと答えて面接を成功させよう
面接では長所と短所を問われたときの受け答えが大切です。
ただ良いところや悪いところを述べるだけではいけません。
長所の場合は関連エピソードを挙げ、短所の場合は対策を示すことが大切です。
以上のやり方で、説得力のあるアピールをしていきましょう。