面接で自身の短所を聞かれたとき、心配性である点と答えるケースは少なくありません。
しかし、ただ心配性とだけ伝えると、具体的なイメージを描きにくく、採用担当者に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
採用担当者は、明確な意図を持って短所をたずねているため、心配性と答える場合はマイナスイメージで終わらないよう対策することが大切です。
今回は、面接で短所を心配性と答える場合に、気をつけるべきポイントや、対策・例文をご紹介します。
目次
面接で「短所は心配性」と伝えても良い
就職や転職の面接で自身の短所をたずねられたとき、心配性と答えても問題ありません。
過度な不安を抱えることは、仕事でも日常生活でも積極性を損なう可能性があり、伝えるべき短所ととらえても良いでしょう。
ただし、面接では短所だと伝えるだけではなく、第三者の視点で自身の心配性を分析し、冷静に向き合っている姿勢をアピールしてください。
面接で短所を聞く企業側の意図
企業側は、おもに以下の4点を確認するため、面接で短所をたずねます。
- 職種や職場へのマッチング度が高いか判断するため
- 短所とどう向き合っているか知りたいため
- どのような人間性か知りたいため
- 自己理解できているか知りたいため
それぞれの項目を、以下で詳しく解説します。
職種や職場へのマッチング度が高いか判断するため
企業側は、志望者の短所と採用予定の職種・職場の雰囲気を照らし合わせ、志望者と自社のマッチング度を確認します。
例えば、志望先が営業職で、顧客の新規開拓や新しいサービスの提供が主な仕事内容だとします。
もし、短所が心配性で新しいチャレンジに消極的だった場合、営業職の仕事ではネックになるため、マッチング度が低いと判断するかもしれません。
企業と応募者のミスマッチは、早期退職の可能性を高めるため、面接で短所をたずねてミスマッチを防ぎたいのです。
短所とどう向き合っているか知りたいため
企業側は、短所の有無だけではなく、応募者が短所とどのように向き合っているかも確認したいと思っています。
短所は、仕事に置き換えるならトラブルや改善すべき点です。
自分の短所と向き合い、改善しながら少しずつでも良い方向へ進む努力をしている人は、入社後に仕事で悩んだり落ち込んだりしても、前向きに取り組んでくれると判断してもらえるでしょう。
どのような人間性か知りたいため
短所とは、人間の性格・特徴の一つです。
企業側は、応募者の性格や特徴を把握したいと考えており、長所だけではなく短所の質問を投げかけて、人間性を確認します。
短所を含めた人間性を把握することは、適材適所の人材配置や社員が最大限活躍できる仕事の割り振りに役立ちます。
つまり、短所をたずねるのはネガティブポイントを探すためではなく、採用後の働き方を視野に入れた質問と考えたほうが良いでしょう。
自己理解できているか知りたいため
短所を率直に答えられるかどうかにより、自己理解の有無が明らかになります。
例えば、短所をたずねられて「特にありません」と答えてしまうと、自分の弱点や改善点と向き合えず嘘をつく、自己理解ができない人物と思われかねません。
短所を明確に答えられる人は、自身をごまかさず第三者の視点で理解を深めている人物、と判断できます。
企業側は面接の質問をとおし、冷静な目で自己分析できているかを確認している、と考えておきましょう。
心配性と伝えないほうが良い仕事はある?
基本的に、面接で心配性を短所として伝えても、問題はありません。
しかし、応募する職種・職場によっては、短所で心配性と伝えないほうが良いケースもあります。
例えば、仕事の流れがめまぐるしい職種・職場では、スピード感が重要視されるため、心配性と伝えると対応しきれないと思われるかもしれません。
新しい分野や新規の仕事など、チャレンジ精神が必要な職種・職場でも、「心配性=消極的」とネガティブにとらえられる可能性があります。
応募する企業の職種・職場をよく研究し、短所を心配性と伝えて良いかどうかを判断しましょう。
「短所は心配性」に面接官がもつイメージ
自身の短所を心配性だと伝えると、面接官はどのようなイメージを持つのでしょうか。
具体的な例を、プラスイメージ・マイナスイメージに分けてご紹介します。
心配性な人にいだくプラスのイメージ
心配性の人は、失敗しないよう何度も確認したり、慎重に物事を進めます。
また、先回りして不安を解消しようと動くため、事前準備に余念がありません。
このことから、面接官は心配性の人に、仕事で次のようなプラスイメージを持ちます。
- 仕事を任せても失敗が少ない
- スケジュール管理が上手
- 高いリスクマネジメント能力がある
心配性な人にいだくマイナスのイメージ
面接で自身の短所を心配性と伝えた場合、面接官は次のようなマイナスイメージを持つ可能性があります。
- 些細なことが気になりストレスを感じやすい
- 繊細で考え込みがち
- 失敗を恐れて新しいことにチャレンジできない
- 事前準備ができないので臨機応変な対応が難しい
もし、上記のようなマイナスイメージが企業側の懸念点と合致した場合、改善点や克服方法も説明しないと、ネガティブな印象の払拭は難しいでしょう。
面接で「短所は心配性」と伝える際の対策
面接で、自身の短所を心配性とだけ伝えても、面接官は具体的なイメージを持てません。
大切なのは、自身の心配性を深く掘り下げて理解し、プラスイメージを持ってもらえるよう話すことです。
短所を心配性と伝える場合の対策を詳しく解説します。
心配性の理由を自己分析する
一口に心配性といっても、その理由はさまざまです。
例えば、一度不安になったり気になったりしたことがあると、安心できるまで考え込んでしまう人もいるでしょう。
過去に大きな失敗をして怒られた経験がトラウマになり、失敗しないかどうかが心配でなかなか動けないケースもあります。
自分が短所だと思っている心配性は、具体的にどのような場面で出てしまうのか、自己分析して説明できるように準備しましょう。
心配性という短所の改善方法を考える
短所を心配性だと伝えるときは、同時に改善方法も考えて、面接官に説明しましょう。
自身の短所を理解していても、改善へ向けたアクションがなければ、面接官にプラスイメージを持ってもらえません。
例えば、遅刻に対する心配を軽減するために、こまめにアラームをかけて時間を意識したり、仕事で少しでも不安を感じたら一人で考え込まず、先輩や上司に確認を求めるなどの方法が考えられます。
心配性克服のための取り組みを伝えられれば、プラスイメージへ変えられるでしょう。
心配性改善のエピソードを伝える
心配性の改善方法を伝えたあと、実際に改善が成功したエピソードも添えると、信ぴょう性も高まりイメージがよくなります。
例えば、先ほど遅刻への心配性改善対策の一例で、「こまめにアラームをかけて時間を意識する」とご紹介しました。
上記の対策に、「こまめなアラームで時間が確認できるので、遅刻もなくなり不安感が減少した」と実際のエピソードをプラスすると、克服への前向きな姿勢が評価されるでしょう。
ただし、エピソードを複数伝えると印象が薄くなる可能性があります。
心配性改善のエピソードは、自分にとって印象深い話を掘り下げて伝えてください。
短所であっても長所につながるように伝える
心配性が短所であったとしても、長所へつながるような伝え方をすると、マイナスイメージが軽減されポジティブな印象を持ってもらえます。
ポジティブさをアピールするのは、前向きな姿勢を示すためです。
例えば、「失敗するのが怖くて何度も確認してしまう」とだけ伝えるより、「心配性でつい何度も確認してしまうが、そのおかげで失敗を防げるようになった」と伝えた方が受け手の印象が良くなります。
伝え方を変えるだけで、明るい印象を与えられるでしょう。
PREP法で伝える
PREP法は、的確でわかりやすく物事を伝える方法です。
Pは結論、Rは理由、Eは例・エピソードを示し、結論→理由→例(エピソード)→結論の順番で伝えます。
ただし、心配性をPREP法で伝える場合は、最後の結論を直前のエピソードにからめ、入社後に活かしたいとアピールしてください。
心配性が短所であるという結論は変わらないですが、例(エピソード)すなわち経験で得た学びを継続する姿勢をプラスすれば、面接官に好印象を持ってもらえるでしょう。
【例文あり】面接での「短所は心配性」の答え方
心配性を短所として伝えるポイントは理解していても、自分で文章を考えるとなかなかまとまらないこともあるでしょう。
短所は心配性と伝えるときの具体的な例文を、以下で詳しく解説します。
NG例文もご紹介するので、文章作成の参考にしてみてください。
「短所は心配性」と答える例文3選
心配性は、人によって気になるポイントが異なります。
今回は、心配性のなかでも次の3ケースをピックアップして、例文をご紹介しましょう。
- 心配性でチャレンジできない人
- 心配性で他人の評価が気になる人
- 心配性で準備不足が気になる人
心配性でチャレンジできない人
心配性ゆえの消極性を、リスクマネジメント能力があると前向きに考え、具体的なエピソードを盛り込みましょう。
例文は以下のとおりです。
例えば、新しい化粧品やサプリを友人にすすめられても、アレルギーや効果が気になり気軽に試せません。
しかしリスクばかりを気にすると、せっかくのチャンスを逃すと気がつき、最近では気になるメリットとデメリットを書き出して考えるようになりました。
頭の中の期待と不安を見える化することで、検討時間が短くなりチャレンジしやすくなったと感じます。
心配性で他人の評価が気になる人
他人からの評価が気になる人は、自信が持てるような成功体験や、周囲との関わりで不安が解消できた経験を伝えると良いでしょう。
例文は以下のとおりです。
円滑な人間関係を望むあまり、自分から率先して意見を述べるのを控えていました。
しかしある日、現職でプレゼンの準備をしていたとき、先輩方が資料を間違えていることに気付き、勇気を出して間違いを指摘しました。
先輩方は驚きましたが、資料を確認して間違いを認め、ありがとうとお礼を言われました。
この経験は、私が心配性と向き合うターニングポイントとなり、現在は少しずつでも心配性を改善できるよう、周囲の人と積極的に関わる努力をしています。
心配性で準備不足が気になる人
心配性のなかでも、特に準備不足が気になる人は、周囲よりも早めの行動を心がけ、計画的に行動している点をアピールすると良いでしょう。
例文は以下のとおりです。
大学時代のレポートも、早めに提出していく友人に焦りを感じ、期限ギリギリまで時間がかかりました。
このままではいけないと思い、心配性改善のために取り組んだのが、計画の前倒しです。
例えば、周囲の人が1週間で仕上げる資料なら2週間の余裕を持たせて仕事を進めたり、期限をわざと早めに設定して心の余裕を持たせたりなど、いろいろな方法を実践しています。
自分でも効果を感じるので、今後も早めの行動を心がけ、仕事に取り組みたいです。
「短所は心配性」と答えるNG例文
短所を心配性と答えるのは問題ありませんが、伝え方を間違えると面接官に悪いイメージを与える可能性があります。
「短所は心配性」と伝える場合の、NG例文をご紹介しましょう。
心配性以外の短所も多い
自身の短所を面接で伝えるとき、心配性以外の短所もまとめて伝えてしまうケースが見られます。
複数の短所は、面接官にマイナスイメージを与えるので、一つに絞って伝えましょう。
NG例文は以下のとおりです。
失敗したときのことを考えると不安が募り、時間がないとわかっていても準備に手間をかけるため、スケジュールが遅れがちです。
人間関係のトラブルも苦手なので、できるだけ前に出ず目立たないように気をつけています。
改善しようとしていない
心配性の改善に取り組む姿勢が感じられない伝え方も、悪印象につながります。
短所は仕事でもトラブルの種になりかねないので、改善しようとしない志望者は、企業側も採用を躊躇するでしょう。
NG例文は以下のとおりです。
前職では納品スケジュールを調整してもらったり、私のペースに合わせた業務を割り振ってもらいました。
御社に入社したら、心配性と折り合いをつけつつ、私なりの頑張りでお役に立ちたいです。
短所が心配性なら答え方を準備してから面接を受けよう
面接で短所をたずねられたとき、心配性と伝えるのは問題ありません。
ただし、企業側は質問を通して、応募者の人となりや自社とのマッチング度を確認します。
面接を受けるときは、心配性への対策や改善努力のエピソードなど、ポジティブなイメージを与えられる答え方を準備してください。
実際に文章を考えるときはPREP法を意識し、心配性の改善・克服に取り組む姿勢が伝わる内容にしましょう。