「契約社員とアルバイトはどちらが良い?」「契約社員とアルバイトに違いはある?」と疑問に思っていませんか。
契約社員とアルバイトはどちらも非正規社員である点は同じであるものの、違いがわからない方もいるでしょう。
本記事では、契約社員とアルバイトの違いを解説し、メリット・デメリットを紹介します。
本記事を読むと契約社員とアルバイトの違いについて理解し、求人を見るときの参考になるので、ぜひ最後までお読みください。
目次
契約社員とアルバイトの違い
契約社員とアルバイトは雇用形態と給与形態、勤務形態に違いがあります。
両者の違いを表にまとめると以下のようになります。
契約社員 | アルバイト | |
雇用形態 | 契約社員(有期労働契約) | パートタイム労働者 |
給与形態 | おもに月給制 | おもに時給制 |
勤務形態 | おもにフルタイム勤務 | おもに短時間勤務 |
雇用形態の違い
契約社員の定義は、労働基準法にも労働契約法にもありません。
しかし、労働契約法17条に期間の定めのある労働契約を意味する「有期労働契約」という言葉が記載されています。
契約社員は、この有期労働契約を企業と結んで働く労働者を指します。
アルバイトも同様で、「アルバイト」という言葉は法律上存在しません。
ただし、アルバイトはパートタイム労働法2条に定義されている「短時間労働者」に該当します。
契約社員
「契約社員」とは雇用期間があらかじめ定められた「有期労働契約」を企業と結んでいる従業員のことを指します。
労働契約の期間は労働基準法で定められており、原則として1回あたり3年を超える労働契約は結べません。
ただし、以下の条件に当てはまる労働者は最長5年までの労働契約が結べます。
- 専門的知識を有する労働者(医師、弁護士、税理士など)
- 満60歳以上の労働者
一般的には1年間の労働契約を結び、1年ごとに契約を更新するかしないかを労使双方が判断します。
アルバイト
アルバイトは「パートタイム労働者」に分類される働き方です。
「パートタイム労働法」によると、パートタイム労働者の定義は「1週間の労働時間が同じ企業で働く正社員と比べて短い労働者」とされています。
パートタイム労働者のなかでも、高校生・大学生やフリーターなど比較的若い年齢層が収入を得る目的で行う仕事が「アルバイト」と呼ばれます。
一般的に「アルバイト」といえば10〜20代の若者、「パート」はミドル世代やシニア世代を想定している場合が多いでしょう。
給与形態の違い
アルバイトの給与は時給制が多いのに対し、契約社員は月給制の場合が多いです。
アルバイトはシフト制で勤務する場合が多く、働いた時間分の給与が支払われるからです。
契約社員は、正社員と同じくフルタイムで働く場合が多く、月給制が採用されています。
しかし、企業によっては月給制以外の給与形態を採用しているケースもあるでしょう。
また、契約社員・アルバイトであっても賞与がもらえるかどうかは企業によって異なるので、勤務先への確認が必要です。
勤務形態の違い
前述したとおり、契約社員の労働日数・時間は正社員とほとんど変わりません。
契約社員は1日8時間のフルタイム勤務であり、特定の業務内容や領域を任されるケースが多いでしょう。
一方で、アルバイトはパートタイム労働者の定義にあるように、短時間勤務である場合が多いです。
ただし、アルバイトであっても1日8時間×週5日働く「フルタイムパート」と呼ばれる働き方もあるため、「アルバイト=短時間勤務」とは限らないでしょう。
契約社員とアルバイトの違い|メリット・デメリット
契約社員とアルバイトのメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。
契約社員 | アルバイト | |
メリット | ・アルバイトより収入が高い ・雇用保険・社会保険に入りやすい |
・自分の都合の良い時間に働ける ・仕事の責任が軽い |
デメリット | ・契約更新されないケースもある ・アルバイトより勤務時間が長い |
・契約社員より収入が低い ・契約社員より社会的信用が低い |
契約社員として働くメリット
契約社員として働くメリットは以下の2つです。
- アルバイトより収入が高い
- 雇用保険・社会保険に入りやすい
契約社員はアルバイトと比較して労働時間が長く、業務内容も正社員とあまり大きな差がないため、収入が高くなりやすいです。
また、契約社員は雇用保険や厚生年金保険の加入条件を満たしやすく、アルバイトよりリスクに備えやすいといえます。
アルバイトより収入が高い
契約社員は、アルバイトと比較すると収入が高い傾向にあります。
東京都産業労働局の「令和元年度 契約社員に関する実態調査」によると、契約社員の平均年収は363万円です。
同年の株式会社リクルートジョブズの調査によると、アルバイトの平均時給は1,089円です。
仮にこの時給で1年間フルタイム(1日8時間×週5)勤務すると、年収は220万円程度になります。
契約社員のほうが収入が高い理由として、契約社員の業務内容は正社員と大差なく、フルタイム勤務である企業が多いことが挙げられます。
また、企業によっては契約社員にも賞与が与えられるため、アルバイトよりも安定した収入を得られるでしょう。
雇用保険・社会保険に入りやすい
契約社員は、雇用保険や社会保険に加入しやすい点もメリットです。
前提として、以下の条件を両方満たせば契約社員に限らず、アルバイトでも雇用保険に加入できます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上同じ企業で働く見込みがある
また、社会保険の加入対象は以下のとおりです。
原則
・正社員の1週間の所定労働時間および1ヵ月間の所定労働日数の4分の3以上ある社員
特定適用事業所に勤務している短時間労働者の場合
- 1週間に20時間働いている
- 8.8万以上の月収をもらっている
- 2ヵ月を超える雇用見込みがある
- 学生でない
フルタイム勤務が多い契約社員は上記の条件を満たすことが多く、雇用保険や厚生年金保険に加入しやすいでしょう。
アルバイトは労働時間が人によって異なるため、勤務時間が短い人は雇用保険に入らなかったり、ご家族の扶養に入ったりするケースもあります。
契約社員として働くデメリット
契約社員として働くデメリットは、以下の2つです。
- 契約更新されないケースもある
- アルバイトより勤務時間が長い
契約社員は雇用契約を結べる期間が法律で定められているため、長期間同じ職場で働くことは難しいでしょう。
また、アルバイトより勤務時間が長いためプライベートを重視したい方や副業やWワークを考えている方には向かないかもしれません。
契約更新されないケースもある
契約社員の雇用契約は1回あたり「最長3年」と法律で定められているため、同じ企業で長期間働けない可能性があります。
やりがいを感じた仕事でも、会社が契約更新の意思を示さない場合は、雇用が延長されないケースもあります。
契約が更新されなかった場合や雇用契約を満了した場合は、次の勤務先を探さなければなりません。
契約社員は契約期間更新日や満了日が近づくたびに、「来年度も働けるだろうか」と不安になる可能性もあります。
ただし、雇用契約が繰り返し更新されて勤続年数の通算が5年以上の場合、労働者が企業へ申し込むと無期雇用へ転換できます。
例えば、契約期間が1年の場合は、5回目の契約更新後の1年間に無期転換の申し込みが可能です。
画像引用:無期転換ポータルサイト
アルバイトより勤務時間が長い
契約社員は正社員と同様にフルタイムで働くことが多いため、必然的にアルバイトより勤務時間が長くなります。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、令和5年度8月の一般労働者(正社員)の労働時間は157.3時間でした。
一方で、同調査にてパートタイム労働者の労働時間は79.0時間と判明しており、正社員との差は78.3時間でした。
「空いた時間を利用して働きたい」と考えている方は、契約社員よりアルバイトを選択するほうがおすすめです。
アルバイトとして働くメリット
アルバイトとして働くメリットは、以下の2つです。
- 自分の都合の良い時間に働ける
- 仕事の責任が軽い
自分の都合に合わせて勤務日数・時間を調整できるのは、アルバイトならではのメリットです。
加えて、アルバイトは重大な仕事を任せられることが少ないため、正社員と比較すると仕事に対するストレスを感じにくいでしょう。
自分の都合の良い時間に働ける
アルバイトはシフト制で勤務日数・時間を選択できることが多く、自分の都合の良い時間に働けるのがメリットです。
ご家族の扶養に入っている場合は、年収が130万円を超えると健康保険の被扶養者の対象外となってしまうため、金額を超えないようにシフトを調整して働けます。
自分やご家族の予定に合わせて勤務日数・時間を調整したい方は、アルバイトを選ぶと良いでしょう。
自分の用事や趣味、ご家族との時間などを考慮してシフトを組めば、プライベートを優先しながら、空いた時間を利用して働けます。
「収入を増やしたい」と考えている方は、空いた時間にWワークや副業をするのも良いでしょう。
仕事の責任が軽い
アルバイトは任せられる仕事が限定的になることが多く、仕事に対する責任が軽くなりやすいです。
アルバイトの働き方として、職場のリーダーから指示を受けて仕事することが多いため、正社員のように重い責任を求められることは少ないでしょう。
しかし、いくら仕事の責任が軽いとはいえ、労働者として最低限の責任感を持たなくてはなりません。
自分に任された業務を務めたり、労働時間中は業務を遂行したりといった、社会人として常識的なルールは守りましょう。
また、仕事の責任が軽い一方で、やりがいのある仕事がしたい方や実績を求める方は物足りない可能性があります。
アルバイトとして働くデメリット
アルバイトとして働くデメリットは以下のとおりです。
- 契約社員より収入が低い
- 契約社員より社会的信用が低い
アルバイトは時給制で働いた分のみ給与が支払われるため、月給制である正社員や契約社員より収入が低くなるケースが多いです。
加えて、アルバイトは一般に職歴にカウントされない場合が多いため、社会的信用が低く見られやすいでしょう。
契約社員より収入が低い
先述したとおり、アルバイトは契約社員より収入が低い場合があります。
アルバイトは基本的には時給制であるため、働いた時間分だけしか収入がありません。
賞与がもらえる機会や昇給額も少なく、フルタイムで働く正社員や契約社員と比較すると収入は少ない金額になりがちです。
さらに、アルバイトは手当や福利厚生が手薄なのもデメリットです。
住宅手当や家族手当などが支給される機会も少なく、勤務時間が短いと雇用保険や社会保険に加入できない側面があることも覚えておきましょう。
契約社員より社会的信用が低い
契約社員もアルバイトも非正規雇用であるものの、アルバイトのほうが契約社員よりも社会的信用が低く見られやすいです。
社会人の場合、履歴書の職歴欄にアルバイトの経験は書かないのが一般的です。
就職活動の際、履歴書の空白期間が長くなるほど、企業にPRできる部分が減ってしまいます。
契約社員は同じ非正規雇用であっても職歴としてカウントされるため、アルバイトと比較すると社会的に信用される傾向にあるでしょう。
契約社員の経験・スキルをPR材料にして就職活動を進め、正社員をめざすのも手です。
正社員と契約社員・アルバイトの違い
一般的に「正社員」と呼ばれている労働者は、以下の条件に該当します。
- 雇用契約の期間が決まっていない(無期雇用契約)
- 労働時間が1日8時間×週5日のフルタイム勤務である
- 勤務先に直接雇用されている
正社員は契約社員・アルバイトと比較して収入が安定し、社会的信用も高い傾向にあります。
厚生労働省の「令和4年度賃金構造基本統計調査」によると、正社員の月収が328,000円に対し、正社員以外は221,300円です。
年収に換算すると正社員は約394万円、契約社員・アルバイトを含む非正規社員は約266万であり、約128万円もの差があります。
一方で、正社員の多くはフルタイム勤務であるため、労働時間・業務量が多いうえに責任が重い仕事を任されがちです。
職務が限定されていない場合でも、会社都合での部署異動や職種変更があり、自分が希望していない仕事も行わなければならない場合があるでしょう。
契約社員とアルバイトの違いを理解し自分はどちらが良いか考えてみよう
契約社員とアルバイトは法律上の取り扱いや給与形態、勤務時間に違いがあります。
契約社員とは、労働契約法17条に定義された「有期労働契約」を企業と結んでいる社員です。
一方で、アルバイトはパートタイム労働法2条の「パートタイム労働者」に分類されます。
契約社員はフルタイム勤務かつ月給制である場合が多いため、アルバイトより高収入であり、かつ社会保険に加入しやすいでしょう。
しかし、契約更新されず雇用が不安定になりやすい面もあります。
アルバイトは勤務日数・時間を自分の都合に合わせやすく、仕事の責任が軽い点がメリットです。
ただし、契約社員より収入・社会的信用ともに低くなりやすいデメリットがあることも押さえておきましょう。