名刺交換は、挨拶の段階で所属や役職を明確にし、ビジネス上のコミュニケーションを円滑に進める役割を持っています。
そのため、名刺交換のビジネスマナーをマスターしておくことは、社会人になるうえで必須です。
今回は名刺交換におけるビジネスマナーを紹介します。
名刺交換の手順とポイント、注意すべき行動やイレギュラー対応について見ていきましょう。
さらに、近年活用の機会が増えているオンライン名刺交換にも触れていきます。
目次
ビジネスマナーに則した名刺交換の手順とポイント
まずは、手順をおさえておくことが大切です。
必要なステップと、各ポイントを解説します。
1.名刺を渡す準備をする
名刺交換の際、相手を待たせてしまうと第一印象が悪くなってしまいます。
準備を事前に行い、スムーズにこなしましょう。
ポイントとなるのは、名刺を入れておく場所です。
挨拶と同時に渡せるよう、上着のポケットやカバンの上のほうなど、すぐに取り出せる場所に入れておきましょう。
2.名刺を渡す
名刺を渡す際には、相手が読める向きで名刺を持ち、「A株式会社B事業部の○○と申します」と会社名・所属・氏名を伝えながら差し出します。
さらに、渡す際の注意点をいくつかチェックしていきましょう。
名刺交換は立って行う
名刺交換は立って行うのがマナーです。
先に座って待っていた場合も、立ち上がって出迎え、挨拶をしたあとに交換しましょう。
また、テーブル越しに交換してはいけません。
相手と正面で向き合っている状態であっても、テーブル横への移動が必要です。
複数人で交換する場合は、適切な順番でできるようにスムーズな移動が求められます。
ただし、スペースの関係でやむを得ずテーブル越しになってしまう場合もあります。
そうしたケースでは、「テーブル越しで申し訳ありませんが」と言い添えると好印象です。
受注側から名刺を渡す
名刺は、立場が下の人から上の人に対して渡すことが原則です。
そのため、取引関係においては受注側(お金をもらう側)が先に渡します。
受注側は発注側よりも立場が下になるため、年齢や役職は関係ありません。
なお、営業活動以外では、訪問した側から先に渡すことがマナーです。
相手より低い位置で差し出す
相手の名刺より低い位置で渡すことにより、謙虚さを表現できます。
渡す際は、胸のあたりから相手の手元に向け、弧を描くように差し出すことがポイントです。
ただし、あまりに下の位置では卑屈な印象を与えかねません。
相手の身長にも合わせて、受け取りやすい位置を意識して差し出しましょう。
3.名刺を受け取る
名刺を受け取る際は、「頂戴します」と必ず一言添えます。
右手で自分の名刺を渡し、左手で受け取り、高さは胸のあたりにキープしておくことが基本です。
受け取ったら、名前を読み上げて確認しましょう。
「○○様ですね」と読み上げ、同時に役職なども確認しておきます。
このとき、読み方がわからない場合は「どのようにお読みすればよろしいでしょうか?」と確認することが大切です。
なお、読み方をその場で名刺にメモしてはいけません。
のちほどノートなどに記しておきましょう。
名刺を正しく並べる
そのまま商談をする場合は受け取った名刺をすぐにしまわず、テーブル上の自分から見て左側に、名刺入れの上に載せた状態で置きます。
また、複数枚受け取った場合は相手側の役職に沿って並べます。
役職が一番高い人の名刺を名刺入れの上に置き、それ以外は座席順に並べておくことがマナーです。
なお、役職の上下がわからない場合は、テーブル上に座席順で並べ、名刺入れだけ別にして右下に置いておきましょう。
名刺をしまう
商談が終わり、相手が名刺をしまう際に自分もタイミングを合わせて名刺をしまいます。
そこであらためて「頂戴します」と伝えるとより好印象です。
なお、商談が終わっても、名刺をすぐしまってはいけません。
相手より先にしまうと、興味がない、早く帰りたいといった印象を与えかねないため、しまう際は相手のあとにします。
受け取ったものは名刺フォルダや管理アプリなどにまとめて保管しましょう。
このとき、日付や商談内容などをメモしておくと、見直した際にすぐ思い出せます。
名刺交換で注意したいビジネスマナー
名刺交換は、ビジネス相手とのコミュニケーション手段です。
マナーを怠ると逆に相手の心証を悪くしかねません。
注意すべきビジネスマナーを3点紹介します。
折れているもの、汚れているものは使用しない
名刺はきれいな状態で差し出すことがマナーです。
折れている、汚れているなどの場合、相手からのイメージは良くありません。
ポケットや財布に入れておくと名刺がボロボロになる原因となるため、名刺入れなどに入れ、いつでもきれいに使用できるように保管して持ち歩きましょう。
もしも汚れてしまうなどした場合はシュレッダーにかけ、新しいものを使うようにしてください。
財布やポケットからそのまま出さない
名刺を財布やポケットからそのまま取り出すことはマナー違反です。
財布にお金と一緒に入っている場合、不潔に思われることもあります。
また、財布やポケットは普段からさまざまなものを出し入れするため、管理が行き届かないことも懸念されます。
ネガティブな印象を与えないよう、名刺は必ず名刺入れから取り出しましょう。
なお、もしも予備の名刺を財布に保管しておきたい場合は、交換前に状態を確認し、名刺入れに移しておくことが不可欠です。
指で名前やロゴマークを隠さない
名刺を受け取る際には、持つ位置に注意し、余白部分を持つように心がけましょう。
名刺には会社名や名前、ロゴマークなどが印刷されていますが、受け取る際にそれらを指で隠してはいけません。
指で隠していると、相手のことを軽視しているような印象を与えてしまい、心証が悪くなってしまいます。
こんなときどうする?名刺交換の事例と対応方法
基本的なビジネスマナーを学んでいても、イレギュラー対応が必要になるケースもあります。
想定される事態と対応方法を確認していきましょう。
複数人で同時に名刺交換をする場合
商談など複数人で名刺交換をする場合、自分の名刺は十分な枚数を用意しておきます。
このとき、名刺入れからまとめて出しておくと、渡す際に流れ作業のように見え印象が良くないため、一枚ずつ取り出し渡していきます。
また、途中で人数が増えた場合に備え、枚数に余裕を持って名刺入れの下に挟んでおきましょう。
複数人で交換する場合は、役職が上の人から順番に交換します。
例えば、上司とともに他社へ訪問するケースを考えてみましょう。
最初に自社の上司と訪問先の上司、次に自社の上司と訪問先の担当者が交換し、そのあとに自分と訪問先の上司、訪問先の担当者の順で交換を進めます。
役職の上下がわからない場合は、入室する順番や紹介された順番、すでに着席している場合は、座っている位置から判断します。
名刺を忘れた場合
急な名刺交換や、どうしても忘れてしまう場合もあります。
そうしたケースでは、忘れたと言うのではなく、「切らしておりまして」と伝えることがポイントです。
忘れたと言ってしまうと相手にだらしない印象を与えかねません。
しかし、切らしているのでは仕方ないと思ってもらえます。
もし今後もやり取りがあればその際に渡し、もし対面する機会がないのであれば、資料と一緒に郵送することが一般的な対処方法です。
名刺交換のタイミングを逃した場合
名刺交換は商談前の挨拶時にすることが基本ですが、タイミングを逃してしまった場合は、商談の途中ではなく帰り際に声をかけることがマナーです。
商談の最後に、「恐れ入りますが、お名刺を頂戴できますでしょうか?」と伝え、自分から差し出します。
また、目上の相手から先に出されることもあります。
そうした場合は、いったん「頂戴します」と受け取り、「申し遅れました」と伝えながら名刺を渡しましょう。
オンライン名刺交換の場合
テレワークが進み、対面だけでなくオンラインで商談をする場面も増えてきました。
これにともなって名刺もオンライン化が進んでいます。
ここからは、オンラインでの名刺交換方法とマナーを解説します。
オンライン名刺の交換方法
オンラインで名刺を交換する方法は主に4種類あります。
- 名刺管理ツールの交換機能を活用
名刺管理ツールでURLやQRコードを作成し、相手に送信することで名刺交換ができます。 - QRコードで交換
自分の名刺のQRコードを発行して相手に送信し、スマートフォンのカメラをかざして読み込んでもらいます。
また、Web会議ツールにある画面共有機能で表示させることも可能です。 - URLで交換
URLを発行するツールを使って作成し、相手にチャットなどで送信します。
一度発行すれば基本的にリンクは変わりません。 - 背景にQRコードを表示
Web会議ツールの背景へQRコードを埋め込むことで、オンライン名刺交換が行えます。
QRコードのピントが合わないなどの問題解消に効果的です。
オンライン名刺交換のビジネスマナー
オンラインでの名刺交換においても、手間取らないことが重要です。
まず、商談や会議の前に交換を済ませておきましょう。
相手の連絡先を知っていれば、事前にQRコードやURLを送っておくとスムーズに進みます。
ただし、すべてオンライン上だけで完結させようとすると、コミュニケーション不足が生じる恐れがあります。
電話やメールで適宜フォローし、今後対面で商談する機会があれば実際に名刺交換をすることが大切です。
また、セキュリティや個人情報保護のため、リンクに有効期限を設定している場合もあります。
そうしたケースでは、事前に有効期限を伝えておきましょう。
ビジネスマナーをおさえて好印象の名刺交換をしよう
名刺交換は、ビジネスにおいて最初のつながりを作る大切なポイントですが、ビジネスマナーをおさえていなければ、心証が悪くなってしまう恐れがあります。
基本的な渡し方・受け取り方などの手順はもちろん、イレギュラー時の対応やオンライン名刺交換など、さまざまなケースに対応できるようにしておきましょう。