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非正規雇用はなぜ増えた?増加の理由について解説

非正規雇用とは、正規雇用、いわゆる正社員での雇用以外で働く雇用形態です。
パート・アルバイトや、契約社員・派遣社員・臨時職員などが該当し、自分の状況に合わせた働き方をする人もよく見られます。

しかし、非正規雇用は正規雇用と比較すると賃金が低い傾向にあり、キャリアアップ・スキルアップの難しさも懸念されます。
今回は、非正規雇用が増加した理由と、非正規雇用が抱える問題点を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

非正規雇用はなぜ増えたのか|理由・原因

非正規雇用はなぜ増えたのか|理由・原因

非正規雇用が増加した背景には、以下の理由が考えられます。

  • 経済の動向による影響
  • 働き方の多様化
  • 子育てや介護など家庭の事情との両立が必要
  • 家計の補助・学費を得たいから
  • 賃金の節約

各項目を、以下で詳しく解説します。

経済の動向による影響

非正規雇用が増えた原因の一つに、経済の動向による影響が挙げられます。
1990年代以降、AI・ロボット開発などの技術が急速に進展し、人の手で行われていた仕事の機械化が進みました。

業務が機械化されたため、企業側は自社の雇用人数を見直して正規雇用者の削減を実施し、代わりに非正規雇用者を増やして人件費のコストダウンを測りました。

企業側の雇用見直しが本当に人件費のコストダウンにつながったかどうかは、意見が分かれます。
しかし、経済動向の変化が雇用形態の多様化に影響したことは、事実といえるでしょう。

働き方の多様化

経済の動向による影響で、企業側の正規雇用者削減が進んだ結果、終身雇用への信頼性が崩壊しました。
正規雇用者の求人も減り、就職氷河期を迎えます。

「非正規雇用でも良いから働きたい」と、就職氷河期で苦しむ若者や解雇された人が非正規雇用者になりましたが、確約された将来性がないなかで新たに生まれたのが、自由な働き方への関心です。

非正規雇用は、正規雇用者のような責任を要求されません。
都合の良い曜日・時間帯を組み合わせて、複数の仕事をかけ持ちできます。

好きな時間に好きな場所で働ける非正規雇用は、自分らしさを模索しながら生きる人々に受け入れられました。

この一連の流れが、働き方の多様化を後押ししたと考えられます。

子育てや介護など家庭の事情との両立が必要

非正規雇用の増加には、子育てや介護など、家庭の事情との両立も関係しています。
特に結婚した女性の場合、ライフステージの変化とともに正規雇用の継続が難しくなり、非正規雇用へ移行するケースも少なくありません。

男性の場合も、少子高齢化で兄弟がおらず、高齢の両親を介護するため非正規雇用へ移行する人もいます。
非正規雇用の増加は、何かしらの事情で正規雇用と両立できないケースがよく見られるようになったのも、要因の一つと考えて良いでしょう。

家計の補助・学費を得たいから

家計の補助や学費のために、非正規雇用で働く人もいます。
例えば、夫の収入をメインに考えて、家計に余裕を持たせるために非正規雇用で働く妻もいるでしょう。
自分で学費を稼ぎつつ、学校に通うケースもよく見られます。

家計の補助や学費のために仕事をする場合には、家事・育児や学業の合間に自分の都合に合わせて働ける非正規雇用が最適です。
非正規雇用の自由な働き方は、自分のライフスタイルをメインに据え、無理なく働きたい人の生活を支えます。

賃金の節約

非正規雇用の増加の原因には、非正規雇用枠を拡大して賃金の節約を考える、企業側の理由も関わっています。

非正規雇用者の賃金は正規雇用者よりも低く、多くの場合ボーナスや退職金の支払いもありません。
つまり、正規雇用者よりも非正規雇用者の雇用を増やせば、人件費を節約できると企業側は考えています。

例えば、正規雇用と非正規雇用の看護師がいた場合、業務内容に大きな差がなければ、相対的に賃金を節約できる、と判断するでしょう。
企業側の思惑が、非正規雇用増加の一翼を担っています。

非正規雇用者はいつから増えた?正規雇用・非正規雇用者数の推移

非正規雇用者が増え始めたのは、1990年頃です。
1994年までは正規雇用・非正規雇用ともに増加傾向が見られましたが、1999年には正規雇用者が減少しはじめ、2004年になると、労働者全体数の30%以上が非正規雇用になりました。

正規雇用者数の停滞は2014年まで続きましたが、2015年には8年ぶりに上昇し、2020年・2021年はわずかに減少したものの、2022年には再び上昇が見られました。

非正規雇用者数も2010年から伸び続けているため、労働者の全体数は増えています。
非正規雇用者数のなかでも、特に大きな伸びを見せているのが65歳以上の雇用です。
2002年に95万人だった65歳以上の非正規労働者が、2022年には405万人に達し、日本の経済活動を支えています。

非正規雇用のデメリットは、以下のページで詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。

非正規雇用の課題

非正規雇用者は、自分の都合に合わせて働きやすい一方、次の問題点があります。

  • 正規雇用よりも賃金が低い
  • キャリアアップ・スキルアップしにくい

上記2つの課題に対する対策を、以下で詳しくご紹介します。

低賃金への対策を含めた諸待遇の改善

非正規雇用者の低賃金問題に対し、厚生労働省は「同一労働同一賃金」の指針を発表しました。
同一労働同一賃金とは、雇用形態で賃金を決めるのではなく、労働に見合った賃金を支払う考えです。

人件費のコストダウンを狙う企業には、同一労働同一賃金の導入はデメリットでしょう。
しかし、雇用形態に関係なく仕事に見合った賃金をもらえるのは、非正規雇用者のモチベーションを上げます。

非正規雇用者のやる気・向上心を引き出せれば、企業全体に良い効果を与えられるでしょう。

キャリア・スキルアップへの支援

キャリアアップ・スキルアップの支援も、非正規雇用者が抱える問題の改善策です。
非正規雇用者は、企業から教育を受ける機会がほとんどなく、個人が持つ特性・能力を活かしきれていない状態でした。

厚生労働省は、非正規社員のキャリアアップ・スキルアップを促進させるため、助成金の活用を企業側に提言しました。
教育制度の見直しをはかり、非正規社員にも学ぶ機会・昇進する機会を与えられるよう、支援体制を整えています。

非正規雇用が増えた理由を理解し働き方を考えよう

非正規雇用の始まりは、1990年代の技術革新と、それにともなう企業側の人件費削減でした。
終身雇用の信頼性が崩壊したあと、非正規雇用の自由な働き方は幅広い年代に受け入れられ、現在はライフスタイルに合わせ、あえて非正規雇用を選ぶ人もいます。

非正規雇用は、低賃金・キャリアアップ・スキルアップの難しさが問題点ですが、厚生労働省が「同一労働同一賃金」の指針を発表し、企業の社員教育体制も支援しています。
自分がどのように働きたいかを見つめ直し、ライフスタイルに合った働き方を考えてみましょう。

執筆者について

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