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アルバイトの厚生年金|加入要件や加入するとどうなるかを詳しく解説

アルバイトの方も、いくつかの加入要件を満たすことで厚生年金に加入できます。
厚生年金に加入するメリットは、将来受け取れる年金が増えることです。

ただし、社会保険料の負担が増えるという懸念点もあるため、加入の必要があるかどうか事前に検討することが大切になるでしょう。
この記事では、アルバイトが厚生年金に加入するための要件や、加入するとどうなるのかを詳しく解説します。

アルバイトでも厚生年金に加入できる

アルバイトでも厚生年金に加入できる

アルバイトとして働く方も、要件を満たせば厚生年金に加入できます。
厚生年金とは、日本の労働者が加入する所得比例型の公的年金です。

日本では20歳以上になると、すべての国民が国民年金に加入します。
国民年金では基礎年金を受け取れますが、厚生年金は基礎年金の受給額にさらに上乗せされるため、厚生年金を納めることで老後の年金を増やすことが可能です。

国民年金と厚生年金の違いは、要件の有無にあります。
国民年金は20歳以上60歳未満の方だと加入が必須ですが、厚生年金は要件を満たさなければ加入できません。

アルバイトの厚生年金の加入要件は?

アルバイトの厚生年金の加入要件は?

厚生年金に加入する方の多くは正規雇用で働く正社員ですが、非正規雇用のアルバイトでも要件を満たすことで加入できます。
アルバイトで厚生年金に加入する要件は、以下のとおりです。

  • 労働時間が週20時間以上
  • 月収が8.8万円以上
  • 勤務している企業の従業員数が101人以上
  • 雇用期間が2ヵ月を超える見込みがある
  • 70歳未満

ここからは、アルバイトの厚生年金の加入要件について詳しく解説します。

労働時間が週20時間以上

アルバイトでも労働時間が週20時間以上の場合には、厚生年金に加入できます。
1週間の所定労働時間と1ヵ月の所定労働日数が、同じ企業で働く正社員の所定労働時間・所定労働日数の4分の3以上なら、厚生年金の加入が可能です。
所定労働時間とは、平常時に確定している労働時間を指します。

加入のタイミングは、労働時間が正社員の4分の3以上になるとわかったタイミングです。
ただし、シフト制で一時的に労働時間が増えただけでは加入対象にならないため注意しましょう。

月収が8.8万円以上

月収が8.8万円を超えると、厚生年金の加入対象となります。
一般的によくいわれる「106万円の壁」とは、厚生年金の加入が必要な月収が8.8万円以上であるためです。

厚生年金に加入すると保険料の負担によって、手取りが減ります。
厚生年金に加入しても、収入が106万円を大きく超えていれば手取りの減少を避けられますが、出勤日数・時間に限りがあってなかなか難しい方もいるかもしれません。
また、106万円の壁は2022年10月から始まった社会保険の適用拡大によるもので、厚生年金に加入する方が増える見込みです。

勤務している企業の被保険者数が101人以上

アルバイトで厚生年金に加入するには、勤務している企業等の従業員の被保険者数が101人以上であることも要件の一つです。
以前は被保険者数501人以上の企業等が対象でしたが、2022年10月に年金法が改正されて被保険者数101人からとなり、加入条件が緩和されています。

これにより、アルバイトとして働いている方も、厚生年金に加入しやすくなるでしょう。
ただし、厚生年金の加入要件である従業員数は、厚生年金保険の適用対象者数で判断するという点に注意が必要です。

なお、2024年10月からは被保険者数が51人以上の企業等まで適応が拡大されます。

雇用期間が2ヵ月を超える見込みがある

アルバイトで厚生年金に加入するには、雇用期間が2ヵ月を超えると見込まれることが要件となります。
以前の要件は「勤務期間1年以上」でしたが、2022年10月の年金法改正後は見込み雇用期間が2ヵ月に変更されました。

よって、アルバイトとして2ヵ月以上勤務する見込みがあり、他の項目も満たすと厚生年金に加入できます。

70歳未満

会社に勤務して厚生年金に加入している人でも、70歳になると加入資格を喪失します。
そのため、厚生年金に加入する際には70歳未満であることも要件です。

ただし、70歳以上で老齢年金の加入期間が足らず受給資格がない人は、老齢年金を受けられる加入期間を満たすまで、厚生年金の高齢任意加入ができます。
高齢任意加入には、事業主と厚生労働大臣の認可が必要で、本人が申請書類を日本年金機構へ提出します。

アルバイトが厚生年金に加入するとどうなる?

アルバイトが厚生年金に加入するとどうなる?

アルバイトが厚生年金に加入することで、以下4つの変化が想定されます。

  • 老後の年金受給額が増える
  • 保険料の半分を会社に負担してもらえる
  • 加入前よりも給料の手取りが減る
  • 手厚い保障が受けられる

厚生年金への加入には利点だけでなく注意点もあるため、慎重に検討しましょう。

老後の年金受給額が増える

厚生年金に加入すると、老後の年金受給額が増えます。
厚生年金の保険料を納めることで、国民年金と厚生年金の両方を受け取れるためです。

2019年度の国民年金の平均受給額は5万5,946円であるのに対し、厚生年金の平均受給額は14万4,268円となっています。
国民年金のみの場合と厚生年金に加入している場合を比較すると、受給額に倍以上の差があります。
この差が、老後の生活に影響を与える可能性も考えられるでしょう。

保険料の半分を会社に負担してもらえる

社会保険に加入した場合、厚生年金・健康保険・介護保険の3つの保険は、会社と労働者で半分ずつ支払うことになります。
場合によっては、国民年金よりも支払い額が少なくなるかもしれません。
労働者に配偶者などがいると保険料の負担なく被扶養者にできるため、ご家族がいる場合には大きなメリットとなるでしょう。

加入前よりも給料の手取りが減る

厚生年金に加入すると厚生年金保険料と健康保険料を同時に負担するため、加入前と比べると給料の手取りが減ります。
厚生年金の保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に18.3%をかけて計算されるため、収入が増えるごとに負担も増えるのが特徴です。

将来受け取れる年金受給額は増えますが、給料の手取りが減ることで人によっては加入を損に感じるでしょう。

手厚い保障が受けられる

厚生年金へ加入すると、老後の生活の支えになるだけでなく、労働者が亡くなった場合や障害を持った場合などにも備えることが可能です。
例えば労働者が亡くなった場合、遺族基礎年金のほかに遺族厚生年金も支給対象となります。
遺族基礎年金とは、亡くなった方の収入によって生計を維持していた遺族が受け取れる年金です。

また、労働者が病気やケガによって障害を持った場合には、障害基礎年金だけでなく障害厚生年金が支給されます。
厚生年金に加入することで、本人やご家族の不測の事態に対処しやすくなるでしょう。

アルバイトで厚生年金に加入したくないときはどうすれば良い?

アルバイトで厚生年金に加入したくないときはどうすれば良い?

アルバイトで厚生年金に加入したくないときには、厚生年金の加入要件から外れるように労働時間などを調整する必要があります。
調整が必要なポイントは、以下の2点です。

  • 月収8.8万円未満にする
  • 労働時間および日数を正社員の4分の3未満にする

厚生年金は、要件を満たすと自動的に加入となります。
そのため厚生年金に加入したくない場合には、要件から外れるように自分で調整しなくてはいけません。
加入要件を満たさない範囲で勤務日数やシフトを調整しましょう。

アルバイトを退職したら厚生年金はどうなる?

アルバイトを退職したら厚生年金はどうなる?

厚生年金に加入しているアルバイトを退職したら、手続きが必要になります。
退職月のうちに転職し、厚生年金への加入が確定している場合には、基礎年金番号通知書またはマイナンバーカードを用意しておきましょう。
それらを転職先の人事・総務担当者に提出し、手続きをしてもらう必要があります。

また、厚生年金に加入しているアルバイトの退職後に国民年金へ切り替える場合には、退職日の翌日から14日以内に市区町村役場などの保険年金窓口に必要書類を提出しましょう。
国民年金に加入する際に必要なものは、以下のとおりです。

  • 基礎年金番号通知書またはマイナンバーカード
  • 離職票または退職証明書

退職翌日から14日以内に手続きを済ませるのが原則ですが、過ぎた場合でも遡って保険料を支払うことができます。

アルバイトでも要件を満たせば厚生年金に加入できる

アルバイトでも厚生年金に加入することは可能です。
要件を満たすと自動的に加入となるため、手取りが少なくなることが気になる場合は注意する必要があるでしょう。

一方で、将来の年金受給額が増えたり、万一のときに遺族厚生年金や障害厚生年金の支給対象になったりと、厚生年金の加入にはいくつものメリットがあります。
自分にとって厚生年金の利点が大きいようであれば、アルバイトとしての出勤日数・時間が加入要件を満たすように調整してみてください。

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