アルバイトの源泉徴収票には、給与や納税に関わる事項が記載されています。
源泉徴収票は、転職や確定申告のときに必要です。
源泉徴収票の発行は給与を支払う側の義務ではありますが、アルバイト先から源泉徴収票を受け取れない事態に直面した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、アルバイトの源泉徴収票が必要なケースともらい方を紹介します。
目次
アルバイトの源泉徴収票とはどのようなもの?
アルバイトの源泉徴収票とは、会社が従業員に支払った給与額・源泉徴収した税額・控除額の3つを記載した書類です。
源泉徴収票には、給与所得の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票の2種類があります。
退職手当が発行されない場合には給与所得の源泉徴収票のみが発行されるため、アルバイトの場合は給与所得の源泉徴収票がほとんどです。
単に源泉徴収票と呼ぶ場合には、給与や賞与、そして納税額が記載されている給与所得の源泉徴収票を指すのが一般的です。
源泉徴収票でわかること
源泉徴収票でわかることは、主に以下の4つです。
支払者と支払いを受ける者の名前や住所のほかに、以下の内容が記載されています。
- 支払金額
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除の額の合計額
- 源泉徴収税額
支払金額とは、1年間の総支給額です。
毎月の基本給に加えて賞与や残業代なども含まれますが、非課税である通勤手当や旅費などは含まれません。
給与所得控除後の金額は、年収に応じた給与所得控除を差し引いた金額です。
いわゆる経費にあたる部分ですが、会社員やアルバイトの場合は年収に応じて控除できる金額が決まっています。
所得控除の額の合計額とは、社会保険料などの給与所得控除以外の控除です。
源泉徴収税額には、すでに納めた所得税の決定額が記載されています。
源泉徴収票が発行される時期
源泉徴収票が発行される時期は、在職中か退職後かで異なります。
在職中の場合は、12月支給の給与明細や年末の賞与明細が発行される時期と同じです。
年間所得の集計として交付されるためです。
退職している場合には、退職日から1ヵ月以内に発行されます。
なぜなら、所得税法226条で退職日から1ヵ月以内に源泉徴収票を発行することが定められているためです。
年度の途中に退職した場合、源泉徴収票には在職中の所得が記載されます。
源泉徴収票がないとどうなる?
源泉徴収票がないと、源泉徴収票が必要なときにスムーズな手続きができなくなります。
詳しくは後述しますが、転職するときなどさまざまな場面で必要です。
職場で源泉徴収票を受け取ったら、紛失しないように保管しましょう。
アルバイトで源泉徴収票が必要になるケース
アルバイトで源泉徴収票が必要になるケースは、以下のとおりです。
- 年度の途中で転職するとき
- 自分で確定申告をするとき
- 収入証明が必要なとき
ここからは、アルバイトで源泉徴収票が必要になるケースについて詳しく解説します。
年度の途中で転職するとき
年度の途中で転職する際には、新しい職場から源泉徴収票の提出が求められます。
年末調整で年間所得や所得税額などを計算する際に、年度内に勤務した職場での源泉徴収票が必要になるためです。
年末調整では、所得税などの納税額を精算します。
源泉徴収されすぎているときには、多く収めた所得税が納税者に還付されます。
所得税は、源泉徴収により必要以上に納めている場合がほとんどです。
よって、アルバイトの年末調整は、還付申告の意味合いが強いといえるでしょう。
前職の源泉徴収票は、年度の途中で転職しているとしても、正しい税額を計算するために必要になります。
自分で確定申告をするとき
源泉徴収票は、自分で確定申告をするときに必要です。
会社員やアルバイトも、確定申告が必要になるケースがあります。
次の項目からは、自分で確定申告をする必要があるケースについて詳しく解説します。
収入が103万円を超えているがアルバイト先が年末調整してくれない
会社によっては、年末調整の必要性を理解しておらず年末調整をしてくれない場合があります。
何らかの理由により会社が年末調整をしない場合には、自身による確定申告が必要です。
年末調整をしない場合には所得税の還付だけでなく、生命保険や住宅ローン、そして医療費などの控除も受けられなくなります。
年末調整では、各種控除も踏まえて所得税の金額が再計算されます。
会社が年末調整をしてくれない場合には、控除分を考慮しない税額で確定してしまうので、確定申告を行わなければ必要以上に税金を納めることになってしまうかもしれません。
アルバイトの掛け持ちでメイン以外の給与収入が20万円を超えている
アルバイトの掛け持ちをしており、メインではない給与収入が20万円を超えている場合には、確定申告が必要になります。
なぜなら、収入にあたるアルバイト代は、一定額を超えると所得税の納付が必要なためです。
しかし、掛け持ちをしていても給与が年間103万円以内の人は確定申告が必要ありません。
掛け持ちをしているかどうかと金額によって、確定申告が必要かどうかが異なります。
報酬による収入が年間48万円以上ある
報酬による収入が年間48万円以上ある場合には、確定申告が必要になります。
報酬とは、経費を自己負担して成果品によって支払われる収入です。
具体的には、フードデリバリーやクラウドソーシングなどで得た収入が挙げられます。
継続を前提に報酬が支払われる場合には事業所得となり、1回きりで終了する場合には雑所得となります。
年間で48万円以上の事業所得または雑所得がある場合には、自分で確定申告をしましょう。
確定申告でしか申告できない控除がある
確定申告でしか申告できない控除とは、医療費控除・雑損控除・寄附金控除です。
よって、一定金額以上の医療費を支払っていたり、寄附金を支出していたりする場合には、確定申告で控除できます。
医療費や寄附金は、年末調整では控除できません。
なぜなら、会社側の事務作業が大幅に増えるためです。
1月1日から12月31日までが控除の対象となるうえに見込み計算もできないため、医療費や寄附金は各自で確定申告する必要があります。
収入証明が必要なとき
収入証明が必要なときにも、源泉徴収票が必要になります。
例えば、住民ローンを組むときや保育園の入園などです。
ケースによっては、収入証明書を求められる場合があります。
収入証明書とは、所得証明書や課税証明書、そして源泉徴収票を総称したものです。
収入証明書により、個人が労働して納税義務を果たしていることを示します。
収入証明が必要なときに源泉徴収票がないと、スムーズな手続きができない可能性があるため、注意しましょう。
アルバイトの源泉徴収票のもらい方
アルバイトの場合、特に申告しなくても源泉徴収票が受け取れます。
在籍中の場合には、年末調整が近い12月支給の給与明細と一緒に発行される場合が多いです。
また、アルバイトをすでに退職している場合でも、基本的には自動的に発行されます。
退職後1ヵ月以内の郵送が一般的です。
在籍していた職場に依頼すると、紛失した源泉徴収票の再発行も可能です。
在籍している場合だけでなく、退職している場合でも源泉徴収票は特に申告しなくても発行を受けることができます。
アルバイト先が源泉徴収票を発行してくれない場合の対処法は?
源泉徴収票は申告しなくても受け取れるのが一般的ですが、なんらかの事情によってアルバイト先が源泉徴収票を発行してくれないケースもありえるでしょう。
ここからは、アルバイト先が源泉徴収票を発行してくれない場合の対処法を解説します。
アルバイト先から連絡がこない場合は税務署に相談する
退職後に源泉徴収票が届かない場合や、在職中に源泉徴収票に関する質問をしても回答が得られない場合には、税務署または労働基準監督署に相談します。
実際に相談するだけでなく、職場または元職場に「税務署または労働基準監督署に相談する」と伝えるだけでも対応してくれる可能性が高いです。
税務署への相談後に源泉徴収票不交付の届出書を提出すると、職場または元職場に税務指導が入り、源泉徴収票が発行されます。
連絡がこない場合には、税務署への相談を検討しましょう。
アルバイト先が倒産している場合は破産管財人に依頼する
アルバイト先が倒産している場合は、破産管財人に源泉徴収票の発行を依頼できます。
破産管財人とは、破産手続きに関して財産の管理を行う人物です。
破産管財人に依頼することで、源泉徴収票の再発行も可能です。
もし破産管財人と連絡がつかなかったとしても、管轄の税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出することで、源泉徴収票の発行を促すことができます。
元職場に連絡をしたくない事情がある場合は自分で確定申告をする
前職に関する情報や副業が現職場に判明しては困るなどの理由で、元職場に源泉徴収票の発行を依頼したくない場合には、自分で確定申告をします。
自分で確定申告を行うことで、年末調整で新しい職場に源泉徴収票を提出しなくても乗り切ることが可能です。
ただし、自分で確定申告を行うことを新しい職場に伝える必要があります。
判明しては困る内容がある場合には、なぜ自分で確定申告を行うのかを説明できるようにしておきましょう。
アルバイトで源泉徴収票が必要なときはケースごとに対応しよう
この記事では、アルバイトの源泉徴収票について解説しました。
アルバイトで源泉徴収票が必要になるケースは、人によってさまざまです。
もし紛失したり、職場が発行してくれなかったりする場合でも対処ができるため、落ち着いて対応しましょう。