「派遣社員で働くと福利厚生は受けられないの?」
「福利厚生は正社員だけが利用できるのでしょう?」
派遣社員の福利厚生について、このように疑問を抱く方もいるのではないでしょうか?
福利厚生は正社員だけでなく、派遣社員も利用できます。
この記事では、派遣社員でも福利厚生を利用できる理由や福利厚生の種類、利用するための条件について解説しています。
派遣社員として働こうと考えている方や、すでに派遣社員で働いており、福利厚生について詳しく知りたい方は参考にしてください。
目次
派遣社員でも福利厚生を受けられる
派遣社員でも福利厚生は受けられます。
2020年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」で、正社員だけでなく、契約社員や派遣社員も福利厚生の対象になったからです。
パートタイム・有期雇用労働法は、同じ企業で働く正社員と非正規雇用労働者との、不合理な待遇差をなくすことを目的としています。
同一労働同一賃金に基づき、給料だけでなく福利厚生も雇用形態に関係なく誰でも受けられるように変わってきています。
派遣社員が受けられる福利厚生の種類
派遣社員が受けられる福利厚生の種類を紹介します。
福利厚生には以下の2種類があります。
- 法定福利厚生
- 法定外福利厚生
順番に説明します。
法定福利厚生の種類
法定福利厚生は、主に以下の法律で定められており、企業が従業員に対して実施しなければいけない福利厚生です。
- 健康保険法
- 厚生年金法
- 介護保険法
- 雇用保険法
- 労働者災害補償保険法
法律によって定められた、派遣社員も受けられる法定福利厚生は、大きく以下の5種類に分けられます。
福利厚生の種類 | 内容 |
雇用保険 | 失業しても安心して再び仕事を探せるように、失業給付を受けられる 他にも育児休業給付や介護休業給付などがある |
労災保険 | 労働中または通勤時のケガ・病気・障害・死亡に対して、本人や遺族に対して保険金が支給される |
健康保険 | 日常のケガや病気などで、病院で治療を受けた際の治療費や出産時に、保険給付を受けられる |
介護保険 | 40歳以上の方が加入し、40~64歳までは介護保険対象の特定疾病になると介護サービスを受けられる 65歳以上は介護が必要と認定された場合いつでもサービスを受けられる |
厚生年金 | 厚生年金は国民年金に加え、二つめの年金制度であり、加入することで将来受け取れる年金を増やせる |
上記の法定福利厚生を受けられれば、日常の生活で困ったときの助けになってくれます。
健康保険や労災保険は、ケガをしたときや病気になった際に利用するため、法定福利厚生を受けられてよかったと実感できるでしょう。
派遣社員の社会保険に関して詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
法定外福利厚生の種類
法定外福利厚生は、会社が独自に設定している福利厚生です。
下表に、大きく8種類に分類した法定外福利厚生の種類と、それぞれの例を紹介します。
法定外福利厚生の種類 | 例 |
住宅関連 | ・住宅手当 ・引越し費用補助 ・社宅の整備 ・社員寮の整備 ・住宅ローン補助 |
健康・医療関連 | ・人間ドックの費用補助 ・カウンセラーや産業医による相談 |
育児・介護支援関連 | ・託児所の設置 ・男性従業員の育児休暇取得推進 ・認可外保育園費用補助 |
慶弔・災害関連 | ・結婚祝い金 ・子どもの入学祝い金 ・遺族年金 ・従業員やご家族の死亡弔慰金 |
文化・体育・レクリエーション関連 | ・スポーツジムや運動施設の無料または割引での利用 ・スポーツイベントの開催 ・飲み会代補助 ・社員旅行の料金支援 ・レジャー施設などの費用補助 |
自己啓発・能力開発関連 | ・資格取得補助 ・資格試験受験料補助 ・海外研修制度 |
財産形成関連 | ・財形貯蓄制度 ・持ち株制度 ・確定拠出年金制度 |
その他 | ・食事手当 ・社員食堂の設置 ・オフィス内での弁当販売 ・飲み物、菓子類の無料提供 ・通勤手当 ・駐車場代の支給 |
法定外福利厚生には決まりがないため、会社により内容が違います。
独身か子どもがいるかなど、家庭の状況によりメリットと感じる内容は変わるものです。
登録する派遣会社がどのような法定外福利厚生を用意しているのか、チェックしてみましょう。
派遣社員は派遣先の福利厚生も受けられるのか?
派遣社員は派遣元のみならず、派遣先の福利厚生も受けられる可能性があります。
同一労働同一賃金の考え方に基づき、派遣先の会社でも正社員と同様の福利厚生が受けられるようになってきています。
派遣先の会社から受けられるおもな福利厚生は、以下のとおりです。
- 業務に必要な能力を付与するための教育訓練
- 食堂・休憩室・更衣室の利用
- 派遣先が設置・運営している物品販売所、病院・診療所、浴場、保養施設などの利用
派遣先の会社で正社員と同じ業務を行っているのであれば、正社員と同様の待遇を受ける権利が認められる可能性があります。
派遣先の会社がどのような福利厚生を行っているのかも確認しておきましょう。
派遣社員の福利厚生に関するよくある質問
派遣社員の福利厚生に関するよくある質問を紹介します。
- 派遣社員として雇用されていれば全部の福利厚生が受けられますか?
- 派遣先の福利厚生を受けられないときはどうしたら良いですか?
順番に説明します。
派遣社員として雇用されていれば全部の福利厚生が受けられますか?
法定福利厚生であっても、無条件に雇用者全員が受けられるわけではありません。
なかには加入するための条件があるものもあるので、下表にまとめて紹介します。
法定福利厚生の種類 | 条件 |
雇用保険 | ・1週間で20時間以上の所定労働時間がある ・31日以上の雇用が見込まれる |
労災保険 | 加入条件なし |
健康保険 | 以下の条件のどちらかを満たす必要がある
①1週間の労働時間および1ヵ月の所定労働日数が同じ事務所、同じ業務を行っている正社員の4分の3以上である ②以下の条件をすべて満たしている場合 |
介護保険 | 40歳になると自動的に加入となる |
厚生年金 | 健康保険と同じ |
法定福利厚生の各種保険や年金制度を利用したい方は、自分が条件を満たすかどうか確認する必要があります。
法律で定められているからといって、派遣会社に登録しただけで加入できるわけではないので注意してください。
派遣先の福利厚生を受けられないときはどうしたら良いですか?
派遣先の会社の福利厚生が受けられないときは、まず派遣会社の担当者に相談してください。
派遣会社の担当者が、派遣先企業に問い合わせてくれます。
派遣会社では解決しない場合や担当者が受け付けてくれない場合は、労働局の相談窓口に連絡してみましょう。
労働局は労働に関するあらゆる問題を取り扱っています。
一部の労働局では、同一労働同一賃金専用の相談窓口も用意されているので、自分の住んでいる地域を管轄する労働局を調べてみましょう。
派遣社員でも福利厚生は受けられるが条件はある
派遣社員でも受けられる福利厚生はあり、法定福利厚生と呼ばれます。
法定福利厚生の内容は以下のとおりです。
- 雇用保険
- 労災保険
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金
上記は雇用主である会社の、従業員に対する義務です。
そのため、正社員でも派遣社員でも受けられますが、項目ごとに条件が決められています。
また、企業ごとに実施される法定外福利厚生では、派遣社員は派遣元のみならず派遣先のものも受ける権利が認められる可能性があります。
今回紹介した内容や条件をしっかりと確認し、各種福利厚生を有効に利用しましょう。