契約社員から正社員になると、雇用の安定や昇進、福利厚生の充実などさまざまなメリットを受けられます。
しかし、契約社員から正社員になるまでにどれくらいの期間勤める必要があるのか、そもそも正社員になれるのかわからない契約社員の方も多いでしょう。
本記事では、契約社員から正社員になれる人の特徴や方法、正社員をめざす際のポイントを解説しています。
契約社員からのステップアップを志している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
契約社員から正社員になるのは難しい?確率は?
契約社員から正社員をめざすことは可能ですが、正社員登用があっても自動的に正社員になれるわけではありません。
そもそも契約社員から正社員になれるかどうかは、勤め先の企業によってさまざまです。
正社員登用を希望して入社したはずが、登用制度自体なかったということもありえます。
正社員への切り替えをめざすのであれば、登用制度の有無だけでなく、過去の登用実績も調べておくと良いでしょう。
厚生労働省が発表した労働経済動向調査(令和5年2月)の結果によると、調査対象である正社員登用や実績の有無は以下のとおりでした。
正社員登用実績あり | 正社員登用実績なし | 合計 | |
正社員登用制度あり | 39% | 39% | 77% |
正社員登用制度なし | 6% | 15% | 21% |
合計 | 44% | 54% | 98% ※無回答:2% |
また、「今後、正社員登用をしていきたい」と答えた企業の割合は、登用制度がある企業では62%、登用実績がある企業では72%と、積極的に正社員登用しようとする流れがあることがわかります。
企業によって考え方は異なりますが、正社員登用の制度や実績がある企業で働いている方は、正社員を希望していることを積極的にアピールしても良いかもしれません。
契約社員から正社員になれる人の特徴
契約社員から正社員になれる人には、次の3つの特徴があります。
- 仕事のスキルが高い
- コミュニケーション能力が高い
- 明確なキャリアプランを持っている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
仕事のスキルが高い
周りの契約社員と比較して仕事のスキルが高い方は、正社員になれる可能性があります。
正社員になるには、営業で大きな成果を出す、マクロを組んで業務効率化を行うなど、企業から手放したくないと思われるような人材になることが必要です。
また、資格取得のための勉強をしている、勉強会に積極的に参加するなど日々スキルアップに励んでいる方は、正社員登用のチャンスが訪れる可能性も高まるでしょう。
企業が正社員にどのようなスキルや能力を求めているか把握したうえで、数値や結果としてアピールできるとベストです。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高い方も、正社員登用に近い人材といえます。
コミュニケーションは、チームで仕事を行うなかで避けては通れません。
信頼関係を構築する、正確な報連相で情報の認識ずれを減らすなど、組織内で円滑に仕事を進める際に大きな役割を果たすためです。
正社員の仕事は契約社員よりも範囲が広く、さまざまな人や部署と連携を取りながら仕事を進める必要があります。
普段から高いコミュニケーション能力を発揮できれば、正社員として活躍できる人材だと一目置かれる可能性が高まるでしょう。
明確なキャリアプランを持っている
明確なキャリアプランを持った人材は、正社員として意欲的に働いてくれそうだと企業側に期待してもらいやすくなります。
キャリアプランを伝えるときは、具体的な目標を示すことが重要です。
「人事のプロフェッショナルとして、将来は人事制度構築に関わりたい」「海外のプロジェクトに参加したい」など、企業側がイメージしやすい言葉でアピールしましょう。
契約社員から正社員になる方法
契約社員から正社員になるには、現在働いている会社で正社員登用をめざすパターンに加え、他の会社へ転職するパターンもあります。
自分の希望する働き方がその職場で叶えられるかどうか、慎重に検討しましょう。
同じ会社で正社員登用をめざす
現在働いてる会社で契約社員から正社員をめざす方法は、以下の二つです。
- 正社員登用試験を受ける
- 5年以上勤務して無期雇用転換に申し込む
それぞれ詳しく解説します。
正社員登用試験を受ける
正社員登用試験を受けるつもりであれば、まずは登用制度があるか、登用の実績があるかをチェックしましょう。
正社員登用制度や実績がない場合、そもそもその企業では正社員になれない可能性もあるためです。
正社員登用を受ける条件をクリアしている方は、正社員登用試験を受験できます。
条件は企業によって異なりますが、一定期間勤務を続けることで受験資格を得られるのが一般的です。
正社員登用試験がまだ先の場合、契約更新のタイミングで相談してみると、早いタイミングで登用を検討してもらえるかもしれません。
5年以上勤務して無期雇用転換に申し込む
正社員にいつなれるのかは、企業によって異なります。
平成25年4月1日に改正労働契約法が施行され、同一の使用者との有期雇用契約が「5年」を超えて繰り返し更新された場合、無期雇用契約への転換を申し込めるようになりました。
ただし、無期雇用へ転換後の雇用区分は企業によって違いがあり、また給与や待遇については就業規則などで別段の定めがある部分を除き、直前の労働契約と同一になります。
無期雇用契約への転換が正社員とイコールになるわけではありません。
また、この制度を利用するには労働者自身で企業に申し込む必要があります。
申告しない限り有期雇用契約のままなので、注意しましょう。
契約社員の雇用期間については、こちらの記事で詳しく解説しています。
他の会社で正社員登用をめざす
現在の勤め先とは別の会社で正社員登用をめざす場合、以下の方法が考えられます。
- 紹介予定派遣制度を利用する
- 転職する
検討の際は、自身のキャリアプランや私生活とのバランスも考慮することが大切です。
以下で詳しく見てみましょう。
紹介予定派遣制度を利用する
紹介予定派遣制度は、正社員雇用への転換を前提に派遣社員として就業する仕組みです。
派遣期間が試用期間になるため、正社員として就業する前に職場の雰囲気や人間関係をチェックできることがメリットに挙げられます。
正社員になれるかどうかは派遣社員としての働きぶりによって決まりますが、紹介予定派遣制度を利用する企業は正社員登用に意欲的なのは間違いありません。
契約社員から一度派遣社員の期間を挟む必要があるものの、未経験でもチャレンジできる職種もあります。
正社員として直接雇用をめざす方や、新しい職場・業界へチャレンジしたい方に適した就業スタイルです。
転職する
現在の勤め先に正社員登用制度がないときや、すぐにでも正社員にキャリアチェンジしたい場合は、転職活動を始めるという選択肢もあります。
正社員登用の制度・実績がない会社で働き続けるよりも、転職をしたほうがキャリアプランを実現しやすいかもしれません。
転職活動をスムーズに進めるには、転職サイトや転職エージェントの利用が便利です。
手軽に求人を探せるほか、自分のスキルを活かして活躍できる職場にも出会いやすくなります。
契約社員から正社員をめざすときのポイント
契約社員から正社員になるにあたって、正社員登用試験の受験が必要になります。
その際の書類選考や面接では、以下のポイントを押さえておくことで合格により一歩近づけるでしょう。
志望動機で採用するメリットを伝える
志望動機では、契約社員ではなく正社員として自分を採用するメリットを企業側へ明確に伝えます。
次の内容を盛り込みながら、魅力的かつ具体的な志望動機を作成しましょう。
- 現在の自分の役割を説明する
- 正社員を希望する理由を説明する
- 今後どのように働きたいか、キャリアプランを明確にする
- 正社員としてキャリアアップする意気込みを伝える
志望動機では、正社員として活躍できる人材である点をアピールするのが重要です。
契約社員から正社員をめざす方に向けて、こちらの記事でも志望動機の書き方を詳しく解説しています。
企業がどのような要素をチェックしているのか知り、対策に役立ててみてください。
面接対策をしっかり行う
正社員登用試験では、新卒採用や中途採用と同じように上司や役員との面接が行われるケースがほとんどです。
質問の内容は会社によって異なりますが、どの会社でも聞かれやすい定番の質問もあります。
よく聞かれる質問は何度も受け答えを練習して、確実に対応できるようにしておきましょう。
さらに、なぜその企業なのかを深掘りするために、企業研究もあらためて行います。
面接の終盤で尋ねられる逆質問に関しても、選択肢を複数用意しておくと安心です。
面接のなかで、用意していた逆質問の話題が解決することがあります。
臨機応変に対応できれば問題はないものの、万全を期すためにも複数の逆質問を用意しておきましょう。
逆質問を通して、正社員への意欲の高さをアピールすることも可能です。
契約社員から正社員はめざせる
契約社員から正社員になれる人の特徴や、正社員になるための方法を解説しました。
現在の会社で働きながら正社員をめざす場合、正社員登用試験や無期雇用転換により契約社員から正社員への切り替えができます。
もし自社に正社員登用制度がない場合、紹介予定派遣制度や転職活動をするのも一案です。
自身のキャリアプランと相談しながら、契約社員からのステップアップをめざしてみてください。