面接時や履歴書でよく求められる「自己PR」や「長所」は、一見どちらも同じような内容に感じられるかもしれません。
しかし、実際にはそれぞれの意味合いがあり、違いを理解していないと、採用側の聞きたいポイントとずれた回答をしてしまいかねません。
今回の記事では、自己PRと長所の違いを説明しつつ、履歴書での書き方のポイントと例文を合わせて紹介します。
目次
自己PRと長所の違いは?
自己PRと長所は、主に採用側が聞きたい内容に違いがあります。
自己PRでは「会社にどのように貢献できるのか」を知りたい一方で、長所では「どのような人物なのか」を知りたい意図があるのです。
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
【自己PR】会社への貢献度を見極めている
自己PRは、主に応募者の会社への貢献度を見極めたり、自社で活躍する姿をイメージしたりするために聞かれる質問です。
したがって、自身の過去の経験から仕事に活かせる能力や実績を紹介し、入社したあとに活躍できそうなイメージを採用側に持たせることが大切です。
「自分」という商品を会社に売り込むように、他の応募者にはない強みをアピールしましょう。
具体的には、自身の希望する職種を踏まえて、「過去に何をやったか(実績)」「何ができるのか(能力)」「仕事でどのように活かすのか(貢献)」の3つの視点を自己PRのなかに入れることで話が伝わりやすくなり、採用側としても仕事に貢献するイメージが湧きやすくなるでしょう。
【長所】社風と合っているかを見極めている
長所は、主に自分自身の性格や人柄、価値観などを客観的に分析できているかを確認するために聞かれる質問です。
合わせて、会社の社風に合っているかどうかを確認する意味合いでも聞かれることがあります。
まずは自分の性格を見つめ直し、周りの友人やご家族にも印象を聞いてみましょう。
「責任感が強い」「協調性がある」「常に前向きに物事を考える」など、さまざまな長所が考えられるなかでも、会社の社風や業務内容により合った長所をアピールできると、採用側も安心して仕事を任せられるように感じられ、採用される可能性が高まります。
【履歴書】自己PR・長所の書き方
上記のとおり、自己PRと長所には採用側の視点では明確に違いがあるため、履歴書の記載や面接での受け答えでは、質問の意図を間違えないように注意が必要です。
一方で、記載方法については同じ流れで問題ありません。
以下では履歴書における自己PR・長所の書き方を紹介します。
自己PR・長所の要点を決める
履歴書を書く前に、まずは自己分析や企業研究を行って、自己PRと長所の要点を決めましょう。
自己分析においては、「自分史」や「モチベーショングラフ」の作成をおすすめします。
「自分史」とは、部活やサークル、アルバイト、留学など、自分が人生で何を経験したか、なぜその選択をしたのか、そこから何を感じたかなどを時系列に振り返るものです。
「モチベーショングラフ」は自身の歴史におけるモチベーションの上下を線グラフとして表現し、自分が何に感動したのかや落ち込んだのかを見つめ直すものです。
そうして自分の経験や価値観を再認識できたら、次は企業研究を行いましょう。
企業研究では会社の採用ページのほか、口コミ系のサイトを見たりOB・OGに会ったりするなどして、自分の能力や性格が会社に合っていそうかを確認します。
この準備を行うことで、自身の能力や会社に貢献できそうな要素を自己PRに、自身の性格や価値観を長所にと、それぞれを履歴書に記載するときの要点を定めることができます。
わかりやすい文章構成のポイント
自己PRと長所を履歴書に記載する際は、内容がわかりやすく伝わる文章構成を意識しましょう。
具体的には、PREP法と呼ばれる以下の内容・順番で記載することで、相手の記憶に残りやすく説得力のある文章を書けるとされています。
- Point:結論
- Reason:結論の根拠となる具体的な理由
- Example:過去のエピソード
- Point:まとめ・結論
以下で詳しく記載しますが、この構成は履歴書の記載だけでなく、面接での受け答えでも活用できます。
わかりやすい話し方を印象づけられるでしょう。
結論を先に記載する
相手の記憶に残る書き方として、一番伝えたい結論を先にもってくることが大切です。
だらだらと長い文章が続いたあとに結論があると、読み手としては終始「結局何が言いたいのだろう」と疑問を持ったまま文章を読むことになり、途中の文脈や本当に伝えたい内容が記憶に残りにくくなってしまいます。
自己PRの場合でも長所の場合でも結論は先に書き、アピールポイントをしっかり理解してもらったうえで続きを読めるようにしましょう。
具体的なエピソードを入れる
履歴書の最初に結論を記載したら、次にその根拠となる具体的な理由やエピソードを記載することで、自己PRや長所の説得力を高めます。
エピソードの内容としては、5W1H(誰が、いつ、どこで、なぜ、それを、どのようにしたのか)を軸に話を展開すると、話に具体性が出て読み手としてもエピソードのイメージを膨らませやすいです。
また、エピソード内の実績には数字を用いると、他の応募者との差別化がされやすくなり、採用担当者の記憶に残りやすくなります。
最後に企業や仕事への活かし方を記載する
最初に書いたアピールポイントをどういった方法で仕事に活かすのか、最後のまとめとして記入しましょう。
先述のエピソードが具体的であれば、最後のまとめにもより説得力をもたせられます。
いかにして会社に貢献できるのかがまとめられていれば、採用側も実際に仕事を任せた際のイメージがしやすくなるでしょう。
このことから、アピールポイントは最初だけでなく最後にも記載することをおすすめします。
自己PR・長所の違いを踏まえた例文
ここでは、先述した自己PRと長所の記載方法を踏まえた例文を見てみましょう。
実際に今までの病棟業務において、患者さんの容態の変化などから緊急の対応が必要となったり、医師の指示が変更になることが多々ありました。
その際には、患者さんの安全を守るために適宜優先順位を考え、計画を立て直しながら業務を調整してまいりました。
特に治験薬を扱う場面では正確性と確実性が求められるため、業務のなかで時間調整が必要でした。
日時管理の徹底と柔軟な対応を実践してきた経験から、御社でも複数のプロジェクトを並行して行う際に貢献できると考えております。
現在の病棟業務で他の職種の方とミーティングを行う際に、看護師の立場から日々の業務を通した意見を伝えるとともに、他職種の意見を踏まえて自分自身の考えを発信したり、疑問に思っている部分を共有するよう心がけております。
御社に入社した際にも、自分の意見を発信するとともに他の人の意見とすり合わせながら、業務を円滑に進めていくことができると考えています。
こちらの記事でも自己PRの例文を紹介していますので、参考にしてください。
【面接】自己PR・長所は履歴書と同じ内容を補足して答える
自己PRや長所は、履歴書に記載していても実際の面接でも聞かれることがあります。
そういった場合は、アピール内容や強みなどの話の軸は変えずに、履歴書には書けなかった内容やより具体的な内容などを、話しやすいように言葉を変化させて伝えていきましょう。
また、その回答に対してさらに面接官から深掘りされることも考えられるため、詳細に答えられるように備えておきましょう。
自己PRと長所の違いを理解して企業にアピールしよう
履歴書の自己PRと長所は、採用担当者の視点を踏まえながら、ポイントを押さえてわかりやすく記入します。
採用側に入社後の活躍している姿を具体的にイメージしてもらうことで、採用の可能性を高められるでしょう。
今回のポイントや例文を参考にしながら、今までの経験をもとに根拠のある自己PRと長所を記載しましょう。