失業保険(雇用保険の基本手当)をもらえる期間は、退職理由や雇用保険の加入期間によって異なります。
この記事では、失業保険がもらえる期間を状況別に見ていきましょう。
「知らないうちに受給期間が終わっていた」という事態を避けるためにも、自身が失業した際には、退職理由などと照らし合わせ、受給期間を確認することが大切です。
目次
失業保険はいつまでもらえる?
失業保険を受給できる期限は、原則として、離職日の翌日から1年間です。
この期限を過ぎると、所定の給付日数が残っていても受給できなくなるので注意しましょう。
例外として所定給付日数が330日や360日の場合は、受給期間が以下のようになります。
- 所定給付日数が330日:離職の日の翌日から1年間+30日
- 所定給付日数が360日:離職の日の翌日から1年間+60日
具体的な受給期間は次項で紹介します。
失業保険は何ヵ月もらえるのか
退職理由や雇用保険の加入期間によって、失業保険が何ヵ月もらえるのかを紹介します。
表も参考にしながら、当てはまる条件を確認しましょう。
特定受給資格者(会社都合による退職)
被保険者であった期間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | ||
区分 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | |||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
参照:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数
会社都合による退職の場合は、特定受給資格者とみなされます。
会社都合による退職に該当するのは、以下のようなケースです。
- 会社が倒産した場合
- 事業所の移転で通勤が困難な場合
- 解雇された場合
- 労働条件が労働契約と著しく違った場合
- 事業所の業務が法令に違反した場合
受給期間は雇用保険の被保険者期間だけでなく、年齢によっても規定されています。
雇用保険の被保険者期間、年齢ともに5つの区分に分けられており、それぞれを組み合わせて受給期間が決められます。
自己都合による退職のような給付制限はなく、7日間の待期期間後すぐに受給されるのが特徴です。
特定理由離職者(自己都合による退職のうち所定理由によるもの)
特定理由離職者は1と2に分類されます。
特定理由離職者1は契約や派遣社員の場合で、労働契約期間が満了し、かつ次の更新がないことで退職した場合です。
特定理由離職者1の受給期間は、先述した特定受給資格者と同等の扱いをされ、年齢や雇用保険の被保険者期間に応じた受給期間が定められています。
特定理由離職者2は、怪我や病気、妊娠や出産、ご家族の介護などのやむを得ない理由によって退職した場合です。
受給期間は後述の一般受給資格者と同等の扱いですが、給付制限はなく、7日間の待機期間が終わればすぐに失業保険が受け取れます。
一般受給資格者(自己都合による退職)
雇用保険の被保険者期間 | 失業保険の受給期間 |
---|---|
1年以上10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
退職理由が自己都合の場合は、一般受給資格者とされます。
一般的に自己都合による退職とは、自分自身の意志で退職した場合が当てはまります。
例えば、キャリアアップによる転職や新しい職種にチャレンジするなどです。
一般受給資格者は退職時の年齢に関係なく、雇用保険の被保険者期間によって受給期間が決まります。
また、一般受給資格者は7日間の待機期間のあと、2~3ヵ月の給付制限が設けられています。給付制限期間中は、失業保険の給付がありません。
【状況別】失業保険のもらえる期間
ここでは、失業保険のもらえる期間を、以下の具体的な状況を例に挙げながら解説します。
- 定年退職した場合
- 受給期間中に再就職が決まった場合
- 再就職後に退職した場合
自分の状況に当てはめて、確認してみましょう。
定年退職した場合
定年退職した場合でも、再就職希望の定年退職なら失業保険の受給は可能です。
本人が継続雇用を希望せずに定年退職した場合、自己都合による退職となるため、失業保険の受給期間については一般受給資格者のものを参照してください。
本人が継続雇用を希望しているにも関わらず、会社の都合で退職する場合は、特定受給資格者に該当する可能性があります。
ハローワークが会社の就業規則や労使協定、退職の状況を確認したうえで判断します。
受給期間中に再就職が決まった場合
受給期間中に再就職が決まったら、決まった時点で失業保険が打ち切られるのが原則です。
しかし、所定残日数が1/3以上あれば、再就職手当が受けられます。
再就職手当とは、失業保険の受給者が早期に再就職した場合にもらえる給付金です。
できるだけ早い再就職を促すための手当で、所定残日数が2/3以上あれば、より多くの一時金がもらえます。
再就職手当には所定残日数以外にも要件があるため、事前にハローワークに確認しましょう。
再就職後に退職した場合
失業保険を受給中に就職して、受給期間内に再び退職した場合、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月あれば、新たに失業保険の受給資格が得られます。
また、退職理由が会社都合の場合は、雇用保険の被保険者期間は6ヵ月で受給資格が得られます。
新たな受給資格が得られない場合も、要件を満たせば失業保険の再受給が可能です。
再受給の要件は以下のとおりです。
- 再就職時に支給残日数が残っている
- 再就職先を離職するときに受給期間の1年が経過していない
- 再就職先で新たな受給資格が発生していない
- 再就職先の離職票を提出する
これらの要件を満たせば、再就職前に取得していた受給資格の受給期間内かつ支給残日数の範囲内で、基本手当の支給を受けることができます。
失業保険をもらえる期間は退職理由によって異なる
失業保険を受け取れる期間は、退職理由や雇用保険の被保険者期間、年齢などによって異なります。
また、定年退職や受給期間中の再就職、再就職後の退職といったケースも、失業保険を受け取れる期間や、代わりに受けとれる手当に変化があるため、わからない場合はハローワークに相談しましょう。
本記事でも、表を示しながら失業保険がいつまでもらえるのかを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。