
就職活動を経て、念願の内定を受けたものの、「内定取り消し」の不安を感じている人は少なくないでしょう。
実際に内定取り消しを経験してしまった人もいるかもしれません。
内定取り消しとは、企業が一度出した内定を、あとから取り消すことを指します。
内定取り消しはどのような場合に起こるのでしょうか。
また、内定を取り消された場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
目次
内定取り消しとは
内定取り消しとは、企業が一度出した内定を、あとになって取り消すことです。
内定は、企業が求職者を正式に採用する約束であり、両者間での労働契約の締結にあたります。
そのため、内定を取り消すことは、事実上の解雇と同じ意味を持ちます。
解雇は労働者を守るために法律で制限を受けるものであり、内定取り消しも同様に、簡単に行うことはできません。
内定取り消しは法律に違反する?
内定取り消しが法律に違反するかどうかは、その理由によって異なります。
客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合は、内定取り消しは合法です。
一方で、正当な理由がない場合は、内定取り消しは違法となる可能性があります。
内定取り消しが合法になる場合
内定取り消しが解雇にあたることから、解雇に関する労働契約法第16条の規定が適用されます。
同条で定められているのは、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という内容です。
つまり、内定取り消しが合法となるのは、正当な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られます。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 経歴詐称
- 入社までに必要とされた免許・資格の未取得
- 重い病気やケガ
- 留年(単位不足で学校を卒業できない)
- 犯罪
- SNSなどでの不適切発言
また、業績悪化や事業縮小などにともなう整理解雇にあたる場合も、一定の要件を満たせば、内定取り消しが合法となります。
整理解雇が認められるには、以下の4つの要件を満たさなければなりません。
- 整理解雇の必要性が本当にあること(会社の維持・存続を図るため人員整理が必要であること)
- 整理解雇を避けるための努力を会社が尽くしていること(解雇に先立ち、退職者の募集、出向その他余剰労働力吸収のために相当の努力が尽くされたこと)
- 対象者の選定に合理性があること
- 労働者側との間で十分な協議が尽くされていること(解雇の必要性・規模・解雇基準等について労働者側の納得を得るために相当の努力がなされていること)
内定取り消しが違法になる場合
内定取り消しが違法となるのは、解雇に足る合理的な理由がない場合です。
例えば、昭和54年の大日本印刷事件では、一度内定を出した新卒者に対し、陰気な印象を受けたとして内定を取り消したことが、解約権の濫用として無効とされています。
先述したような正当な理由がなく、内定を取り消すことは、違法となる可能性が高いといえるでしょう。
内定取り消しをされたらどうすれば良いの?
内定取り消しをされてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
まずは、内定取り消しの理由を確認することが重要です。
そのうえで、内定取り消し後の対応や、納得できない場合の交渉について検討しましょう。
内定取り消しの理由を確認
内定取り消しの連絡が来た場合、まず企業側に理由を確認することが重要です。
内定取り消し事由に心当たりがない場合は、企業側の取消理由やいつ取消が決定したかなどを詳しく確認します。
法的な証拠にもなるため、連絡はメールで行いましょう。
メールでは、内定取り消しについて困惑していることを伝え、「具体的な理由をご教示ください。」などと記載します。
内定取り消し後の対応を確認
企業によっては、内定取り消し者に対して金銭を補償するケースもあります。
内定通知書を読み直して、補償の記載の有無も確認してみましょう。
具体的な補償内容は企業により異なるため、直接訪問するなどして確認するのがおすすめです。
納得できない場合は交渉を検討
内定取り消しの理由や補償内容に納得がいかない場合は、企業との交渉を検討しましょう。
ただし、交渉は何の準備もせずに直接行っても、大きな効果は期待できません。
まずは、労働局や労働基準監督署、弁護士に相談することをおすすめします。
そのうえで、内定取り消し理由が記載されたメール文や、取消理由に該当しないことを証明できる資格などを揃えておきましょう。
ただし、労働審判なら数ヵ月、訴訟となれば1年以上の時間がかかるケースもあり、経済的にも精神的にも負担が大きいことを覚悟したうえで、冷静に最善の選択を行うことが肝要です。
内定取り消しになるのは稀だが対応については心得ておこう
内定取り消しは、正当な理由がない限り違法となる可能性が高く、実際には稀なことです。
しかし、万が一の内定取り消しに直面した場合に備えて、内定取り消しの理由や対応方法については心得ておくことをおすすめします。
内定取り消しの連絡があった際には、まずは冷静に理由を確認し、納得できない場合は労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
内定取り消しに異議を申し立てることは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。
冷静に最善の選択を行うことが何より重要です。