
内定取り消しは内定者にとって深刻な問題ですが、その原因は内定者側にも企業側にも考えられます。
内定者側の原因として挙げられるのは、留年や経歴詐称、大きな病気やケガ、犯罪行為、素行不良などです。
一方、企業側の原因としては、業績悪化による人員整理などがあります。
内定取り消しの理由を知り、自分でできる対策を講じることが重要でしょう。
目次
内定が取り消しになる主な理由とは
内定とは、企業と労働者の間で結ばれる労働契約の一種ですが、通常の労働契約とは少し異なる特徴があります。
新卒の場合、内定通知の段階では、労働者はまだ学生であることが多く、すぐに働くことはありません。
そのため、内定には解約権が付いており、一定の理由があれば内定取り消しとなる可能性があります。
このような内定の段階での労働契約は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれています。
ただし、解約権があるからといって、どのような理由でも自由に解約できるわけではありません。
内定取り消しが認められるのは、「採用内定当時に知ることができず、また知ることが期待できない」事実がのちに判明し、内定取り消しが「客観的に合理的と認められた社会通念上相当として是認できる場合」に限られます。
内定取り消しの具体的な事例
内定取り消しには、内定者側に原因がある場合と、会社側に原因がある場合の2つのパターンがあります。
内定者側に原因がある場合として考えられるのは、留年や経歴詐称、大きな病気やケガ、犯罪行為、素行不良などです。
一方、会社側に原因がある場合としては、業績悪化による人員整理などがあります。
それぞれの具体的な事例を見ていきましょう。
内定者側が原因の取り消し理由
内定者側に原因がある内定取り消しの理由としては、留年や経歴詐称、大きな病気やケガ、犯罪行為、素行不良などが挙げられます。
これらは、内定者の能力や適性、あるいは人物像に関わる問題であり、企業側としては看過できない事態といえるでしょう。
新卒採用の内定者が留年してしまった
新卒採用の内定者が留年してしまい、大学を卒業できなかった場合、内定が取り消されてしまう可能性が高いです。
就職活動で忙しくなるため、早い段階から計画的に単位を取得しておくことが重要です。
また、卒業単位の見落としで留年してしまうケースもあるので、取得単位数の確認は入念に行いましょう。
少し多めに単位を取得しておくのも良い対策といえます。
経歴を詐称していた
出身大学などを詐称していた場合、内定が取り消される可能性が高いです。
特に、免許や資格など、業務と大きく関係するものの経歴詐称は問題視されます。
ただし、資格取得日などは記載ミスである可能性もあり、業務に大きな影響が出るわけではないため、問題ないとされるケースも多いです。
大きなケガや病気をした
内定後に大きな病気やケガが発覚した場合、内定取り消しの原因になり得ます。
ケガや病気が原因で従業員として働くことが難しい場合、内定取り消しもやむを得ないと判断されるでしょう。
ただし、内定後に生じた病気などが軽微で業務に特段の支障がない場合は、内定取り消しは認められません。
内定後に犯罪を犯した
内定後に犯罪を犯した場合、内定取り消しになる可能性が高いです。
犯罪者の雇用は、企業自体のイメージダウンにもつながるためです。
内定前の犯罪については事前に考慮が可能ですが、内定後の場合は考慮できないので、取り消しの正当な理由となります。
内定後も、法令遵守に気を付けましょう。
内定後に素行不良や不適切な発言があった
内定後の素行不良や不適切発言で、内定取り消しとなるケースもあります。
特に近年は、SNS上での不適切発言が問題視されることも多いです。
過去の発言なども十分に注意が必要です。
会社側の内定取り消し理由
会社側の都合で内定取り消しとなるケースとしては、業績悪化による人員整理などがあります。
しかし、業績が悪化すれば、どのような事情でも内定が取り消せるわけではありません。
以下の4つの要件を満たすことが必要とされています。
要件 | 具体例 |
整理解雇の必要性が本当にあること (会社の維持・存続を図るため人員整理が必要であること) |
会社が急激に業績悪化し、存続を危うくする事態に直面した場合、その存続を確保するために人員削減が必要。 |
整理解雇を避けるための努力を会社が尽くしていること (解雇に先立ち、退職者の募集、出向その他余剰労働力吸収のために相当の努力が尽くされたこと) |
まずは希望退職制度を導入したり、異動を提案することで、できる限り従業員を解雇せずに済むように取り組む。 また、制度を導入するにあたって、合理性があることを周知することが必要。 |
対象者の選定に合理性があること | 年齢、職種、スキル、勤続年数などを考慮したうえで、適切な選定をする。 選定方法に無差別な選定や不当な差別があれば、合法性が問われる。 |
労働者側との間で十分な協議が尽くされていること (解雇の必要性・規模・解雇基準等について労働者側の納得を得るために相当の努力がなされていること) |
経営状況の説明を行い、従業員の理解を得る。 |
このように、整理解雇が認められるケースでの内定取り消しは合法とされています。
内定取り消しの理由が理不尽な場合は?
内定取り消しの理由を確認して、あまりにも理不尽だと感じた場合は、企業側と交渉することをおすすめします。
ただし、自分一人で交渉を行ってもうまくいかない可能性があるため、労働基準監督署や弁護士といった専門家の力を借りるのが良いでしょう。
その際は、取り消し理由が書かれたメールなどを証拠として持っておくと有利です。
しかし、裁判などに発展すると時間や経済的・精神的負担もかかるので、最善の選択を考えることが大切です。
内定取り消しになり得る理由を知り、自分で防げることは注意しよう
内定取り消しには、内定者側に原因がある場合と、企業側に原因がある場合があります。
内定者側の原因として挙げられるのは、留年や経歴詐称、大きな病気やケガ、犯罪行為、素行不良などです。
一方、企業側の原因としては、業績悪化による人員整理などがあります。
内定取り消しの理由を知り、自分でできる対策を講じることが重要です。
例えば、計画的に単位を取得したり、SNS上での発言に気を付けたりすることで、内定取り消しのリスクを減らすことができるでしょう。
内定を取り消された場合に、理由が理不尽だと感じたら、労働基準監督署や弁護士に相談するのも一つの選択肢です。